著者
伊藤 瑞規 水谷 泰彰 渡辺 宏久 植田 晃広 島 さゆり 外山 宏
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

多系統萎縮症(MSA)の突然死に対してセロトニン神経の関与が疑われており、その評価は極めて重要であると思われるが、現在のところ、生体内でセロトニン神経を評価できる方法は、髄液でのセロトニン代謝産物である5-HIAAの測定や、セロトニントランスポーターPETしか存在しない。髄液における5-HIAAの評価は、侵襲的な検査である髄液採取が必要であり、セロトニントランスポーターPETは、PETの専門機関でしか評価できない。そのため、日常診療レベルで使用されているドパミントランスポーターSPECTを用いてセロトニン神経が評価できないかを検討することとした。
著者
植田 晃広 上田 真努香 三原 貴照 伊藤 信二 朝倉 邦彦 武藤 多津郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.243-247, 2011 (Released:2011-04-19)
参考文献数
32
被引用文献数
4 5

肥厚性硬膜炎の自験例3症例と,文献例66症例の臨床的特徴と治療反応性を検討した.症状は頭痛が最多で,脳神経障害は視神経,動眼・滑車・外転神経障害の割合が高い.検査所見はCRPあるいは赤沈の上昇例が約95%と高率である.治療法はステロイド使用例が多い.初回平均投与prednisolone(PSL)量は42.7mg/day,平均維持量はPSL 12.4mg/dayであった.再発率は初回ステロイド治療が奏効した例でも43%と高率であった.自己免疫異常を背景とすると考えられる肥厚性硬膜炎では,疾病初期の症状コントロールの難しい症例,治療開始15カ月以内に炎症反応の再上昇する症例,PSL 20mg/day未満での再発が多いことに注意して,PSLの減量はきわめてゆっくり長時間をかけておこなうことが重要と考えられた.