著者
伊藤 瑞規 水谷 泰彰 渡辺 宏久 植田 晃広 島 さゆり 外山 宏
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

多系統萎縮症(MSA)の突然死に対してセロトニン神経の関与が疑われており、その評価は極めて重要であると思われるが、現在のところ、生体内でセロトニン神経を評価できる方法は、髄液でのセロトニン代謝産物である5-HIAAの測定や、セロトニントランスポーターPETしか存在しない。髄液における5-HIAAの評価は、侵襲的な検査である髄液採取が必要であり、セロトニントランスポーターPETは、PETの専門機関でしか評価できない。そのため、日常診療レベルで使用されているドパミントランスポーターSPECTを用いてセロトニン神経が評価できないかを検討することとした。
著者
高橋 雅英 榎本 篤 浅井 直也
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

がん組織の線維化はがんの悪性度および治療効果に大きな影響を与える。本研究では膵がん、肺がんを主に、我々の研究グループが最近発見したメフリン陽性がん線維芽細胞の機能解析を通じて、がんの線維化のメカニズムを解明し、新たながん治療法の開発に資する。具体的には1.がん関連線維芽細胞(CAF)におけるメフリン発現レベルと患者予後との関連を明らかにし、メフリン陽性がん関連線維芽細胞のがん間質における機能の解析を行う。2.メフリン結合タンパクを同定し、機能解析により、がん細胞の増殖、浸潤能などの生物的特性への関与を明らかにする。3.がん治療を目指したメフリンの発現を増強する低分子化合物の探索を行う。
著者
長崎 弘 小谷 侑
出版者
藤田医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、マウスES細胞から分化誘導した視床下部組織を解析することで、成熟視床下部に内在する神経幹細胞の維持機構および神経新生機構の解明を目指した。ES細胞の分化誘導過程で、視床下部幹・前駆細胞マーカーであるRax遺伝子の発現をモニターしたところ、神経・グリア細胞の分化後も少数のRax陽性細胞が残存することを見出した。これらの細胞は遺伝子発現、細胞形態、増殖活性などの特徴から、成熟視床下部の神経幹細胞に類似することが分かった。さらにRax発現を指標とした培養条件の検討から、形態形成シグナルの一種であるヘッジホッグシグナルが、神経幹細胞の維持および分化抑制に働いている可能性が示唆された。
著者
齋藤 竹生
出版者
藤田医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

クロザピンは無顆粒球・顆粒球減少症を引き起こす。本研究の目的は、未だ解明されていないこの副作用の発症機序の解明である。この副作用に免疫学的機序が関与することを検証するため、クロザピン誘発性無顆粒球症(CIA)群の末梢血単核細胞を用いた、クロザピンによるリンパ球刺激試験を行なった。対照群として、クロザピンを服用しても顆粒球の減少をきたさなかった投与コントロール群を用いて、CIA群とのリンパ球増殖の差を確かめた。増殖活性を比較したところ、CIA群がトレラントコントロール群よりも増殖活性が強い傾向を認めた。この傾向をより確かなものにするため、今後さらにサンプル数を拡大した検討を行う必要がある。
著者
楯谷 一郎 楯谷 智子 樋渡 直 岸本 曜 勝野 達也
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

胃食道逆流症(GERD)では、胃酸が食道へ逆流することにより胸やけなどの症状を来すが、音声障害との強い関連が指摘されている。上皮組織は外部の刺激から深層組織を保護する機能的バリアとして働いているが、声帯上皮における接着分子の発現ならびにその役割は十分には分かっていない。本研究では、まず正常ラット声帯上皮において発現しているクローディンのサブタイプを同定してその発現部位を明らかにする。さらに胃酸による上皮バリアの傷害とその修復過程をクローディンの分子発現とバリア機能の両面から解析することで、GERDによる音声障害の発生機序を明らかにし、声帯上皮におけるバリア機構を解明する。
著者
松本 省二 小山 裕司 石原 拓磨 安田 あゆ子 中原 一郎 沖田 慎平
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

【背景】脳卒中受け入れ病院では、組織的なチーム医療提供体制の整備が不可欠如である。申請者は、脳卒中のチーム医療をICTで支援する<タスカル/TQM (Total Quality Management)プログラム>を開発してき。【目的】日本の約15-30施設に<タスカル/TQMプログラム>を導入し、 導入前後の診療への影響を評価し、様々な病院での<タスカル/TQMプログラム>の有効性とそれに関連する因子解明する。【予想される結果と意義】病院の状況に即した<タスカル/TQMプログラム>の運用方法が明らかとなることで、様々な病院での脳卒中の診療プロセスの改善に貢献できる。
著者
大島 信子
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、これまでの研究によって得られたインフルエンザ中和抗体を利用し、様々なタイプのインフルエンザウイルスに幅広く交差反応する抗体を血清中から検出する方法を検討している。昨年度よりA型インフルエンザグループ1に属するウイルス株に対し幅広く中和能を持つ抗体を検出することを目標とし、競合ELISAにより検討している。2009年パンデミックワクチン接種前後のヒト血清のウイルス株への結合活性を指標に、グループ1ウイルス株中和抗体存在下における活性減少での検出を目指していたが、ワクチン接種後の血清においても、大きな活性減少は見られなかった。そこで、方法論を再考し、血清共存下におけるグループ1中和抗体の結合活性減少率を検討することとした。その際、検出に使用する中和抗体をビオチン化して、ストレプトアビジン-HRPでの検出系を構築し、ワクチン株に対する結合活性を検討したところ、結合活性の検出が可能であった。そこでワクチン株濃度、ビオチン化抗体、およびストレプトアビジン-HRPの濃度を検討し、ビオチン化していない中和抗体共存下におけるビオチン化抗体の活性を検出したところ、十分な結合活性の減少が検出できた。その条件下で、ワクチン接種前後の血清を50倍、200倍希釈濃度で共存させたところ、ワクチン接種後の血清共存下では、血清濃度依存的に中和抗体結合活性が減少した。さらに、同一ドナーによる季節性ワクチン接種前後の血清を用いた場合でも同様の良好な結果が得られた。本検出法では、グループ1ウイルス株を幅広く、さらに将来にわたって中和可能な抗体の血清中における存在を確認できる。季節性ウイルス株であるA型H1N1型は、将来パンデミックが予想されているH5N1型もグループ1ウイルスに属しており、予防対策として有用である。