著者
天野 由記 南條 功 村上 裕晃 藪内 聡 横田 秀晴 佐々木 祥人 岩月 輝希
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.207-228, 2012 (Released:2012-12-14)
参考文献数
43
被引用文献数
1 3

北海道幌延町において,堆積岩を対象とした深地層の研究施設を利用して,地上からの地球化学調査技術の妥当性を検証した。また,地下施設建設が周辺の地球化学状態に及ぼす影響について考察した。地上からのボーリング調査について,調査数量と水質深度分布の予測向上の関係を整理した結果,3本程度の基本ボーリング調査と断層・割れ目帯など高透水性の水理地質構造を対象とした追加ボーリング調査により,数キロメータースケールの調査解析断面の水質分布について不確実性も含めて評価できることが明らかになった。地下施設建設に伴う地下水の塩分濃度,pH,酸化還元状態の擾乱を観察した結果,一部の高透水性地質構造の周辺において,地下坑道への湧水による水圧や塩分濃度の変化が確認された。この変化量は事前の予測解析結果と整合的であった。これらの成果は,他の堆積岩地域における地上からのボーリング調査や地下施設建設時の地球化学調査の計画監理にも参照可能と考えられる。
著者
竹内 誠 河合 政岐 野田 篤 杉本 憲彦 横田 秀晴 小嶋 智 大野 研也 丹羽 正和 大場 穂高
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.715-730, 2004 (Released:2005-02-18)
参考文献数
44
被引用文献数
3 3

飛騨外縁帯北東部の白馬岳地域にはペルム系白馬岳層が分布する. 白馬岳層は従来から言われていたようなメランジュやオリストストロームからなる付加体ではなく, 火山弧周辺の浅海で堆積した珪長質火砕岩類を主とする整然層である. 白馬岳層下部層形成時では珪長質火砕岩の堆積を主とするが, 下部層の上部形成時には玄武岩の水中噴火が生じ, バイモーダルな火山活動がみられる. 中部層形成時では, 火山活動が沈静化し頁岩や砂岩が堆積した. 上部層形成時では再びバイモーダルな火山活動が始まり, かつスランピング又は斜面崩壊によって石灰岩角礫や岩塊が珪長質凝灰角礫岩とともに堆積した.白馬岳層は角閃岩岩塊を含む蛇紋岩に衝上断層で覆われ, 蛇紋岩の構造的下位に位置する. その後NW-SE方向とNE-SW方向の高角度断層の形成に伴って, 古生界岩塊を含む蛇紋岩メランジュが形成された.