著者
真鍋 一郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.105-113, 2017-04-25 (Released:2017-06-07)
参考文献数
49
被引用文献数
5

慢性炎症は生活習慣病やがんを含む加齢関連疾患に共通する基盤病態である.また,高齢者では慢性炎症が起きやすくなっており,加齢に伴う炎症(inflammaging)が加齢関連疾患の発症や進展に寄与していることが考えられる.高齢者で慢性炎症が起きやすくなっている原因として,加齢に伴う免疫系自体の変化(免疫老化),組織の変化や全身的な代謝や内分泌系の変化など,多様な要因が複雑に絡み合っていると考えられる.免疫老化は,免疫系の正確性と効率を低下させ,獲得免疫系の低下をもたらすだけでなく,慢性炎症も起こりやすくする.組織では自然免疫系を活性化するダメージ関連分子パターンの増加や,老化細胞からのSASP因子が炎症を誘導・促進する.ホルモンや代謝の変動による体内の内部環境の変化も炎症の基盤となる.加齢に伴う慢性炎症の誘導と拡大を制御する分子機序の解明は加齢関連疾患の理解の上で重要であり,新たな治療標的やバイオマーカーの同定にもつながるだろう.
著者
渡部 生聖 林 同文 今井 靖 光山 訓 瀬戸 久美子 新谷 隆彦 橋口 猛志 野口 清輝 真鍋 一郎 戸辺 一之 山崎 力 永井 良三
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.383-390, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

ミッションプログラム医療安全研究グループにおいては, 日々の診療で膨大に発生する各種の診療情報から, 情報処理技術の適用により医学的知見を抽出し, その知識を国内で共有化する為の汎用的な手法について研究を行っている. 研究にあたっては, 倫理面に配慮された適切な情報収集・管理手法によって得られた実際の診療情報を, 医学と工学, それぞれの専門家が共同で体系化することにより, 臨床的に有用な知見を得るにいたっている. これらの医学的成果及びその普及手段としての技術的成果を併せて報告する.