著者
枡田 恵
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.151-161, 2014 (Released:2016-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

これまで幼児の感情発達に関する研究は,感情語や表情図を用いて感情や表情の理解を測る課題が中心であり,表現の側面に焦点を当てたものは見られない。そこで本研究は,幼児期における感情発達について理解と表現の両側面から検討した。言語の発達途上にある幼児を対象とするために,言語的課題と非言語的課題の両方を使用し,これらの課題の関連を調べた。4歳から6歳の幼児44名を対象に,喜び・悲しみ・怒り・恐れ・驚きを引き起こすような物語を読み聞かせた後に,主人公の気持ちに感情をラベリングさせる課題を行い,感情の理解を言語的に調べた。その後で,主人公の表情を描く描画課題,ならびに主人公の表情を自ら表現する表情表現課題という二つの非言語課題を行った。その結果,ラベリング課題と描画課題,表情表現課題のどちらの間にも有意な相関は見られず,理解課題と表現課題は,異なる認知過程を要すると考えられた。また年中児においては,描画課題と表情表現課題の間に有意な相関が見られたことから,幼児期においては,描画で示された表情表現は言語的な理解能力ではなく,実際の表情表現能力と関連している可能性が示唆された。
著者
市村 賢士郎 河村 悠太 枡田 恵 伊川 美保 髙橋 雄介 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.20333, (Released:2022-02-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2

In recent years, there has been a growing social movement in Japan to develop better work styles. With this background, the present study aimed to examine the relationship between achievement goals and meaningful work in Japan to replicate studies conducted in the West. In addition, we also examined whether an occupational classification moderates the relationship between achievement goals and meaningful work. To this end, we conducted a web survey comprising of blue- and white-collar workers (N = 792) aged 19 to 69. Multiple regression analysis showed that mastery-approach and performance-approach goals were relatively strongly related to meaningful work. Additionally, among white-collar workers, it was observed that performance-approach goals had a positive relationship with meaningful work while performance-avoidance goals had a negative relationship. These results suggested that, in Japan, both mastery-approach and mastery-avoidance goals are related to meaningful work, and that the relationship between performance goals and meaningful work differs based on the goals in the occupation.
著者
枡田 恵
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.151-161, 2014

これまで幼児の感情発達に関する研究は,感情語や表情図を用いて感情や表情の理解を測る課題が中心であり,表現の側面に焦点を当てたものは見られない。そこで本研究は,幼児期における感情発達について理解と表現の両側面から検討した。言語の発達途上にある幼児を対象とするために,言語的課題と非言語的課題の両方を使用し,これらの課題の関連を調べた。4歳から6歳の幼児44名を対象に,喜び・悲しみ・怒り・恐れ・驚きを引き起こすような物語を読み聞かせた後に,主人公の気持ちに感情をラベリングさせる課題を行い,感情の理解を言語的に調べた。その後で,主人公の表情を描く描画課題,ならびに主人公の表情を自ら表現する表情表現課題という二つの非言語課題を行った。その結果,ラベリング課題と描画課題,表情表現課題のどちらの間にも有意な相関は見られず,理解課題と表現課題は,異なる認知過程を要すると考えられた。また年中児においては,描画課題と表情表現課題の間に有意な相関が見られたことから,幼児期においては,描画で示された表情表現は言語的な理解能力ではなく,実際の表情表現能力と関連している可能性が示唆された。