著者
井出 保行 林 治雄 下田 勝久 坂上 清一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.157-162, 1999-07-31
被引用文献数
8

牛糞による種子散布がケンタッキーブルーグラスの繁殖に及ぼす影響を明らかにするため,牛に経口給与されたケンタッキーブルーグラス種子の回収率およびその発芽率を他のイネ料牧草との比較で検討した。さらに,ケンタッキーブルーグラスが優占する放牧草地(草地試験場山地支場)において,糞中種子の種類およびその粒数の季節的な変化を調査した。ケンタッキーブルーグラス,オーチャードグラス,ベレニアルライグラスの種子を体重260-273kgの黒毛和種育成牛に経口給与すると,草種に関係なく,種子は給与後24-48時間に最も多く排出され,72時間までに総排出量の80-90%が排出された。給与種子の回収率は,ケンタッキーブルーグラス>べレニアルライグラス>オーチャードグラスの順に高く,回収された種子の発芽率はケンタッキーブルーグラスが最も高かった。草地試験場山地支場内にあるケンタッキーブルーグラス便占放牧草地では,確認された19草種の内,7草種の種子が翼中から検出され,ケンタッキーブルーグラスの種子が最も多く含まれていた。ケンタッキーブルーグラスの翼中種子は7月上旬から8月中旬にかけて観察され,7月中旬に含有量が最も多かった。
著者
井出 保行 林 治雄 下田 勝久 坂上 清一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.163-169, 1999-07-31
被引用文献数
4

ケンタッキーブルーグラスが優占する放牧草地(草地試験場山地支場)において,ケンタッキーブルーグラスの開花,結実および糞中種子の季節的な動態を調査した。また,菅平牧場では,ケンタッキーブルーグラスの糞中種子による既存群落(ササ型草地)内への侵入実態を調査した。草地試験場山地支場内の調査放牧草地では,ケンタッキーブルーグラスの開花は6月の中旬に始まり,6月下旬にはその大半が結実した。糞中種子は,7月上旬から8月中旬にかけて検出され,7月中句にはその数および発芽率がピークに達した。これらの結果より,牛糞による種子散布が可能な期間は,開花から4週目以降の約1ヶ月間と推察された。菅平牧場における調査牧区では糞塊中にシバ種子が最も多く含まれていたが,糞中種子によってササ型草地内に侵入した植物の中ではケンタッキ-ブルーグラスの平均被度および出現頻度が最も高かった。また,シバを除く侵入植物の被度と糞塊の被度との間には有意な正の相関関係が認められた。これらの結果より,糞中種子による植物の侵入および定着には,糞の分布や糞中種子数だけではなく,侵入後に起こる既存植生や他の侵入草種との競合過程が問題になると考えられた。
著者
趙 菲 林 治秀 田端 孝義
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.73-79, 2004-12-30

ヒトの経穴(右手の合谷又は右足の足三里)を電気鍼刺激し, レーザー血流計で両側手の指掌と両側足背の皮膚血流変化を測定した。経穴刺激による血流変化(増加又は減少)は刺激開始後の時間や被験者により差が見られた。刺鍼前の血流量を100%として, 全被験者の平均値で表すと, 15分間の合谷電気鍼刺激により, 同側及び対側の指掌の血流は留鍼5分後148%及び137%とそれぞれ有意に増加し, その後刺激前の値に回復した。又, 合谷刺激による両側足背の血流は留鍼中増加傾向を示し, 抜鍼後有意に増加した(同側の足背, 126%;対側の足背, 141%)。足三里電気鍼刺激では留鍼中両側足背の血流は変化せず, 抜鍼後血流は有意に減少した(同側の足背, 90%;対側の足背, 88%)。足三里刺激による両側指掌の血流には, 留鍼中及び抜鍼後とも有意な血流変化は認められなかった。以上の結果は合谷や足三里鍼刺激が手足の皮膚血流を変化させることを示し, この結果とラットを用いて行った同様の実験の結果とを比較検討した。