著者
武田 雅子 タケダ マサコ Masako TAKEDA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-28, 2011-01-31

英詩への入門として、前回「いろいろな詩の形」としてまとめたが、今回はその続編として詩に用いられる技法を取り上げた。ここでは便宜上まず、音、形、比喩、単語の並び方、内容に分類し、音に関するものとして、頭韻とオノマトペ、形に関するものとして、繰り返し、言葉の使い方に関するものとして、同じ比喩の中の直喩と隠喩を対照して、さらに擬人法、単語の並び方に関するものとして撞着語法、内容に関するものとして、誇張法とそれに相対する控えめな表現、さらにアイロニーを、それぞれ実例と共に作品の中でどう生かされているか、鑑賞の際には何に注目すべきかを解説した。技法を通して、詩を読むこと、さらには文学作品を読むことの意味と楽しみも盛り込んだ。
著者
Hollander John 武田 雅子 岡村 眞紀子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.119-125, 2013-01

原著Rhyme's Reasonは、詩、特に英語の詩・韻文の法則、またその特質を、実際に詩を使って分かりやすく説明した書である。「詩」で「詩」を、「韻文」で「韻文」を説明するところが、本書の特色であり、面白くユニークなところである。そこがまた翻訳を困難にもしているのであるが。本稿は、「John Hollander 著Rhyme's Reason 翻訳〔1〕」(『大阪樟蔭女子大学研究紀要』第2巻)および「John Hollander 著Rhyme's Reason 翻訳〔2〕」(『大阪樟蔭女子大学 英語と文化』第2号)に続くものである。連による分類の続きとして、tercet(三行連)、quatrain(四行連)[その中に含まれるballad stanza(バラッド連)、commonmeasure(普通律)、long measure(讃美歌調)]、ottava rima(八行連詩)、sapphics(サッフォー連)、rhyme royal(帝王韻)、Spenserianstanza(スペンサー連)、terza rima(三行連詩)の定義付けのあと、sonnet(ソネット)の定義に入る。これは、韻の踏み方により、大きくイギリス形式とイタリア形式に分かれるが、他にtailed sonnet(有尾ソネット)などの変形があげられ、最後に音節で数えられるソネットで終わる。
著者
小田 敦子 野田 明 武田 雅子 藤田 佳子
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年6月に海外共同研究者アニタ・パターソンを交えての第1回の研究会に始まり、毎月の研究会を持ち、15年から16年度はエマスンのエッセイを17年度は詩を中心にテキストの精読と、共同研究者がそれぞれ専門とするエマスンの同時代の作家・詩人の観点からの議論を続けた。共同研究会は難解なエマスンのテキストを読む効果的な方法で、エマスンのテキストの19世紀における受容の実態、同時代人たちはエマスンを「マスター」と感じ、エマスンに批判的であると考えられているホーソーンやあまり関係づけられることのないディキンスンでさえ、彼の言説に注目し影響を受けていたことがわかった。研究代表者の小田は、平成16年度にアメリカのホーソーン学会に採択された研究発表"The Old Manse and the Concord as Emersonian Symbol"や、アメリカ文学会関西支部大会シンポジアムでの発表「エマスンの‘The Master Word'」で、エマスンがホーソーンに与えた影響を指摘した。野田は、エマスンがメルヴィルに与えた影響について、特に、文学の独創性や文学テキストの引用行為に対する両作家の姿勢・考え方に焦点を合わせることで検証しようとした。武田は、紀要に「ディキンスンの捉えたエマスン-伝記的事実に見る」を発表したが、これを踏まえて、エマスンとディキンスンの関係についての先行の研究をまとめることで、エマスンの影響を考察した。藤田は、当時の興味深い問題、科学と文学のかかわりの点からエマスンとソローを考察しエマスンの特性を論じると共に、この面に於いてエマスンがソローに及ぼした影響を明らかにした。パターソンは、ホイットマンとエマスンとの間の両義的な感情に関するこれまでの研究を精査した上で、彼らの相違点にもエマスンがホイットマンに教えたものの影を認めた。
著者
武田 雅子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.31-43, 2010-01-29

「詩はその言語の精髄」と言われる。英語を習ったからには、英語の詩を味わうようになりたいものだが、しばしば「詩は難しい、ましてや英詩なんか」という反応に出会う。これは実にもったいない。英詩は英語の特徴の詰まった宝箱のようなものだから。しかし、難しいという反応があるからには、これを解きほぐさないといけないだろう。それは、毎年詩の授業を担当してきたので、常に課題としてきたことだった。授業は最初1年の通年ものであったが、今では、半期ものとなっている。そこで、年に2回、英詩の全くの入門から始まって、何とか個々の作品に出会うというところまでもっていくという作業をしていることになる。毎年そのためにプリントを作成し、それに改正を加えているのだが、それを形にしようと、「大阪樟蔭女子大学論集第44号」に、概要をまとめた。次に実際の執筆に入ろうとすると、「詩とは何か」の書き出しはなかなか困難で、ためらっているうちに、別のプロジェクトにかかっていてそれを掲載したこともあり、2年が経ってしまった。このたび、根本問題は、他から攻めていくことにして、まず詩形について取り上げることにした。リマリック、ハイク、ソネット、コンクリート・ポエム、自由詩を例となる詩と共に取り上げた。
著者
武田 雅子 岡村 眞紀子 岡村 眞紀子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-122, 2012-01-31

原著Ryme's Reason [Rhyme's Reason]は、詩、特に英語の詩・韻文の法則、またその特質を、実際に詩を使って分かりやすく説明した書である。「詩」で「詩」を、「韻文」で「韻文」を説明するところが、本著の特色であり、面白くユニークなところである。そこがまた翻訳を困難にしてもいるのであるが。本稿はその冒頭「詩とは何か」から「韻律について」の前半部分の翻訳である。「詩」は、我々の生に不可欠なものとして確と存在するが、その定義は不可能に近い。一方、「韻文」はまず、その韻律から説明が可能になる。英詩はヨーロッパ古典の伝統に則りつつも、言語の特質の違いから、韻律の拠って立つところが、音節の「量」(quantity)から「強さ」(stress)へと大きく変化し、独自性を形成した。その独自性を活かした韻律をiamb(弱強格)、trochee(強弱格)、spondee(強強格)、dactyl(強弱弱格)、anapest(弱弱強格)と分類する。また行における「歩」の数からも説明が可能となり、iambic pentameter(弱強五歩格)といったふうに詩型は定義付けられる。