著者
今井 靖親 高本 和昌
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.245-262, 1991-11-25

The purpose of this study was to examine the readability of Japanese sentences. Experiment I was conducted in order to test the effect of the percentage of Chinese charcters and the presentation of the theme in the sentences on the subjects' reading time. The subjects were 60 college students. On the basis of the percentage of Chinese characters in the sentences and the presentation of the theme of the sentences, they were randomly assigned to one of the following six groups : High-theme, High-no theme, Middle-no theme, Non-theme, Non-no theme. They were asked to read the sentences shown by a slide projector on a paper and the time to read the sentences was recorded. For the subjects of the 'theme' groups the theme was told before they started reading the sentences. The reading time in the High groups was significantly shorter than that in the 'Non'groups. This suggests that the words written in Chinese characters in the sentences have facilitating effect on the readability of the Japanese sentences. No significant difference was observed between the 'theme' groups and the 'no theme' groups. The result made it clear that there were very similar words like the theme in the sentences shown for the 'no theme' groups. Experiment 2 was designed in order to test again the effect of the presentation of the theme on the subjects' reading time. The subjects were 20 college students. They were asked to read the sentences written only in hiragana (not containing Chinese charcters) on a paper. The 'theme' group took more reading time that in the 'no theme' group, but in reading the sentences the subjects of the 'theme' group made fewer mistakes than the subjects of the 'no theme' group. The findings suggest that the theme presented for the subjects facilitated to recognize the words in the sentences. but it took more time for them to correspond the contents or the words of the sentences with the theme.
著者
上野 正典 田中 みどり 今井 靖幸 渡邉 朝子
出版者
高山赤十字病院
雑誌
高山赤十字病院紀要 (ISSN:03877027)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.7-12, 2015-03-01

急性期・回復期のリハビリテーション(以下リハ)は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職が関わり、多い場合には1日に3時間ものリハを受ける機会がある。しかし退院後、生活期に移行すると、当施設をはじめ多くの老健施設では専門職によるマンツーマンで実施する個別リハの時間は大幅に減少する。そのため、入所される利用者の中にはリハに対し不安を抱かれる方も少なくない。武原は、急性期・回復期のリハが機能障害の回復を目的とした「治療モデル」であるのに対して、老健施設のリハは残された心身機能でいかに快適な生活を実現するかをテーマにした「生活支援モデル」であると位置づけている。そこで今回、病院リハを終了後に当施設へ入所された利用者の身体機能、精神機能、ADLを評価し、当施設のリハにおける現状と課題を検証した結果、精神機能・ADLにおいて有意差を認め改善傾向を示すことが示唆された。
著者
永井 良三 相澤 健一 苅尾 七臣 今井 靖
出版者
自治医科大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

新しい治療法やデバイス、バイオマーカーが相次いで臨床現場に導入されている。しかしその有効性と安全性は必ずしも評価されていない。これをリアルタイムに行うためには、大規模リアルワールドデータを欠かせない。申請者は最近、全国7拠点施設の異なる電子カルテ情報を連結して統合するデータ集積システムを完成した(CLIDAS)。また、申請者らはこれまで様々なクリニカル質量分析装置を活用し、トランスオミックス解析により、多くのバイオマーカーの測定系を開発してきた。そこで本研究では、臨床ビッグデータとトランスオミックス解析を統合し、新しい心臓病学パラダイムを構築する。
著者
今井 靖雄 蓮花 一己
出版者
日本交通心理学会
雑誌
交通心理学研究 (ISSN:09109749)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.18-27, 2016 (Released:2020-04-10)
参考文献数
20

The presence of a peer passenger psychologically affects a driver’s behavior, which may be considered a risk factor for a vehicle accident. Although previous studies have focused on the peer-passenger effect among middle-aged drivers, little is known about such effect both in middle-aged and young drivers. This study explored the factor structure of the peer-passenger effect and determinants of this effect in both middle-aged and young drivers. A total of 282 drivers completed a self-report questionnaire. Factor analysis revealed five factors of the peer-passenger effect : dissatisfaction with advice, self-uneasiness, security consciousness, and calmness and silence in car. Multiple regression analyses were conducted to examine how strongly the five demographic variables of gender, age, a license career, and frequencies of driving and of a presence of peer passenger could influence each factor. Results suggested that a middle-aged driver became irritated more easily than a young driver, when receiving unnecessary advice from a peer passenger. Younger drivers concentrated on driving so much that they could not afford to pay attention to peer passenger. Furthermore, the frequency of the presence of a peer passenger could promote the peer-passenger effect in both young and middle-aged drivers.
著者
今井 靖親
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.18, pp.109-116, 1982-03-23

本研究の目的は、幼児の文字意識の発達を実験的に検討することであった。そのために、幼児が文字の表記的特徴をどの程度理解しているかが調べられた。被験者は保育園の3歳児・4歳児・5歳児各40名、合計120名であった。まず、ウォーミングアップ課題として、被験者に絵と文字の弁別をさせた後、文字選択課題において次の(1)~(5)のタイプ別に文字カードを選択させ、年齢別に選択者を比較した。(1)見慣れた文字と見慣れない文字(2)単一の文字と複数の異なった文字の配別(3)単一の文字と複数の同じ文字の配列(4)複数の異なった文字の配列と複数の同じ文字の配列(5)直線的な配列と非直線的な配列。さらに、読字力と文字意識の発達的関連を調べるために、4歳児・5歳児に平仮名の読字力テストを行ない、その中の読字力高群と低群について、文字選択課題の成績を比較した。主な結果は次のとおりである。(1)就学前の幼児は、年齢が高くなるにつれて自分の周囲にある文字を「文字」として認識するようになる。(2)「文字言語」の表記的特徴である「複数の異なったもの(記号)が、直線的に連続して書かれ(印刷され)ている」ことについては,3歳の幼児でも、すでに或る程度理解可能な発達水準に達している。(3)4~5歳児では、平仮名の読みをほとんど習得していない幼児でも、すでに習得している者と同じ程度に、上記の「文字言語」の表記的特徴を理解している。へき地教育研究室報告特集12
著者
滝野 千春 今井 靖親 藤田 正
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.12, pp.65-78, 1976-03-25

本研究は家庭生活,学校生括,社会生活に関する11項目から成る質問紙を用い,いわゆる「へき地」における中学生と親の生活意識を比較・検討し,その特徴を明らかにすることを目的としておこなわれた。調査対象は奈良県吉野郡上北山村上北山中学校生徒82名とその両親153名である。得られた主な結果を要約すれば次のとおりである。(1)理想の父親像として,中学生は家庭的な父親をあげているのに対し,親は仕事に専念する父親をあげていて,両者の間には著しい差異が認められた。(2)理想の母親像としては,中学生も親も「家庭生活を何より大切にする母」をあげている。(3)子どもが将来親にしてあげたいと思っていることと,親が子どもにしてほしいと思っていることとを比較すると,「親に心配かけないようにする」ということでは一致しているが,経済的扶養については,両者の間に顕著な相違が見られた。(4)子どもが学校で得たいと思っているのは,主として「心をうちあけて話せる友人や教師」であるのに対し,親はわが子が学校で「教養」を身につけることを期待している。(5)中学生も親も地域への愛着度はかなり高い。その理由は自然環境のよさと人情のあつさにあるように思われる。しかし,生活の不便さや高物価,つき合いのわずらわしさなどは,共通して地域への不満となっている。(6)この地に永住を希望する者の割合は,中学生より親に多かった。また女子中学生より男子中学生のほうに移住希望者が有意に多かった。(7)現代の日本社会への不満は,中学生では「正義のとおらぬこと」や「貧富の差があること」にあるが,親では「国民の意見の分裂」や「まじめな者が報われないこと」に向けられている。(8)中学生も親も,生活態度として,「金や名誉を考えずに自分の趣味にあった暮し方」をすることや,「世の中の不正と戦い,清く正しく生きること」をあげているが,「その日,その日をのんきに暮す」という者は中学生よりも親に多く,男子中学生より女子中学生に多い。(9)中学生は親しい友人や仲間といる時や,スポーツや趣味にうちこんでいる時に生きがいを感じると答えたのに対し,親は「仕事に打ちこんでいる時」,「家族といる時」をあげている。また子ども自身が将来自分がなりたいと願っているものと,親が子どもに期待する人間像とでは,両者に大きなくいちがいが見られた。へき地教育研究室報告特集6
著者
今井 靖
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.181-183, 2013-12-15 (Released:2014-03-21)
参考文献数
3
著者
今井 靖雄 蓮花 一己
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.91-103, 2019 (Released:2020-08-08)
参考文献数
35

本研究では,テレビゲームを用いて,運転場面における感情と生理反応の攻撃行動への影響を検証した。実験参加者は,16名の若年群と15名の中年群であった。実験参加者は,カーレースゲームをプレイし,普段の運転やゲームに関する質問紙に回答した。ゲーム中の攻撃行動とゲーム中の生理指標が測定された。重回帰分析を行った結果,若年群の攻撃行動は,主観的欲求不満感情と複数の生理反応が有意になったものの,中年群の攻撃行動は欲求不満感情も生理反応も影響を及ぼしていなかった。(図2,表7)
著者
今井 靖親 中村 年江
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-33, 1990-03-01

幼児の養育にあたっている親が、子育てに関してどのような悩みや不安を抱いているかを、質問紙を用いて調査を行なった。食事に関する悩みと情緒に関する悩みが最も多かった。年齢段階から考えて、正常な発達の姿だと思われるような行動が問題視されている。祖父母との同居の有無によっても親の悩みに違いがあることが明らかになった。
著者
西村 義一 魏 仁善 金 絖崙 渡利 一夫 今井 靖子 稲葉 次郎 松坂 尚典
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.244-247, 1991-06-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

Chitosan derived from chitin which is a cellulose-like biopolymer distributed widely in nature, especially in shellfish, insects, fungi and yeast, is known to be one of the natural chelating agents. The purpose of the present study is to investigate whether chitosan can be applied to the animal and human body in order to reduce the bioavailability of radiostrontium in foods.Chitosan solution was orally given and immediately after then 85SrCl2 was administered to rats using a stomach tube. The whole-body retention of 85Sr determined by in vivo counting was lower than that of control rats which were not given chitosan. The activity ratio in urine and f eces f or chitosan-treated rats was higher than control rats.Ten percent of alginate food was given to rats during 10 days and 85Sr was administered orally. The whole-body retention of 85Sr alginatetreated rats was decreased sharply compared with control rats.These results suggested that chitosan and alginate can be used as a drug to reduce bioavailability from gastrointestine of ingested radio strontium.
著者
小野 博 香取 竜生 犬塚 亮 今井 靖 賀藤 均
出版者
Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.49-56, 2014

<b>背景:</b>Marfan症候群に対するGhent基準が2010年に改訂された.改訂基準では大動脈病変,水晶体脱臼,遺伝子変異に重点がおかれ,骨格所見はsystemicscoreに一括された.<br><b>方法:</b>2008年4月~2009年12月に東京大学医学部附属病院小児科マルファン外来を受診し,従来のGhent基準(旧基準)においてMarfan症候群と診断または疑いでフォローされている症例38例について,改訂Ghent基準(改訂基準)における診断の詳細を検討した.<br><b>結果:</b>旧基準を満たした症例は13例,改訂基準は22例であり有意な増加を認めた(p=0.0039).改訂基準を満たした22症例のうち17例(77%)に家族歴を認めた.改訂基準を満たした症例の内訳は,大動脈所見が10/22例(45%),水晶体脱臼が10/22例(45%),systemic score≧7が4/22例(18%),FBN1遺伝子変異が2/3例(67%)であった.<br><b>結論:</b>改訂Ghent基準は旧基準より簡易化され診断が容易になった.さらに<i>FBN1</i>遺伝子解析が普及すれば,診断精度の向上および診断数の増加が期待される.
著者
飯島 勝矢 亀山 裕美 秋下 雅弘 大内 尉義 柳元 伸太郎 今井 靖 矢作 直樹 ロペズ ギヨーム 酒造 正樹 山田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

高齢化が進む中で高齢者認知症患者の管理が大きな問題である。また、認知症は高血圧も含めた生活習慣病との関連も注目されていることから、より幅広い病態把握が必要である。今回、我々はもの忘れを主訴とする高齢入院患者を対象に、カフを必要としないウェアラブル血圧センサーを用いて、様々な負荷による血圧短期変動を検討した。認知機能レベルとそれを背景としたストレス感受性の観点からこの血圧センサーの有用性を報告する。
著者
森 絵美 細谷 弓子 今井 靖 大橋 俊則 田澤 英克 馬渡 和真 森田 啓行 北森 武彦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.461-468, 2015-06-05 (Released:2015-07-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

マイクロフルイディクス(微小流体工学)と熱レンズ顕微鏡を応用して酵素結合免疫測定(enzyme-linked immunosorbent assay: ELISA)をシステム化した新しい機能デバイス(μELISA)を開発した.μELISAは,これまでの研究成果で,ヒト血清でも優れた性能を発揮してきた.しかしながら,様々な患者検体でマイクロリットルオーダーの微量分析を行う場合には,患者ごとに異なる検体の成分組成や粘度の違いによる影響などが課題となる可能性がある.本研究では,測定対象とするマーカーをC反対性タンパク(CRP)として,実際の患者血清に対して考慮すべき測定条件を検討した.その結果,マイクロ流体系では検体に由来する影響があることが分かり,信頼性のある測定値を得るためには,緩衝液にて希釈をする必要があることが分かった.
著者
上野 正典 田中 みどり 今井 靖幸 渡邉 朝子
出版者
高山赤十字病院
雑誌
高山赤十字病院紀要 (ISSN:03877027)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.7-12, 2015-03-01 (Released:2015-08-12)

急性期・回復期のリハビリテーション(以下リハ)は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職が関わり、多い場合には1日に3時間ものリハを受ける機会がある。しかし退院後、生活期に移行すると、当施設をはじめ多くの老健施設では専門職によるマンツーマンで実施する個別リハの時間は大幅に減少する。そのため、入所される利用者の中にはリハに対し不安を抱かれる方も少なくない。武原は、急性期・回復期のリハが機能障害の回復を目的とした「治療モデル」であるのに対して、老健施設のリハは残された心身機能でいかに快適な生活を実現するかをテーマにした「生活支援モデル」であると位置づけている。そこで今回、病院リハを終了後に当施設へ入所された利用者の身体機能、精神機能、ADLを評価し、当施設のリハにおける現状と課題を検証した結果、精神機能・ADLにおいて有意差を認め改善傾向を示すことが示唆された。
著者
渡部 生聖 林 同文 今井 靖 光山 訓 瀬戸 久美子 新谷 隆彦 橋口 猛志 野口 清輝 真鍋 一郎 戸辺 一之 山崎 力 永井 良三
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.383-390, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

ミッションプログラム医療安全研究グループにおいては, 日々の診療で膨大に発生する各種の診療情報から, 情報処理技術の適用により医学的知見を抽出し, その知識を国内で共有化する為の汎用的な手法について研究を行っている. 研究にあたっては, 倫理面に配慮された適切な情報収集・管理手法によって得られた実際の診療情報を, 医学と工学, それぞれの専門家が共同で体系化することにより, 臨床的に有用な知見を得るにいたっている. これらの医学的成果及びその普及手段としての技術的成果を併せて報告する.