著者
橋本 正治 川野 常夫 西田 修三
出版者
摂南大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

以下に示す計画に従い研究を実施した。(1)3次元曲線の入力法の提案・入力装置の試作・評価実験(2)作業者の特性の検出法の提案・検出装置の試作・評価実験(3)個性や熟練度の検出法・評価法の提案と試作装置による評価実験(4)熟練度に応じて柔軟に対応するインタフェースの提案と評価実験CADシステムに用いるための3次元入力法を提案し、試作装置の精度と入力に要する時間について評価した。その結果、精度に関して300mmの曲線の長さに対して5mm程度の誤差が生じていることと、処理時間に関して作業者が違和感を覚えるとされている0.1sec以内に前ての処理が行われているとが明らかとなった。評価実験を行った結果、本入力装置のように作業者の表現内容を機械が判断し入力情報として用いる方式を用いることで未熟者であっても容易に熟練者と同じ入力処理が行えることが明らかとなった。作業者の熟練度は、作業結果や作業工程などに現れると考えられるが、作業の内容に応じて評価しなければならない。本研究では、未熟者と熟練者では作業の疲労度に差がでることから、疲労度を生理的情報を検出することで熟練度合いを評価する手法を提案した。作業の負担とならない生理情報の検出法の提案と測定装置の試作を行い、生理情報と精神的疲労度との関連を実験により明らかにした。熟練を要する作業のシミュレータを開発し、作業者の熟練度に応じてインタフェースのC/D値を作業中に変化させる実験を行った。被験者が熟練者の場合、作業成績を維持しながら作業時間が短くなった。これは、本手法を用いることによりさらに技能の習熟が進んだことを意味し、有効性が確認されたと考えられる。
著者
斎藤 元 阿保 七三郎 北村 道彦 橋本 正治 泉 啓一 天満 和男 三毛 牧夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.1819-1823, 1995-08-01
参考文献数
12
被引用文献数
4

胸部食道癌術後, 後縦隔経路再建胃管-右主気管支瘻が発生した症例に対し, 有茎大胸筋弁による瘻孔閉鎖術を施行し治癒しえた症例を報告する.患者は63歳の男性, 胸部中部食道癌に対し1993年7月14日, 胸腹部食道全摘, 3領域リンパ節郭清, 後縦隔経路食道胃管吻合術を施行した.第13病日, 術後透視にて異常なく経口摂取開始となったが, 咳嗽が激しく経口摂取困難, また誤嚥性肺炎を合併.その後, 絶食, 中心静脈栄養, 経腸栄養を実施していたが, 第120病日, 食道造影にて胃管気管支瘻を確認, 12月21日, 有茎第3肋間筋弁を用いた瘻孔閉鎖術を施行したが, 術後膿胸を合併, 第40病日に胃管気管支瘻の再発を確認.当科に転院後, 1994年3月14日, 有茎大胸筋弁による瘻孔再閉鎖術を施行.術後経過良好, 気管支内視鏡, 食道内視鏡にて治癒を確認, 現在外来加療中である.本症では, 術後経過, 内視鏡所見, 術中所見より胃管自動縫合器縫合線部循環障害が瘻孔形成の原因と考えられた.
著者
河合 秀樹 阿保 七三郎 北村 道彦 橋本 正治 泉 啓一 天満 和男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2424-2427, 1994-11-01
被引用文献数
7

食道癌術後の後縦隔経路再建胃管に発生した潰瘍により大量出血を来し, ショック状態に陥った患者に対し胃管切除術を施行することにより救命しえた症例を報告する. 患者は72歳の男性で1988年6月1日, 食道癌根治術を施行され, 術後に計80Gy の頸部, 縦隔T字照射を受けている. 再発の兆候も見られず順調に経過していたが, 術後3年7か月後に突然下血, 吐血し, ショック状態となったため, 緊急入院し内視鏡を施行, 再建胃管に発生した潰瘍からの出血と判明し内視鏡的止血およびバルーンによる圧迫止血を試みるも止血できず胃管切開直視下縫合による止血術を2回施行するも再出血を来したため3回目の手術で開胸下に胃管切除術, 頸部食道皮膚瘻, 空腸瘻造設術を施行しようやく止血しえた. 患者は6か月後に有茎結腸による胸壁前食道再建術を受け現在経口摂取訓練中である. 本症例では術後の照射および酸分泌能の残存が潰瘍形成に関与していたものと考えられる.