著者
梅原 久範 岡崎 和一 川 茂幸 高橋 裕樹 後藤 浩 松井 祥子 石坂 信和 赤水 尚史 佐藤 康晴 川野 充弘 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究班 IgG4関連疾患包括診断基準改訂ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.962-969, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
31
被引用文献数
3

IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,Mikulicz病,自己免疫疾患,間質性腎炎,前立腺炎,後腹膜線維症等多彩な疾患を含む病態で,今世紀に本邦から発信された興味深い疾患である.厚生労働省のIgG4関連疾患研究班は,2011年に世界で初めての診断基準であるIgG4関連疾患包括診断基準を発表した.これにより,この新疾患は広く世界に受け入れられ,世界中から多くの報告がなされた.しかし,実臨床においては,生検組織が得られない組織があること,血清IgG4(immunoglobulin G4)値や組織中IgG4陽性細胞数のカットオフ値に対する感度・特異度等の問題が生じてきた.そのため,厚生労働省IgG4関連疾患研究班は,IgG4関連疾患包括診断基準2011を改訂した,2020年 改訂 IgG4関連疾患包括診断基準を提唱する.改訂基準は,1)臨床的・放射線学的診断,2)血清学的診断,3)病理学的診断の3項目からなる.さらに,改訂された病理学的診断基準は,従来の2項目に加え,花筵様線維化と閉塞性静脈炎を含めた3項目から構成される.
著者
今井 俊夫 西村 美由希 南木 敏宏 梅原 久範
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.131-139, 2005 (Released:2005-06-30)
参考文献数
54
被引用文献数
9 12

炎症や免疫反応は生体局所で生じることから明らかなように,免疫細胞の時空間的局在は緻密に制御されている.免疫細胞は細胞接着分子と細胞遊走因子を巧みに利用して,炎症部位やリンパ組織に到達する.フラクタルカイン/CX3CL1は,ケモカインと細胞接着分子の2つの活性を併せ持ち,活性化血管内皮細胞上に発現する細胞膜結合型ケモカインである.その受容体CX3CR1は,NK細胞やcytotoxic effector T細胞(TCE)などの細胞傷害性リンパ球と成熟マクロファージや粘膜樹状細胞などの病原体や異常な細胞の排除に深く関わる免疫細胞に発現している.最近の臨床病態やマウス疾患モデルでの研究から,フラクタルカインは,関節リウマチや粥状動脈硬化症などの慢性炎症疾患にも深く関与していることが示唆されている.本稿では,フラクタルカインの特徴的な機能と炎症疾患における役割について概説する.
著者
梅原 久範
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.10, pp.2467-2471, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

再発性多発性軟骨炎は,耳介,鼻,気道軟骨を破壊する慢性炎症性疾患である.機序は,軟骨組織に対する細胞性および液性免疫による自己免疫疾患と考えられている.特徴的な症状は外耳介の疼痛・発赤・腫脹で,軟骨のない耳朶は侵されない.随伴症状として,多発関節炎,気管支狭窄,鞍鼻,強膜炎・虹彩炎,大動脈閉鎖不全症などがある.患者の約30%がその他のリウマチ性疾患や血液疾患を合併している.