著者
町田 龍一郎 増本 三香
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.73-76, 2006-02-28
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
木村 悟朗 富岡 康浩 矢口 昇 谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.127-131, 2011-12-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

東京都豊島区内の異なる2つのアパートの1室において,トコジラミCimex lectulariusの物理的防除と化学的防除を行った.前者の防除法としてスチームクリーナーを使用し,後者として殺虫剤を使用した.スチームクリーナーを使用した1室では,試験期間中に捕獲したトコジラミの総個体数は,幼虫227個体,成虫52個体,合計279個体であった.また,処理6日後の日平均捕獲数は減少したが,その後は急激に増加し,処理14日後には処理前と同程度の捕獲数に達した.一方,殺虫剤を使用した1室では,試験間中に捕獲したトコジラミの総個体数は,幼虫7個体,成虫5個体,合計12個体と少なかった.また,試験期間中の日平均捕獲数は減少し続けた.処理後の増加パターンの違いは,トコジラミに対する残効性の違いが主な原因であると推察される.
著者
田中 和夫
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.95-141, 2000-12-01
参考文献数
13

双翅類は所謂ハエ,カ,アブ,カガンボ(ガガンボ),ブユなどと称される昆虫で,最も進化した昆虫類の一つである.中生代初期から地球上に現れたと考えられ,歴史的には完全変態類では甲虫類より新しく,鱗翅類よりは古い.世界で10万近い種が知られ,日本では1989年のリストで5,232種が記録されている.推定実在数は世界で15~35万といわれ,日本では1~2万と思われる.尚,上記のハエ,アブなどの名前は,分類学上の区分に必ずしも正確に対応していないことに注意して頂きたい.
著者
安富 和男
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.63-67, 2000-01-30
参考文献数
7

1.ゴキブリは古生代石炭紀の原ゴキブリ類から現存の種類まで,3億年の間子孫を継承し続けてきた「生きた化石」である。2.日本産ゴキブリは9科,25属,52種7亜種記録されており,家屋内の害虫ゴキブリは年々分布を北にひろげている。3.ゴキブリ繁栄の理由は,旺盛な繁殖力,弾力性に富む体,強い脚力,鋭い感覚,雑食性,飢餓に耐える生理機構,殺虫剤抵抗性の発達などにある。4.「人類のあとはゴキブリの時代か?」についても推察した。
著者
富岡 康浩 柴山 淳 Yasuhiro TOMIYAMA Atsushi SHIBAYAMA イカリ消毒(株)新技術開発部 イカリ消毒(株)新技術開発部 Division of research and development IKARI corporation Division of research and development IKARI corporation
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.10-16, 1998-06-30
参考文献数
9
被引用文献数
8

筆者らの保管するゴキブリ類12種の日本国内における注目すべき分布記録を報告した。沖縄本島でのチャバネゴキブリの記録は,日本における最南の記録である。栃木県今市市のモリチャバネゴキブリ,神奈川県横須賀市のキスジゴキブリは,いずれも分布北限の記録である。新潟市のキョウトゴキブリは本州日本海側の,青森県八戸市のヤマトゴキブリは太平洋側の北限の記録である。また硫黄島でのコワモンゴキブリは初記録であり,当地でオガサワラゴキブリの雌雄が混棲していた点も注目される。1990年に千葉県浦安市でサツマゴキブリ成虫1頭が採集され,これは本州で初めての記録である。しかし人為的な移入と推察され,その後は現在まで全く確認されていない。なお以前から東京近郊での定着が知られているものの発表記録の少なかったワモンゴキブリ,トビイロゴキブリについて,近年の採集記録を記した。The distributions of 12 cockroach species in Japan were reported. Among these species, Blattella germanica (LINNE) on Okinawa main Island was reported as the southern most record. Symploce striata (SHIRAKI) recorded from Yokosuka-city in Kanagawa Prefecture and Blattella nipponica ASAHINA from Imaichi-city in Tochigi Prefecture, provided the northern most specimens ever collected, respectively. The other two species, Asiablatta kyotensis (ASAHINA) at Niigata-city in Niigata Prefecture and Periplaneta japonica KARNY from Hachinohe-city in Aomori Prefecture were considered to be their northern most records in the western and eastern parts of Honshu Island, respectively. Furthermore, Periplaneta australasiae (FABRICIUS) was first recorded at Iwojima (Ogasawara Islands). It is worth of nothing that both sexes of Pycnosce Ins surinamensis (LINNE) were cofirmed on this Island in May. Although an adult of Opisthoplatia orientalis (BURMEISTERE) was captured at Urayasu-city in Chiba Prefecture in 1990, the first record in Honshu Island, no indvidual has been collected since then. It is presumed that this species was introduced to this area accidentally but failed to establish a population. Rare records of Periplanela americana (LINNE) and P. brunnea BURMEISTER in Tokyo area, which have a few reports of their establishment, are also included in this article.
著者
大野,正彦
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, 2011-12-20

カベアナタカラダニ(Balaustium murorum)はわが国の都市部における不快害虫である.住民はこのダニの害,特に刺されることを心配している.このダニが人を刺して痒みや皮疹を起こすのか明らかにするため,人の皮膚に6ないし24時間接触させ,その後の皮膚の状態を観察した.生きているダニは痒みを起こさず,刺したり皮疹を生じさせたりすることはほとんどないと考えられた.しかし,潰したダニを24時間接触した被験者に赤い皮疹が生じた.ダニの体液が皮膚障害を発生させたと思われた.ダニを潰してその体液を皮膚に付けないよう注意する必要がある.
著者
川上 裕司 本堂 朋子 米田 麻子 庄子 健一 清水 一郎 井上 正
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.135-143, 2004-12-15
参考文献数
22
被引用文献数
2

2000年8月~9月に,東京都所在の一般住宅6軒と病院1軒を対象として,フェロモントラップを使ってタバコシバンムシを捕獲した.捕獲した個体から2つの方法で細菌と酵母菌を分離した.一方の個体群は1頭ずつ解剖して消化管を取り出し,滅菌チユーブに移した.もう一方の個体群は1頭ずつ翅を外した腹部のみを滅菌チユーブに移した.検体を入れた滅菌チューブに1mlのリン酸緩衝生理食塩水を加え,タッチミキサーを使って振とうした.この洗浄液を6種類の培地を用いて,好気性または嫌気性培養して細菌と酵母菌を分離した.分離された細菌と酵母菌からDNAを抽出した.そして,SSUrDNAの塩基配列を調べることによって細菌と酵母菌の同定を行った.この結果,14種29株を同定した.この内訳は,グラム陽性菌8種20株,グラム陰性菌4種7株,酵母菌2種2株であった.細菌は7属が分離された.この内訳は,Bacillus cereusを含むBacillus属が4種,Enterobacter agglomeransを含むEnterobacter属が3種で,他の5属は1種ずつだった。病院で採集した個体から抗生物質耐性菌として知られているEnterococcus faecalisが分離されたことは注目すべき結果だった.また,酵母菌はCandida kruseiとRhodotorula rubraであった。
著者
田中 和夫
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-106, 2003-11-29
参考文献数
19
被引用文献数
1

トルキスタンゴキブリBlatta lateralisの分類と形態について概略を述べ,近似の屋内害虫種との区別点に就いて記し,日本産ゴキブリ科Blattidaeの4属の識別点を検索表で示す.再移入の可能性に就いて簡単に言及する.
著者
田村 正人
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.149-157, 2004-12-15
参考文献数
21

昆虫の社会とは,「同種の2個体以上の個体間で起こる,種を維持していくうえの協同的相互関係」と定義され,単独生活をするものも含めて,種はすべて社会をなしているとみなされる.したがって「真社会性」とは,(1)両親以外に子育てを手伝う個体がいる(共同育児),(2)2世代以上が同居して一緒に暮している(世代の重なり),(3)子を産む個体と産まない個体(不妊カスト)とがいる(繁殖に関する分業)の3つを完全に備えた「高度に発達した社会」を指す.ハチ(膜翅)目の,このような真社会性に至る道すじには2つのルートが想定される.その1つは,母娘による単一家族ルート(サブソシアル・ルート)で,まず母親が長期間子を世話することで世代の重複が起こり,次に成長した子が妹や弟の世話,巣の掃除や防衛などを分坦するようになり,最終的には自分では繁殖しなくなって繁殖上の分業が成立する.もう1つは,複合家族による共同巣ルート(セミソシアル・ルート)である.まず繁殖メスが複数集まり近接して営巣することから始まって巣や子の防衛に共同で当たるようになり,次に最優位のメスがしだいに独占的に繁殖するようになって,最終的には繁殖の分業が成立するとともに世代の重複によって若いメスが完全にワーカー化するのである.シロアリとミツバチの階級分化には違いがある.シロアリの階級分化は,内因説と外因説があり,前者は遺伝的,あるいは胚の時代に階級分化が決定されているとするもので,後者は卵からふ化した幼虫は,あらゆる階級に分化する能力をもっているが,コロニーの状態によってどの階級に分化されるかが決定される,その決定にはフェロモン,栄養,行動刺激が関係するという説である.一方ミツバチでは,未受精卵(染色体数n=16)からは雄バチが,受精卵(2n=32)からは雌バチが産まれる.さらに女王バチと働きバチの分化は,与えられる餌の質と量の違いにより幼虫期の前期に決定し,階級の維持には起動フェロモン(primer pheromone)が関与する.
著者
宮ノ下,明大
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, 2011-12-20
著者
木村 悟朗 春成 常仁 谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.73-76, 2010-12-30
参考文献数
14

実験昆虫飼育室内に発生したケナガコナダニTyrophagus putrescentiaeを防除するために高温による駆除を行った.ケナガコナダニは47.4±1.6℃で1時間または40.3±1.7℃で24時間の室温に暴露することにより,全ての個体が死亡した.これらの結果は,高温処理によって現場に発生するケナガコナダニを防除可能であることを示唆している.特に,恒温恒湿室は温度管理が容易であり,そこに発生する本種のもっとも簡便な防除方法であると考えられる.駆除作業前に室内で観察されたケナガコナダニの分布は,本種が誘虫灯に誘引される可能性も示している.
著者
洗 幸夫 胡 衛軍
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.86-91, 1997-12-01

前回はイエバエ Musca domestica L. 成虫の口器の構造と機能について解説したが,今回はイエバエ成虫の胸部・腹部の構造を取り上げた。構造は前回と同様に走査電子顕微鏡写真を中心に解説する。
著者
谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-127, 2009-12-28
著者
洗 幸夫
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.99-106, 2004-12-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

超音波防鼠器の効力を確認するため,クマネズミとドブネズミを用いて室内試験を行った.慣らし飼育に比べ,20kHz±3kHz自動可変プラス衝撃波の超音波防鼠器を作動させた初日,ネズミの行動が活発となり,給餌ボックスへの進入回数は大幅に増加し,防鼠器のある給餌ボックスでの摂食量および排泄した糞量が減ったが,3~4日後その行動と摂食状況が慣らし飼育期間とほぼ同様な状態に戻った.また,2つがいのクマネズミは超音波防鼠器で30日続けて処理を受けたが,異常な行動が見られず,体重が増え,1匹の雌が妊娠した.その結果から,超音波防鼠器はクマネズミとドブネズミに一定の影響を与えることが認められたが,一過性のもので,持続期間が短いことが判明した.
著者
辻 英明
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.61-63, 2007-06

2006年8月に,東西両壁(窓面内側)にUVライトトラップ1台ずつを設置した540cm×360cmの室内の床面中心に,餌表面出現後1週間以内の雄雌混在成虫の入った放飼カップを置き,カップから脱出した成虫がトラップに捕獲される数を調査した.一方のトラップはランプを2球,他方は1球取り付けたものである.参考用にライトトラップ直下の壁面にフェロモントラップ1個ずつを設置した.8月23日17時30分,2個のカップに成虫を計245匹入れて設置し,翌24日17時に154匹を入れたカップ1個を追加設置,それぞれの夕方から翌日の朝までライトトラップを点灯した.設置成虫合計399匹のうち,8月25日朝までにカップから室内に脱出した個体は245匹(61.4%)であった.そのうちライトトラップに119匹(48.6%)が捕獲された.このときランプを2本つけたトラップの捕獲成虫数は,1本つけたトラップのほぼ2倍であった.この実験状況下ではUVライトトラップ直近のフェロモントラップによる捕獲成虫数は2匹ずつ計4匹(1.6%)と少なかった.
著者
今村 太郎 岡留 博司 大坪 研一 宮ノ下 明大
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.61-66, 2006-02-28
参考文献数
21

新形質米7品種とコシヒカリの玄米について,品種間の相違がノシメマダラメイガ,バクガ,コクゾウムシの発育に及ぼす影響を調べた.その結果,それぞれの貯穀害虫について品種の違いは,発育期間や羽化直後の成虫の体重に影響することが明らかとなった.その一方で,品種の違いはいずれの昆虫の生存率にも明確な影響を与えなかった.「春陽」と「夢十色」はすべての貯穀害虫に対して発育期間の延長,成虫体重の減少などの耐虫性を示す傾向が顕著であった.このような耐虫性傾向はこれらの品種の玄米が含有するアミロースの量が要因の一つである可能性が示唆された.
著者
宮ノ下 明大
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-161, 2011-12-20
参考文献数
9
著者
辻 英明
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.87-99, 2000-01-30
参考文献数
41
被引用文献数
1