著者
林 千賀
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学大学院言語教育・コミュニケーション研究
巻号頁・発行日
vol.1, pp.39-51, 2006

The Japanese word nanka can be a pronoun, adverb, particle and a discourse marker. This paper hypothesizes that nanka as a discourse marker can be observed in its syntactic position which is far from the predicate as in nanka... muzukashii 'Umm...(it's) difficult'. That is, more there are linguistic elements between nanka and the predicate, more likely the nanka can function as a discourse marker. This paper also examines that nanka as a discourse marker is resulted as a 'bleaching' phenomenon in its gramaticalization.
著者
林 千賀
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学大学院言語教育・コミュニケーション研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.37-49, 2007-03

最近の会話でよく使用される「ってゆうか」は、「特に意味のなく表現を和らげる」表現、また「話を切り出す時の意味のない前置き」表現であると言われているが、このような用法には、本当に意味がないのだろうか。本稿では、「ってゆうか」の持つもともとの意味、つまり相手・自分の発話に対してそれを緩和しながらの形で否定する意味の「ってゆうか」そして、前件Xを後件Yで言い換えるときに使用する「ってゆうか」のような「ってゆうか」を「ってゆうか」の「意味核」と定義し、「それ自体に意味のない」とされてきたディスコース・マーカーとして使用される「ってゆうか」に意味核があることを実証することを本稿の目的とし、仮説をたてそれを実証することとする。
著者
湊 秋作 饗場 葉留果 岩渕 真奈美 湊 ちせ 小山 泰弘 若林 千賀子
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2013 (Released:2014-02-14)

ヤマネ科は,ヨーロッパ・ロシア・アフリカ,中央アジア,サウジアラビア,イラン・中国・日本等に分布する.ニホンヤマネ(Glirulus japonicus)は,本州・四国・隠岐の島(島後)・九州に生息し,樹上性で冬眠する天然記念物の哺乳類である.私たちは,1988年から巣箱を用いてニホンヤマネの自然史を調べてきたが,巣箱を用いない自然巣の調査結果を得たので報告する.ヤマネの自然巣調査は,目視観察と一部,発信器調査を用いて,1993年から 2012年まで行った.ニホンヤマネの調査地は主に山梨県北杜市で,ヨーロッパ産ヤマネの調査地は,ハンガリー(バーツ市)等である. ニホンヤマネの樹上の自然巣を営巣する樹はヤマツツジであった.営巣する部位はヤマツツジの枝がてんぐす病となり小枝が束状になっている所であった.巣のサイズは,11.0cm × 9.5cm ×9.5cm 程であった.巣材は,樹皮と蘚苔類から構成されていた.樹皮は,サワフタギ,ズミ,ヤマブドウなどの繊維性の材料を使用していた. 巣の構造は,多くの巣において,外側は蘚苔類で覆われ,内部の材料は樹皮で何層にも頑丈に編み込んでいた.巣はてんぐす病の小枝の間の狭い空間にすっぽり入れ込むように造られていた.樹皮をてんぐす病の小枝に巻き付けることもあった.ヤマツツジの枝に接する自然巣の土台には,幅の広い樹皮を用い枝の隙間を埋めるように配置することもあった.てんぐす病の緑の葉と自然巣を覆う蘚苔類の緑色は,カモフラージュの効果を呈していたが,巣の上にヤマネの糞が置かれていることもあった.巣の地上高は,0.65m~2.2mであり,繁殖場所として使用していた. たまに,地中に営巣することもあった.ヨーロッパ産のオオヤマネの巣材は青葉や枯葉であり,ヨーロッパヤマネは,草・葉・樹皮で,ニホンヤマネの巣材とは異なっていた.