著者
浅尾 裕信 武田 裕司 斉藤 真一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

閉経後肥満症はヒト乳癌のリスク因子の一つであり、脂肪組織由来のエストロゲンがその主な要因と考えられる。膜型インターロイキン21(IL-21)を発現するマウスでは血中エストロゲンや脂肪組織が増加し、乳腺組織の異形成と乳癌が高頻度で発生する。この病態はヒト閉経後乳癌の発症基盤と共通するものがあると考えた。本研究では、IL-21が脂肪組織の増加を介してエストロゲンの産生亢進に至る機構と、その後の乳癌発生へのIL-21の関与を解明することを目的としている。ヒト乳癌発生においてもIL-21の関与が確認できれば、閉経後乳癌発症の予防法の開発が期待される。
著者
斉藤 真一 浅尾 裕信 中島 修 武田 裕司
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

肥満に起因する慢性炎症は、インスリン抵抗性を惹起させ、2型糖尿病とその合併症(網膜症・神経障害・腎症・動脈硬化・認知症・易感染など)の基盤病態と考えられている。しかし合併症を発症する糖尿病後期は、必ずしも肥満を伴っていない。5-アミノレブリン酸合成酵素遺伝子破壊マウスは、肥満を伴わずに加齢依存的にインスリン抵抗性を発症し、5-アミノレブリン酸投与により糖代謝異常が改善される。このマウスで免疫学的解析により免疫異常(炎症惹起・免疫不全)の不可逆性の有無とその改善の可能性を検討でき、糖尿病合併症の発症制御の可能性を提案できることを期待している。
著者
木原 健 武田 裕司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

怒りを感じていても作り笑いを浮かべるなど、我々は頻繁に本当の感情とは異なる表情を作っている。また、そのような偽りの表情を本当の表情と区別することもできる。しかし、その区別にどのような視覚情報を利用しているかは不明である。表情の認識には空間周波数情報が重要であることから、それが偽り表情の認識にも関与している可能性がある。これを検討するため、低・高空間周波数(LSF・HSF)情報で構成された顔画像の表情の強さを変化させて、教示された表情の作成を求める実験を行った。表情の強さは、明確な笑顔(+10)から明確な怒り顔(-10)まで21段階に変化できた。教示された表情は、本当の笑顔、本当の怒り顔、怒りを偽った笑顔、笑いを偽った怒り顔の4種類があった。実験の結果、偽りの笑顔はLSFが中立表情、HSFが弱い笑顔で構成されることが分かった。これは、LSFとHSFの表情の違いを利用して偽りの笑顔を認識していることを示唆する。
著者
木村 元洋 武田 裕司 大平 英樹 ERICH Schroger
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

我々の脳は, 視覚的なオブジェクトの時間的文脈 (動きや変化のパターン)からルールを抽出し,そのオブジェクトが次にどのように変化するかを意図に関わらず自動的に予測している:"非意図的な時間文脈ベースの予測" 。本研究は,この非意図的な予測の脳内情報処理メカニズムを解明することを主目的とした。脳波の一種である事象関連脳電位を用いた実験を通し,この予測を反映する二種類の脳活動の同定に成功した:(1)予測された事象と実際の事象が不一致の際に生起する,視覚皮質-前頭前野に発生源をもつ視覚ミスマッチ陰性電位,および(2)予測された事象と実際の事象が一致した際に生じる,視覚皮質に発生源をもつ視覚誘発電位の増強および抑制。これらの結果は,この非意図的な予測が視覚皮質-前頭前野間の双方向性のネットワークにより達成されている可能性を示唆している。