著者
大渓 隆弘 渡邊 直純 井上 真 大渓 彩香 林 達彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.845-849, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
17

目的:中心静脈ポート(CVポート)造設時のリアルタイムエコーガイド下(リアルタイム法)内頸静脈穿刺の有用性を検討した.方法:2010年1月から2019年12月までに当院でCVポート造設を施行した173例を対象とした.リアルタイム法による内頸静脈穿刺92例(内頸群)とランドマーク法による鎖骨下静脈穿刺81例(鎖骨下群)に分け,臨床所見と合併症を比較検討した.結果:内頸群で右側穿刺が多く(P< 0.01),手術時間が長かった(P < 0.01).鎖骨下群で手術時合併症が6例(7%)に認められたが(気胸/動脈穿刺/穿刺困難:3/1/2例),内頸群では認められず,有意に少なかった(P < 0.01).内頸群の方が観察期間は短いものの(P < 0.01),術後合併症も有意に少なかった(P = 0.024).結語:CVポート造設時のリアルタイム法による内頸静脈穿刺は手術時合併症を減らし,術後合併症も減らす可能性がある.
著者
峠 弘治 渡邊 直純 臼井 賢司 榎本 剛彦 濱 勇 林 達彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.1604-1608, 2015 (Released:2016-01-30)
参考文献数
23

症例は42歳,男性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診.CTにて限局性の小腸炎の診断で点滴目的に入院となった.診察時,陰嚢浮腫を認めた.弟や姪が非対称性の顔面や口唇の浮腫をきたした家族歴があり,しばしば腹痛を呈していたことから遺伝性血管浮腫を疑い,補体のC4およびC1インヒビター(C1-INH)を検査した.C4,C1インアクチベーターはいずれも低下しており,遺伝性血管浮腫と診断した.遺伝性血管浮腫はC1-INHの量的欠損または機能的な減弱によって起きる遺伝性疾患である.精神的・肉体的ストレスを誘因として顔面や咽頭,腸管浮腫をきたす.稀な疾患ではあるが,急性腹症を呈する疾患として鑑別に挙げるべきである.今回,われわれは当院において遺伝性血管浮腫の1症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
小林 達彦 合田 昌彦 東端 啓貴 橋本 義輝
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

昨年度までに、(D-アミノ酸ラセマーゼ,D-アミノ酸トランスアミナーゼ,D-アミノ酸オキシダーゼを含む)既知のD-アミノ酸代謝酵素遺伝子とは全く相同性を示さない、新規な酵素がD-アミノ酸代謝に関わっていること明らかにした。大腸菌ゲノムデータベース上でo341#16と登録されている遺伝子が本資化能に関与しているが、予想される開始コドンより32アミノ酸下流のメチオニンがN末端アミノ酸であると同定した。そこで、本メチオニンに対応するコドンを基に新たにデザインした合成オリゴヌクレオチド(と、終止コドン下流の塩基配列を基にデザインした合成オリゴヌクレオチド)を用いてPCR法によって増幅した遺伝子の大腸菌JM109での発現をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検討した結果、全可溶住タンパク質の40%もの著量発現が認められた。本発現産物を用いて、D-シスチン分解酵素活性を測定した結果、顕著な活性を示すことが明らかとなった。また、分解産物として、ピルビン酸、アンモニア、硫化水素を同定することに成功し、本発現産物はD-シスチンデスルフヒドラーゼであることが判明した。続いて、本酵素をDEAE-Sephacel、Mono-Qカラムクロマトグラフィーに供することによって、電気泳動的に単一に単離精製することに成功した。本酵素の分子量は72,000であり、分子量35,000のサブユニット2個から構成されることが明らかとなった。本酵素のD-シスチンに対するKm値は1.07mMであり、Vmaxは9.32μmol/min/mgであることが判明した。また、本酵素はD-システインにも作用し、そのKm値は0.87mMであり、Vmaxは4.51μmol/min/mgであった。さらに、本酵素は逆反応をも行うことが判明した。
著者
小林 達彦
巻号頁・発行日
2012

科学研究費補助金研究成果報告書:基盤研究(A)2007-2009
著者
清水 昌 片岡 道彦 小林 達彦
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

(1)土壌より分離した糸状菌Mortierella alpina 1S-4をグルコースを主炭素源とする培地で培養すると、菌体中に著量のアラキドン酸含有油脂を蓄積することを見いだした。本菌を用いてアラキドン酸含有油脂の蓄積量増大に関する培養条件の検討を行った。炭素源としてグルコースと共にオリーブ油、パーム油などのオレイン酸含有油脂を併用すると、菌体油脂中の不飽和脂肪酸の割合が著しく上昇することを見いだした。また、培養時間の延長、窒素飢餓条件下でグルコースなどの炭素源の添加は、アラキドン酸含量の上昇に寄与した。最適条件下でのアラキドン酸生産量は約5g/lに達した。(2)本菌のアラキドン酸生合成経路の解明を行った。その結果、本菌ではグルコースから生成したステアリン酸が不飽和化と鎖長延長を繰り返してアラキドン酸へ至ることを生合成経路の各中間体を単離することにより明らかにした。(3)アラキドン酸生合成に関与するΔ5不飽和酵素反応について検討を加え、本反応の特異的阻害剤が天然物中に存在することを認めた。ゴマ種子、ウコンの抽出物から阻害剤の単離を試み、それぞれセサミン関連リグナン化合物、クルクミンを単離・同定した。(4)上記のゴマ種子抽出物またはウコン抽出物を本菌の培養液中に共存させて培養を行うと、Δ5不飽和化反応が抑制され、アラキドン酸の前駆体であるジホモ-γ-リノレン酸が蓄積することを認めた。最適条件下での生産量は3.2g/lであった。