著者
渡部 生聖 林 同文 今井 靖 光山 訓 瀬戸 久美子 新谷 隆彦 橋口 猛志 野口 清輝 真鍋 一郎 戸辺 一之 山崎 力 永井 良三
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.383-390, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

ミッションプログラム医療安全研究グループにおいては, 日々の診療で膨大に発生する各種の診療情報から, 情報処理技術の適用により医学的知見を抽出し, その知識を国内で共有化する為の汎用的な手法について研究を行っている. 研究にあたっては, 倫理面に配慮された適切な情報収集・管理手法によって得られた実際の診療情報を, 医学と工学, それぞれの専門家が共同で体系化することにより, 臨床的に有用な知見を得るにいたっている. これらの医学的成果及びその普及手段としての技術的成果を併せて報告する.
著者
前村 浩二 林 同文 永井 良三
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は末梢組織体内時計の下流アウトプット遺伝子を同定し、中枢と末梢の体内時計が、各組織ごとの概日リズムの形成にどのように寄与しているかを明らかにすることを目的とする。ClockとBmalを発現するアデノウイルスを培養細胞にinfectionし、cDNA Microarrayにより発現が増加する遺伝子を網羅的に解析した結果、転写因子、分泌タンパク、膜受容体などが体内時計の標的遺伝子の候補として同定された。その中の転写因子、Dec1の機能について解析した。心臓や腎臓、大動脈などの臓器でDec1mRNAの発現は日内変動を呈した。Dec1はClockとBmalによりmRNAレベルで誘導され、またDec1はClockとBmalによるPer1プロモーターの活性を抑制した。さらにDec1は低酸素でその発現が誘導された。これらのことより、Dec1が低酸素などの環境因子を関知して体内時計のコアフィードバックループを調整する因子として働いている可能性が示された。今後はDNA Microarrayにより同定された体内時計に関連する他の遺伝子群についてさらにその発現パターン、循環機能調節における役割をさらに解析する。次に、中枢の体内時計は正常に保たれ、血管内皮末梢体内時計のみが異常なトランスジェニックマウスを作成した。このマウスを用いて今後さまざまな循環機能の日内変動を解析することにより末梢体内時計の役割を中枢と末梢に分けて解析できる。本研究により、心筋梗塞の早朝発症機序を初めとする循環器系疾患の日内変動のメカニズムが分子レベルで詳細に解明されることが期待される。組織固有の日内リズム発生のメカニズムを理解することは今後時間に即した治療法の開発にむすびつけるられることが期待される。