著者
羽生 貴弘 樋口 龍雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.54-62, 1993-02-25

連想メモリは,大規模データベースシステム等のハードウェアエンジンとして極めて有用であり,近年の超微細加工技術の急速な発展を背景に,いっそうの高性能化が望まれている.しかしながら,通常の連想メモリにおける各種検索演算は,アレー構造に起因した逐次的処理に基づいて行われているため,データ語長に依存して処理速度が劣化するという問題点があった.本論文では,多進木網に基づいて検索演算の超高速化を図ると共に,それを多値電流モード回路で直接実現することにより,高性能な連想メモリを構成する方法を提案する.多進木網に基づく検索演算とは,各けたごとに検索演算が行われた結果に対し,それぞれ2進数のべき乗で重み付けをして線形加算することにより,大小比較演算を並列処理する方法である.多値電流モード回路の積極的活用により,本検索演算アルゴリズムで重要となる線形加算が結線のみで行えるため,全体として高密度な回路構成が可能となる.実際,本提案の構成方法に基づく4値連想モメリは,同等機能のものを通常の2値CMOS演算回路で実現した場合と比較し,2値ハードウェアと同程度の高速性を有しながら,2値実現の1/4程度のハードウェア量と動的消費電力で実現できることを明らかにしている.
著者
岩月 正見 川又 政征 樋口 龍雄
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.149-154, 1987-02-28 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

This paper proposes performance indeces of robot arms from a new viewpoint of the degrees of controllability and observability. The definitions of the controllability, observability and output-controllability Gramians of linear systems are given to show these degrees, and the physical meanings of these Gramians are explained. Using the products of the eigenvalues of these Gramians, the controllability, observability and output-controllability gains are proposed as the measures of performance evaluation of robot arms. Furthermore, it is shown that manipulability and dynamic manipulability can be obtained as the degrees of observability and output-controllability. As a numerical example, a two link arm is evaluated using the controllability, observability and output-controllability measures.
著者
小林 孝次 中島 寛 青木 孝文 川又 政征 樋口 龍雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.41, pp.1-6, 1996-07-16
被引用文献数
35

位相限定相関はフーリエ変換を用いた相関の計算過程において、入力画像の振幅成分を固定値で置き換えるよう修正した新しいパターンマッチング・アルゴリズムである。位相限定の自己相関はデルタ関数となり、相関に比べてきわめて急峻な識別特性を持つ。また、画像の振幅の影響を受けず、像のずれは相関のピークが出現する位置のずれに変換されるといった性質を持つ。位相限定相関は今後様々な分野で普及するものと予想されるが、特に顔画像や指紋画像など、安定した特徴量の抽出が難しい画像のマッチングに適している。
著者
伊藤 康一 森田 歩 青木 孝文 樋口 龍雄 中島 寛 小林 孝次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.147, pp.61-66, 2005-06-20
参考文献数
8

一般的な指紋照合手法は, 指紋画像から特徴点を抽出し, 画像間で一致する特徴点ペアの数に基づいて指紋照合を行う手法である.指紋照合において最も困難な問題の1つとして, 環境や個人的な要因によって指先の状態が変化し, それに伴って照合精度が大きく影響を受ける問題がある.この問題を解決するために, 本稿では, 位相限定相関法(Phase-Only Correlation: POC)を使った指紋照合アルゴリズムを提案する.POCは, 2次元離散フーリエ変換した画像より得られる位相成分を使って画像間の類似度を調べる照合法であり, 状態の悪い指紋画像に対してロバストに照合することができる.本稿では, 乾燥肌や肌荒れ, アレルギーなどが原因で指先の状態が悪い人から採取した指紋画像を使い, 特徴点を使った照合アルゴリズムと比較して提案するアルゴリズムが高性能であることを示す.
著者
小野寺 聡 川又 政征 樋口 龍雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.299, pp.71-78, 1995-10-20

アナログ回路網では,フラクタルに基づいた回路網を構成することで,遷移域においてω^α(0<α<1,ωは角周波数)に比例する振幅特性を実現できることが示されている.本稿では,ディジタル回路網でこの振幅特性を設計する方法と,設計したディジタル回路網の構造について考察する.まず,アナログ回路網の伝達関数をs-z変換してディジタル伝達関数を求める.次に,アナログ回路網の伝達関数の構造を求めて,その構造を基にしてディジタル回路網の構造を導く.その結果,遷移域でω^αに比例する傾きを持つディジタル伝達関数を得られることと,設計したディジタル回路網が再帰的な構造を持っていることを示す.