著者
木村 美恵子 横井 克彦 糸川 嘉則 増田 徹 平池 秀和
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

近年、免疫能の低下が問題である癌や感染症も栄養状態が大きく関与している可能性が指摘されるようになってきた。他方、必須微量栄養素の1つであるマグネシウムを欠乏させた動物では、著明な脾臓や胸線の肥大、リンパ球こ増加、カテコールアミンやセロトニンの代謝異常が認められることを明らかにしてきた。これまでのこれらの研究成果に注目し、今回は、マグネシウム栄養と免疫能の関連を明かにするため、免疫応答能に及ぼすマグネシウム欠乏の影響について検討した。マグネシウム欠乏飼料で1または2週間飼育したラット及び正常飼料で飼育した対照群ラットの脾細胞および腹くうマクロファージ(MΦ)を無菌的に採取し、脾細胞はマイトジェン(ConA,LPS)刺激による幼若化反応及びサイトカイン(IL-2,IL-3)活性、腹くうMΦはIL-1,IL-6活性を測定した。また、脾細胞からT細胞を分離して、MΦと混合培養して、それぞれの機能をさらに詳細に検討した。マグネシウム欠乏飼料で飼育したラットの脾細胞のConAにたいする幼若化能は正常飼料摂取群に比較して、著しく低下していた。LPSにたいする反応性はConAのような大きな変化は認められなかった。脾細胞のサイトカイン産生能は、ConA反応性の低下が認められたに関わらず、マグネシウム欠乏群のIL-2値がやや高値であった。MΦのサイトカイン産生能はIL-2,IL-6ともにマグネシウム欠乏群で高値の傾向があった。脾T細胞とMΦの相互作用では、T細胞自体はマグネシウム欠乏と対照群の間で差が認められなかったが、マグネシウム欠乏群のMΦはConAにたいする反応性を補助する能力が低下していた。以上、マグネシウム欠乏による免疫応答能低下の影響が確認された。
著者
横井 克彦 縄田 隆三 降井 佐太郎 長沢 武夫 柳瀬 杉夫 木村 美恵子 糸川 嘉則
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1009-1013, 1991-12-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
8

The quality of the sacred “temizu” water in shrines in Kyoto was surveyed. It was found that the sources of “temizu” were the municipal water supply or domestic wells and that the “temizu” was usually used for washing the hands and mouth, while in certain shrines it was drunk as well. Of 50 visitors responding to questions, 26 persons said that they drank “temizu”. In some shrines using the municipal water supply as “temizu”, the free residual chlorine concentration was lower than that in the municipal water supply itself. Contamination of “temizu” by Escherichia coli or Aeromonas hydrophila was observed in some shrines.
著者
横井 克彦 許斐 亜紀
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

わが国は超高齢化社会に達しており、微量元素、特に亜鉛による老化制御の可能性を検討した。亜鉛欠乏ラットには、脱毛、体重の低下、脂肪の減少が見られ、超高齢者の老化に類似した表現型であった。亜鉛欠乏ラットは、自由摂取対照群やペアフェッド対照群とは明らかに異なった肝臓タンパク質の発現パターンを示した。わが国では亜鉛や鉄の摂取が不足しており、微量元素補給による老化制御について検討を続ける必要があるだろう。
著者
許斐 亜紀 横井 克彦
出版者
愛知学泉大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

造血機構における亜鉛の作用メカニズムは不明である。そこで、亜鉛欠乏が腎臓中エリスロポエチン(EPO)濃度に与える影響について検討した。Sprague-Dawley系3週齢雄ラットを対照群(CON)、亜鉛欠乏群(ZD)、Pair-Fed群(PF)の3群に振り分け4週間飼育した。データはFisherのPLSDで統計処理を行い、有意水準は5%とした。血中EPO濃度はCONに比べZDが有意に低値を示し、PFが低い傾向を示した。腎臓皮質中EPO濃度はZDがPFに比べ低値を示し、有意差は見られなかった。PFはCONに比べ高い値を示した。腎臓髄質中EPO濃度には差は見られなかった。