著者
柴 玲子 根本 幾
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.139-142, 2004-11-05
参考文献数
3

和音の協和度の認知のメカニズムを調べるため、心理的協和度が異なる2音和音を聴いたときの脳磁図測定を行った。単音(A4:440Hz)と,440Hzから880Hz(A5)まで平均律で半音ずつ高くなっていく単音の2つを組み合わせて13種類の和音を合成し、測定を行った。その結果、実験に用いた和音の中で最も不協和とされる短2度(m2)の和音では、左右の聴覚誘発反応において、潜時200〜400msec付近の脳磁図の値が他の和音に比べて大きくなる傾向が見られた。この結果は、不協和音聴取時の潜時200〜400msec付近における複数の反応の存在を示唆する。
著者
田中 裕美子 前川 喜久雄 石田 宏代 入山 満恵子 柴 玲子 兵頭 昭和
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

H21年度は、これまでに作成した発話誘発課題を用いて文法習得を評価するための具体的な指標を構築し、さらに、臨床像を掘り下げるために新しい発話誘発法を作成し、検討を試みた。1.ナラティブのミクロ構造指標の構築と躓きの判定成人(10名)、学童(10名)、幼児(10名)の「カエルの話Frog,where are you?」(Mayer,1969)の再生発話の分析に用いてきた構造指標T-unitに加え、従属節などのComplexity指標や、語の総数や異なる語数などのproductivity指標を加えるとともに、5人の分析者が95%の一致を認めるためのトレーニング作業を行った上で、ナラティブ再生発話を分析した。その結果、学童期から発話に関係節や従属説などの複雑指標が増すこと、また、productivityは幼児<学童<成人となり、文法発達の躓きを判定するための指標が得られた。2.受動態・使役態文を誘発する課題を用いた文法の問題特性の解明臨床家が印象として持つ「文法の問題」とは具体的にどういうことかを検討するために、斎藤氏の構文検査(試案)を応用し、複数の言語発達障害児から受動態・使役態文を誘発した。その結果、学齢期になっても受動態・使役態文を構成する際に、動詞の活用に音韻の誤りもしくは不確かさが認められる場合、文法の問題に音韻が介在する可能性が示唆された。また、構造化された誘発課題では受動態・使役態文が言えるが、ナラテイィブの中ではできないなど、文脈によるパフォーマンスの違いが明らかになり、日常の場面で使用できるかどうかを確認するための誘発方法を作成することが今後の課題である。最後に、人物の特性や状況を加味した受動態・使役態の理解課題を考案し、健常児・障害児への実施を行い、表出できないときの背景を探り始めた。