著者
内田 満夫 金子 稔 山本 洋 本田 孝行 川 茂幸
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.103-117, 2013 (Released:2013-05-29)
参考文献数
121
被引用文献数
2 4

Schools were closed worldwide during the 2009 influenza A/H1N1 pandemic to prevent the viral spread; however, to date, there has been insufficient evidence to conclude that the closures were beneficial. Therefore, in the present review, we evaluated the effects of school closure during the 2009 influenza A/H1N1 pandemic in Japan. A search of PubMed and Japanese journals identified 24 articles that evaluated the effects of school closure using the following methods: descriptive epidemiology, changes in absenteeism rate, a simulation model, and reproductive number. Almost all of the retrieved studies showed that school closure effectively reduced the number of new infections and thus subsequently suppressed the epidemic. On the other hand, two major sets of confounding variables were identified. First, the effect of school closure was confounded by the methods used to measure, viral infectivity, subject characteristics, increased immunization rates, nonpharmaceutical interventions, antiviral administration, student contact patterns during school closure, and individual household environments. Secondly, school closure implementation was affected by differences between proactive and reactive closures, differences between seasonal and pandemic influenza, decision factors regarding school closure, socioeconomic cost, and ethics of imposing restrictions on individuals. Therefore, a comprehensive, longitudinal study is necessary to clarify the effects of school closure during viral pandemics.
著者
梅原 久範 岡崎 和一 川 茂幸 高橋 裕樹 後藤 浩 松井 祥子 石坂 信和 赤水 尚史 佐藤 康晴 川野 充弘 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究班 IgG4関連疾患包括診断基準改訂ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.962-969, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
31
被引用文献数
3

IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,Mikulicz病,自己免疫疾患,間質性腎炎,前立腺炎,後腹膜線維症等多彩な疾患を含む病態で,今世紀に本邦から発信された興味深い疾患である.厚生労働省のIgG4関連疾患研究班は,2011年に世界で初めての診断基準であるIgG4関連疾患包括診断基準を発表した.これにより,この新疾患は広く世界に受け入れられ,世界中から多くの報告がなされた.しかし,実臨床においては,生検組織が得られない組織があること,血清IgG4(immunoglobulin G4)値や組織中IgG4陽性細胞数のカットオフ値に対する感度・特異度等の問題が生じてきた.そのため,厚生労働省IgG4関連疾患研究班は,IgG4関連疾患包括診断基準2011を改訂した,2020年 改訂 IgG4関連疾患包括診断基準を提唱する.改訂基準は,1)臨床的・放射線学的診断,2)血清学的診断,3)病理学的診断の3項目からなる.さらに,改訂された病理学的診断基準は,従来の2項目に加え,花筵様線維化と閉塞性静脈炎を含めた3項目から構成される.
著者
川 茂幸
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.1475-1482, 2016-12-20 (Released:2017-01-14)
参考文献数
68
被引用文献数
2 2

IgG4 関連疾患とは IgG4 が関連する全身性疾患であり, 最近確立された疾患概念である. 臨床的特徴は, ① 病変が全身に分布し, これらの多くは従来その臓器独自の病名で診断治療されてきた, ② 画像所見として腫大, 結節, 壁肥厚を呈する, ③ 血中 IgG4 値が通常 135mg/dl 以上である, ④ 病変局所にリンパ球形質細胞浸潤, IgG4 陽性形質細胞浸潤を認める, ⑤ ステロイド治療に良好に反応する, ⑥ 他の IgG4 関連疾患を同時性, 異時性に合併することが多い, に集約される. 本疾患概念成立には, 自己免疫性膵炎で血中 IgG4 値が高率, 特異的に上昇し, 病変組織に IgG4 陽性形質細胞が特異的に浸潤すること, が明らかになったことが大きく貢献している. IgG4 関連疾患はほぼ全身諸臓器に分布しているが, 代表的構成疾患は IgG4 関連涙腺・唾液腺炎 (ミクリッツ病), IgG4 関連呼吸器病変, 自己免疫性膵炎, IgG4 関連硬化性胆管炎, IgG4 関連後腹膜線維症, IgG4 関連腎病変などがある. 耳鼻咽喉科領域の IgG4 関連疾患として IgG4 関連ミクリッツ病と IgG4 関連キュットナー腫瘍が知られているが, 新しい疾患概念の可能性として IgG4 関連鼻副鼻腔炎が提唱されている. IgG4 関連疾患の診断は「IgG4 関連疾患包括診断基準2011」によるが, 悪性疾患との鑑別が肝要である. IgG4 関連疾患は長期経過で, 機能障害を呈する慢性期の病態への移行, 悪性腫瘍の合併などが想定され, 今後の検討課題である.
著者
川 茂幸 太田 正穂
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自己免疫性膵炎の疾患感受性遺伝子の検索過程でカリウムイオンチャンネル蛋白、KCNA3(Kv1.3)を見出し、病態との関連を検討した。またgenome wide association study(GWAS)により新たな疾患感受性遺伝子の検索を行った。自己免疫性膵炎の病態とKv1.3の発現に有意な関連を見出すことができなかった。GWAS検索で、14種類の染色体上に25種類の感受性遺伝子の候補を認め、遺伝子内に設けたSNPを用いて確認解析を行っている。