著者
橘 誠 才野 慶二郎 久湊 裕司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.22, pp.1-6, 2013-12-12

HMM 音声合成は統計的な韻律のモデル化により,話者性やスタイルを柔軟に多様化することができる.本稿では,その表現力を波形素片接続型の歌声合成システムである VOCALOID™ に取り入れる方法として,歌唱表現が現れる重要な特徴と考えられるピッチの変化をHMMでモデル化,生成する歌唱スタイル生成手法を提案する.HMM音声合成手法を歌唱スタイルのモデル化に利用する際には,未知の音高に対しても適切なパラメータ生成を行う必要がある.そこで本研究ではピッチベンドチェンジを用いたモデル化を提案する.また,長い時間伸ばされる音符に対して自然な変動を付与するため,ノート内を複数のセグメントに分割した単位でモデル化し,多段階のコンテキストクラスタリングを導入して楽曲構造と音符内の変動を階層的に表現する.また,この手法をVOCALOID™3の機能である Job Plugin として組み込んだ例を紹介する.Recent HMM-based speech synthesis systems have the capability to control speaker/style characteristics by statistically modeling prosodic features of speech. In this paper, we aim to introduce such flexibility into VOCALOID™, a singing voice synthesizer based on concatenative synthesis. An HMM is used to model the pitch trajectory, which is an important feature for expressing singing style. In order to synthesize appropriate results for pitches which do not have training data, we propose using pitch bend change as a feature for training the HMM. We also propose a segment-level unit modeling and multiple-stage clustering technique for the expression of long note sequences. We show the proposed technique implemented as a VOCALOID™3 Job Plugin.
著者
橘 誠 神保 恭一 中田 幸二 羽田野 甫 玉乃井 愛仁 大塚 喬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.96, no.546, pp.1-7, 1997-02-28
被引用文献数
5

回転機械の異常振動や装置設備の漏洩等の異常現象を、音響によって検出するために開発されたパラボラ集音器を対象に、差分法シミュレーションを行った。パラボラ反射器へ取り付けるマイクロホンの位置と向きなどによる、音波伝搬特性の変化を明らかにした。トーンバースト音源に対するマイクロホン受音面の音圧波形を求め、デジタル信号処理を用いた実験と比較検討した。さらに、シミュレーションの結果は、1コマずつ時間を追ってビデオに録画し、動画として表示できるようにした。
著者
川島 啓吾 橘 誠 山岸 順一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.496, pp.151-156, 2005-12-15

本論文では, 多空間上の確率分布(MSD)に基づくHMMを用いた音声の感情・発話様式の識別について検討している.MSD-HMMにより音声のスペクトル情報と基本周波数(F0)の同時モデル化を行い, 複数の話者の平静調音声で学習されたユニバーサルバックグラウンドモデル(UBM)を目標話者・スタイルの少量の文章によりモデル適応し, 話者及びスタイルの同時適応を行ったモデルを用いて識別を行っている.まずMSD-HMMを用いて特徴量にF0を含めることで識別率が改善することを示し, 次に, 適応時の初期モデルとしてUBMを用いる場合と, 目標話者の読上げ音声から作成した話者依存モデルを使用する場合の比較を行い, UBMを用いて話者とスタイルの同時適応を行った場合においても, 話者依存モデルと同等の性能が得られることを示す.最後に, ナレーション経験のない話者の音声を用いた評価実験を行った結果を示す.