著者
一杉 正仁 有賀 徹 三宅 康史 三林 洋介 吉沢 彰洋 吉田 茂 青木 義郎 山下 智幸 稲継 丈大
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.53-58, 2020 (Released:2021-04-02)
参考文献数
12

緊急自動車に対する反射材の取り付けについて学術的に検討した結果、次のとおり推奨する。 1.反射材を車体に取り付けることは、視認性の向上に有用である。 2.反射材の選択においては、再帰性に富んだ反射材が望まれる。 3.反射材の取り付けにおいては、他の交通の妨げにならないこと、車両の前面に赤色の反射材を用いないこと、車両の後面に白色の反射材を用いないこと、が原則である。 4.車体の輪郭に沿って反射材が取り付けられること、車体の下部にも反射材が取り付けられること、は視認性の向上に有用である。 5.蛍光物質を含む反射材は、夜間のみならず、明け方、夕暮れ、悪天候などでの視認性向上に有用である。 6.今後は救急自動車以外の緊急車両、現場で活動する関係者が着用する衣服などで、反射材を用いた視認性の向上を検討する余地がある。
著者
金子 賢人 松田 雅弘 千葉 康平 山下 智幸 刀祢 麻里 粟野 暢康 久世 眞之 猪俣 稔 林 宗博 出雲 雄大 森本 正
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.547-551, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

〔目的〕新型コロナウイルス感染症(COVID-19)群と細菌性肺炎群の身体機能と経過について検討する.〔対象と方法〕入院前ADLが自立していた患者で,入院中に人工呼吸管理を行ったCOVID-19患者12例,または細菌性肺炎患者10例を比較検討した.〔結果〕COVID-19群の入院からリハビリテーション開始までの期間は,細菌性肺炎群の入院からリハビリテーション開始までの期間と比較して有意に遅延していた.しかし,リハビリテーション介入を実施することで身体機能や基本動作能力が向上する傾向にあり,対照群との身体機能の回復傾向は同等であった.〔結語〕COVID-19患者においても早期からリハビリテーションを開始する必要性があることが示唆された.
著者
吉沢 彰洋 中村 俊介 山下 智幸 三林 洋介 一杉 正仁 有賀 徹
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.79-80, 2016 (Released:2018-03-01)

長野県北アルプス広域消防本部において、2015年11月に実施された既存車両への「再帰性に富んだ反射材」貼付の実証実験とその後のアンケート調査の結果、非常に高い評価を得た。このうち救急車に関しては、実車両の反射具合と国土交通省発出文書に関する松本自動車検査登録事務所の解釈が落ち着いたことを確認して、貼付位置等を若干変更し、2016年3月18日「再帰性に富んだ反射材」を備えた新車の納車を迎えた。
著者
多田野 康太 諸江 雄太 長嶺 圭祐 廣嶋 俊 戸塚 亮 乃美 証 鷺坂 彰吾 山下 智幸 林 宗博
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.151-153, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
9

症例は20代, 男性。都内駅構内で何者かに突然液体をかけられ受傷した。現場で脱衣, 少量の流水で洗浄し日本赤十字社医療センターへ搬送された。現場で活動中の消防隊により液体はオキシ硫酸バナジウムと判明した。硫酸による化学熱傷と診断し, 来院時に多量の流水で洗浄し外用薬剤治療を開始した。受傷後約1週間後に上記受傷部を計10%程度のSDB~DDB相当と診断し, その後も軟膏による保存的治療を行った。さらに両側の角膜損傷も認めたため, 生理食塩液で眼球洗浄を行った。角膜損傷は両側角膜上皮欠損と診断され, ステロイドの内服と羊膜移植の後に, 治療用ソフトコンタクトレンズを使用した。皮膚, 角膜ともに良好な上皮化を得て, 受傷後約1カ月で退院した。その後外来治療を継続し, DDB相当の受傷部位は一部ケロイド瘢痕化, その他の部位は色素沈着となった。アシッドアタックによる化学熱傷は初期の十分な洗浄が重要である。
著者
千葉 康平 金子 賢人 出雲 雄大 山下 智幸 林 宗博 田中 清和
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.627-633, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
34

〔目的〕重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する腹臥位療法実施前後の呼吸機能を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕2020年3月~2021年11月に日本赤十字社医療センターで人工呼吸器管理を行ったCOVID-19患者24例を対象とした.対象群における腹臥位療法実施前後での呼吸機能を比較検討した.呼吸機能の指標には,血液データからP/F比と人工呼吸器のグラフィックモニターからPpeak,PEEP,⊿P,Cstatを用いた.〔結果〕腹臥位療法実施後,P/F比とCstatは有意に増加していた.腹臥位療法実施後,PpeakとPEEP,⊿Pは減少していたが有意差はなかった.〔結語〕重症COVID-19患者に対する腹臥位療法実施は,呼吸状態改善に寄与することが示唆された.
著者
金子 賢人 石坂 正大 千葉 康平 山下 智幸 乃美 証 田中 清和 髙橋 仁美 久保 晃
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.537-542, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
13

〔目的〕重症COVID-19肺炎で入院し,自立歩行で退院した患者の特徴を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕集中治療室でリハビリテーションを実施した112例を対象に,退院時の歩行の可否で自立群(76名)と非自立群(36名)を基礎情報,呼吸機能,身体機能,離床状況を2群で比較,検討した.〔結果〕自立群と非自立群は,年齢(55.8 ± 12.3 vs 66.7 ± 13.0歳),せん妄(12 vs 12名),Sequential Organ Failure Assessment score(SOFA)スコア(7 vs 8),ferritin(1813 vs 1168 ng/mL),挿管期間(6.1 vs 11.1日)で有意差がみられた.〔結語〕自立群では,年齢,せん妄,SOFAスコア,ferritin,挿管期間が関係することが示唆された.
著者
山下 智幸 山下 有加
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
INTENSIVIST (ISSN:18834833)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.391-412, 2016-04-01

日本産婦人科医会妊産婦死亡症例検討評価委員会の調査1)では,国内の妊産婦死亡は2010〜2014年の5年間で237例発生しており,平均すると47.4例/年の頻度である。年間出生数が100万人強であることを考慮すると,おおよそ21000分娩に1例程度の妊産婦死亡と概算できる。 一方,米国では,妊婦の心停止は12000分娩に1例2)と考えられている。米国疾病対策センター(CDC*1)の調査3)では,はっきりとした原因はわかっていないものの,妊娠関連死亡数は増加傾向であることが指摘されており,2011年の妊娠関連死亡は17.8例/10万生存分娩である。ヨーロッパの妊産婦死亡は,国ごとに異なるものの16例/10万生存分娩と推定されている4)。カナダでは,2009年10月〜2010年11月において,6.1例/10万分娩で減少傾向である5)。日本では6例/10万生存分娩で,先進国全体の16例/10万生存分娩よりも下回っている4)。 妊産褥婦心停止の頻度は決して高くない。しかし,これらの調査は生命予後のみに焦点が当てられた調査であり,妊産褥婦の心停止ニアミス症例*2がどの程度なのか,あるいは機能予後がどうなっているかについては現時点ではわかっていない。オランダの調査6)ではニアミス症例が約141分娩に1例存在していることを指摘しており,妊産褥婦の心停止に対する備えの重要性を物語っている。 救急・集中治療に従事する医療スタッフは,緊急度・重症度の高い事象に十分備える必要があるが,妊産褥婦の蘇生に関する特別な知識や技術を身につけることに加え,診療体制を整備しておくことが欠かせない。「知ってはいるが,実際にできない」では元も子もないのである。本稿では,最新の蘇生ガイドラインの内容も含めながら,妊産褥婦の蘇生について解説する。Summary●妊婦の蘇生では,一般成人の蘇生と同様に質の高いCPRが重要である。●子宮左方圧排を用手的に行い,大動脈・下大静脈圧迫(ACC)を解除する。●妊婦心停止では,その場で帝王切開を行い,児を娩出させる必要がある。●施設内での備えが重要で,シミュレーションなどを行っておくことが望ましい。