- 著者
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富岡 康浩
柴山 淳
永山 篤子
- 出版者
- 都市有害生物管理学会
- 雑誌
- 家屋害虫 (ISSN:0912974X)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.1, pp.11-19, 1997-06-30
- 被引用文献数
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1.ガイマイゴミムシダマシ(以下ガイマイと略記)を各種の餌条件で飼育し,発育日数および蛹化率,羽化率を比較した。またガイマイの幼虫(若齢,中齢,終齢),成虫にイエバエの卵および各ステージの幼虫を給餌し,1日当たりの捕食数を調べた。さらにイエバエ幼虫飼育培地にガイマイをいろいろな密度で放飼し,ハエに対する羽化抑制効果を評価した。2.各種の餌におけるガイマイの孵化から羽化までの発育日数(平均±標準偏差)と羽化率は,フスマが37.6±2.5日,51.1%,魚粉が43.2±5.0日,53.3%となり,動物性タンパク質を主成分とし炭水化物をほとんど含有しない魚粉でも発育が十分可能であった。これらを混合した餌では32.1±2.9日,82.2%,合成飼料では32.1±2.9日, 85.6%となり,炭水化物,タンパク質ともある程度含有させると,より発育に適した飼料となった。3.ガイマイは乾燥鶏糞だけでも生育完了が可能であったが,発育日数は54.4±7.0日と遅延し,羽化率も17.7%と低かった。4.ガイマイの成虫,幼虫ともイエバエの主に卵と2日齢までの小さな幼虫を捕食し,捕食数はガイマイ終齢幼虫で最高となり,イエバエ卵を約41個/日,2日齢を約24頭/日捕食した。ガイマイ成虫の捕食数は,卵が18個/日,2日齢が約9頭/日であった。5.イエバエの3日齢幼虫飼育培地にガイマイをいろいろな密度で放飼した際のハエの羽化率は,ガイマイ成虫では80頭放飼でも73.7%であったが,終齢幼虫では10頭放飼で約30%,20頭放飼で約20%となり,成虫より終齢幼虫の方がハエに対する羽化抑制効果が高かった。