著者
釜野 さおり 山内 昌和 千年 よしみ 布施 香奈 小山 泰代 平森 大規 岩本 健良 藤井 ひろみ 申 知燕 三部 倫子 武内 今日子 石田 仁
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

性的マイノリティは学術的にも社会的にも注目されているが、現状把握に必要な全国を統計的に代表するデータはない。本研究では日本全体に一般化できるデータに基づいて、経済状況、健康状態、出生や移動などの人口学的行動や意識が、性的マイノリティ当事者と非当事者との間でどのように異なるのかを、統計的な裏付けにより明らかにすることを目指す。一般人口対象の無作為抽出による全国調査を実施し、性的指向および性自認のあり方(SOGI)が生活に及ぼす影響を定量的に示す。SOGIに関する調査で普及しているモニタ型ウェブ調査を実施し、無作為抽出調査の結果と比較する。SOGIを捉える設問を精緻化させ、ガイドラインを確立する。
著者
武内 今日子
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.33, pp.133-144, 2020-07-31 (Released:2021-08-24)
参考文献数
17

Through narratives from magazines and 14 interviews, this paper examines how, from the late 1990s, a gender identity category, X-jendā, was formed and spread with self-enforcing abilities. We clarified how X-jendā was utilized in the sexuality mixed self-help group as a transgender subcategory to enable differentiation from the norms of existing categories. In addition, the abilities of X-jendā seemed to be changed in the process of spreading, partly separated from the usage of transgender categories. These results show that the abilities of self-enforcement were regulated differently in the local settings of the self-help groups and in the internet sphere.
著者
武内 今日子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.504-521, 2022 (Released:2023-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本稿は,性別違和を抱く人々がXジェンダーという性自認のカテゴリーを用いて,男女の二値に当てはまらない何者かとして自己を定位する仕方を考察した.先行研究では,性同一性障害やトランスジェンダーに付随する規範が論じられた一方,近年ではこれらのカテゴリーで表せない自己像も描かれてきた.ただし,日本において男女の二値に当てはまらない性自認のカテゴリーが自己を表すために用いられる仕方は十分に論じられていない. そこで本稿は,Xジェンダーを名乗る10名に半構造化インタビュー調査を実施し,Xジェンダーが用いられる仕方を分析した.その結果,Xジェンダーを用いることで,経験の再解釈,認識上の切断,暫定的な居場所,政治的主張の根拠という諸実践が可能になることが見出された.すなわちXジェンダーは,先行するカテゴリーのもつ否定的な意味づけを回避するために,もしくは不安定な状況におかれる自己を性自認のカテゴリーに暫定的に位置づけるために用いられる一方で,当事者間での摩擦も生じさせていた.その同一カテゴリーのもとでXジェンダーの意味づけを明確化しようとする政治的主張がなされるからである.これらの結果は,先行するカテゴリーから自己を差異化する過程を論じてきた先行研究に対して,社会的定義や意味づけの定まらないカテゴリーとしてのXジェンダーが可能にする,協働や矛盾をはらむ複数の実践とその帰結を示す点で意義をもつ.