著者
金子 賢人 松田 雅弘 千葉 康平 山下 智幸 刀祢 麻里 粟野 暢康 久世 眞之 猪俣 稔 林 宗博 出雲 雄大 森本 正
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.547-551, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

〔目的〕新型コロナウイルス感染症(COVID-19)群と細菌性肺炎群の身体機能と経過について検討する.〔対象と方法〕入院前ADLが自立していた患者で,入院中に人工呼吸管理を行ったCOVID-19患者12例,または細菌性肺炎患者10例を比較検討した.〔結果〕COVID-19群の入院からリハビリテーション開始までの期間は,細菌性肺炎群の入院からリハビリテーション開始までの期間と比較して有意に遅延していた.しかし,リハビリテーション介入を実施することで身体機能や基本動作能力が向上する傾向にあり,対照群との身体機能の回復傾向は同等であった.〔結語〕COVID-19患者においても早期からリハビリテーションを開始する必要性があることが示唆された.
著者
多田野 康太 諸江 雄太 長嶺 圭祐 廣嶋 俊 戸塚 亮 乃美 証 鷺坂 彰吾 山下 智幸 林 宗博
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.151-153, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
9

症例は20代, 男性。都内駅構内で何者かに突然液体をかけられ受傷した。現場で脱衣, 少量の流水で洗浄し日本赤十字社医療センターへ搬送された。現場で活動中の消防隊により液体はオキシ硫酸バナジウムと判明した。硫酸による化学熱傷と診断し, 来院時に多量の流水で洗浄し外用薬剤治療を開始した。受傷後約1週間後に上記受傷部を計10%程度のSDB~DDB相当と診断し, その後も軟膏による保存的治療を行った。さらに両側の角膜損傷も認めたため, 生理食塩液で眼球洗浄を行った。角膜損傷は両側角膜上皮欠損と診断され, ステロイドの内服と羊膜移植の後に, 治療用ソフトコンタクトレンズを使用した。皮膚, 角膜ともに良好な上皮化を得て, 受傷後約1カ月で退院した。その後外来治療を継続し, DDB相当の受傷部位は一部ケロイド瘢痕化, その他の部位は色素沈着となった。アシッドアタックによる化学熱傷は初期の十分な洗浄が重要である。
著者
千葉 康平 金子 賢人 出雲 雄大 山下 智幸 林 宗博 田中 清和
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.627-633, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
34

〔目的〕重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する腹臥位療法実施前後の呼吸機能を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕2020年3月~2021年11月に日本赤十字社医療センターで人工呼吸器管理を行ったCOVID-19患者24例を対象とした.対象群における腹臥位療法実施前後での呼吸機能を比較検討した.呼吸機能の指標には,血液データからP/F比と人工呼吸器のグラフィックモニターからPpeak,PEEP,⊿P,Cstatを用いた.〔結果〕腹臥位療法実施後,P/F比とCstatは有意に増加していた.腹臥位療法実施後,PpeakとPEEP,⊿Pは減少していたが有意差はなかった.〔結語〕重症COVID-19患者に対する腹臥位療法実施は,呼吸状態改善に寄与することが示唆された.