著者
榎本 敬 深井 いと代 福山 利範 武田 和義
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.185-193, 2001-09-28 (Released:2009-12-17)
参考文献数
16

国内の植物標本庫に保存されているホウキギク類 (Aster 属 Oxytripolium 節) の標本225点を調査した結果, 次の3つの分類群が帰化種として確認された。すなわち, 1) Aster subulatus Michx. var. subulatus, 2) Aster subulatus Michx. var. sandwicensis A. G. Jones, 3) Astey subulatus Michx. var. elongatus Bosserdet である。原色日本帰化植物図鑑で用いられている和名ではそれぞれホウキギク, ヒロハホウキギク, オオホウキギクに相当する。体細胞染色体数は, ホウキギクで2n=20, ヒロハホウキギクで2n=10, オオホウキギクで2n=20であり, 染色体の基本数はX=5と推定された。これは日本に自生する Aster 属の染色体の基本数X=9と異なっていた。ホウキギクとヒロハホウキギクの間では自然雑種が形成され, ムラサキホウキギクと命名した。その染色体数は2n=15の3倍体であった。ムラサキホウキギクの舌状花はうす紫色であり, ホウキギクの白,ヒロハホウキギクのピンク色とは異なっており, 種子は不稔である。ヒロバホウキギクとオオホウキギクの間にも自然雑種が形成されオソザキホウキギクと命名した。いずれの自然雑種も, 人工交配の変種間雑種と同じ形態的特徴を示した。ホウキギクとオオホウキギクでは人工交配による雑種種子が得られたが, 種子は発芽後すぐに死亡した。
著者
榎本 敬 深井 いと代 福山 利範 武田 和義
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.185-193, 2001-09-28

要約:国内の植物標本庫に保存されているホウキギク類(Aster属Oxytripolium節)の標本225点を調査した結果,次の3つの分類群が帰化種として確認された。すなわち,1)Aster subulantus Michx. var. subulatus, 2)Aster subulatus Michx. var. sandwicensis A. G. Jones, 3)Aster subulatus Michx. var. elongatus Bosserdetである。原色日本帰化植物図鑑11)で用いられている和名ではそれぞれホウキギク,ヒロハホウキギク,オオホウキギクに相当する。体細胞染色体数は,ホウキギクで2n=20,ヒロハホウキギクで2n=10,オオホウキギクで2n=20であり,染色体の基本数はX=5と推定された。これは日本に自生するAster属の染色体の基本数X=9と異なっていた。ホウキギクとヒロハホウキギクの間では自然雑種が形成され,ムラサキホウキギクと命名した。その染色体数は2n=15の3倍体であった。ムラサキホウキギクの舌状花はうす紫色であり,ホウキギクの白,ヒロハホウキギクのピンク色とは異なっており,種子は不稔である。ヒロハホウキギクとオオホウキギクの間にも自然雑種が形成されオソザキホウキギクと命名した。いずれの自然雑種も,人工交配の変種間雑種と同じ形態的特徴を示した。ホウキギクとオオホウキギクでは人工交配による雑種種子が得られたが,種子は発芽後すぐに死亡した。
著者
露崎 浩 武田 和義 駒崎 智亮
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.345-350, 2000-09-05
参考文献数
9
被引用文献数
1

オオムギが主食として栽培されているチベット高原の東部地域(標高2670m~3550m)において, オオムギの栽培, 生育状況を収穫期に調査した.さらに, その場で収集したオオムギ在来品種333系統を日本で栽培し, 出穂期や収量関連形質などを調べた.栽培されていたオオムギのほとんど(収集系統の99%)が六条・裸性であった.粉食をするチベット民族が製粉の容易なハダカムギを好んで栽培していると推察される.穎や穎果が紫や青色を呈する系統が多数認められた.オオムギ栽培は, 河岸段丘や山腹の小規模な畑で行われていた.ヤク(牛の一種)を使う耕起の他は, 全て手作業で栽培が行われていた.元肥として, 主に有機質肥料が使われていた.播種様式は散播が最も多かった.春播き栽培されており, 播種期(3月中旬~4月上旬)と収穫期(8月上旬~下旬)が標高により異なった.収穫物は架掛けや屋根の上で乾燥された後, 踏みつぶしや唐竿により脱穀されていた.収穫時の生育状況(草高および被度)に, 大きな圃場間差が存在した.日本での出穂期に1ケ月近くの系統間変異が認められ, 標高2900~3100mから収集した系統に出穂の遅いものが多かった.このような出穂期の遺伝的分化には, 栽培標高帯の気象条件や播種, 収穫期の早晩が関わっていると思われた.収集系統の千粒重は, 世界各地の六条・裸性品種と比べ明らかに大きかった.最後に, 現地での多収化を計る上での栽培上の視点を提示した.
著者
武田 和義
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.191-193, 2006-12-01
被引用文献数
1
著者
武田 和義
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.205-211, 2005-12-01
参考文献数
25
被引用文献数
3
著者
岩佐 友彦 部田 英雄 武田 和義
出版者
岡山大学資源生物科学研究所
雑誌
岡山大学資源生物科学研究所報告 (ISSN:0916930X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.69-78, 1997

Powdery mildew, caused by Erysiphe graminis DC. f. sp. hordei EM Marchal, is a serious disease of Barley (Hordeum vulgare L.). In this study, we used molecular markers to identify the chromosomal locations carrying genes for powdery mildew resistance and to estimate the effect of each gene. Doubled haploid lines derived from Steptoe×Morex (S/M), Harrington×TR306 (H/T) and their parental were inoculated with five powdery mildew strains. Several quantitative trait loci (QTL) controlling E. graminis resistance were found and lacated on chromosome 4H, 5H, 6H and 7H in S/M. On the other hand, no QTL was detected in H/T but Harrington had a major resistant gene (Mlg) for powdery mildew resistance. Maker-assisted selection was conducted to examine the effect of accumulation for mildew resistance. There was a significant interaction between QTLs lacated in 4H and 7H, which suggested the presence of an epistatic effect between these QTLs.オオムギ品種Steptoe×Morex (S/M)およびHarrington×TR306 (H/T)の2交雑組合せからバルボッサム法によって育成された倍加半数体(DH)系統を用い、オオムギうどんこ病菌h81、h83(S/M)、h9、h4およびk6(H/T)に対する抵抗性を調べ、抵抗性のデータとマーカー情報からオオムギうどんこ病抵抗性を支配する遺伝子の位置と効果をQTLマッピングにより推定した。その結果、S/Mでは各菌株に対して特異的に発現するいくつかの抵抗性遺伝子が4H、5H、6H、および7Hに見出された。一方、H/Tにおいてはいずれの菌株に対してもDH系統群の抵抗性スコアの分離比が抵抗性:罹病性=1:1に適合し、見出された遺伝子は抵抗性遺伝子Mlgと同一あるいは同座であるとみられた。
著者
武田 和義
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.75-88, 1989-03-01
被引用文献数
1

くびれ米を発生し易いL-45×アキミノリのF_2集団を青森から沖縄に至る14の地域で栽培したところ,くびれ米歩合の集団平均値は1.5〜58.3%の変異を示し,各地域における豊熟初期の温度と密接な負の相関々係にあった.このF_2集団と後代のF_9系統群を平均20℃の制御環境下で登熟させたところ,穎(Cl)と子房(Tl)の長さのアンバランス(Tl/Cl)とくびれ米歩合の相関は密接であり,子房の本来の長さが穎に比べて長すぎることによって,くびれ米が発生するとみられた.その後代の固定系統を様々な環境で栽培したところ,Tlが豊熟初期の温度と密接な負の関係にある反面,Clは出穂後の温度の影響を受けないために,Tl/Clが豊熟初期の温度によって変動し,それに伴ってくびれ米歩合が変化するという環境的な因果関係が明らかにされた.
著者
武田 和義 高橋 秀和
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-8, 1999-03-01
被引用文献数
1

ムギ類の作期にほとんど雨の降らない夏雨型の半乾燥地では, 種子を深播して土壌深部の水を利用するため, 深播した場合にも出芽し得る深播耐性が必要である.オオムギ5,082品種とコムギ1,214品種を用いて深播耐性の品種変異を評価し, 極強品種を選抜した.深播耐性には大きな遺伝変異があり, 種子の大きさならびに幼芽の伸長量と関係があって半矮性品種の深播耐性は弱い.同質遺伝子系統対を比較したところ皮性オオムギの方が裸性オオムギよりも強かった.