著者
藤本 滋生 中島 修一 久保 豊 菅沼 俊彦 永浜 伴紀
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.174-179, 1981
被引用文献数
3

1.前報に引き続き,本邦南部の自生植物の澱粉4種について調べた.すなわち,澱粉源はカラムシ(イラクサ科)の塊茎,オシロイバナ(オシロイバナ科)の種子,テッポウユリ(ユリ科)の鱗茎,サルトリイパラ(ユリ科)の根茎で,これらの生組織から,それぞれ7%,32%,11%,6%の収率で澱粉を得た. 2.各澱粉につき,一般分析のほか,顕微鏡観察,粒径分布,X線回折,ヨウ素呈色,生澱粉のグルコアミラーゼ消化性,膨潤力,溶解度,アミログラフィー等の項目につき測定し,それぞれの特性を考察した. 3.カラムシ澱粉は単粒,複粒,半複粒などが混在し,アミロスと全リン酸の含量が比較的高い.さらにアミログラムその他から,硬い澱粉粒であると思われる.=オシロイバナ澱粉は1μm程度の微粒で,胚乳がそのまま澱粉の塊りといえる点が興味深い.また6%濃度のアミログラムではほとんど粘度を示さなかった.テッポウユリの澱粉はジャガイモ澱粉に似た大形の澱粉であるが,その糊の粘度は高温下でも安定であった.サルトリイバラ澱粉は白度が低く,ユリ類澱粉とはまったく異なっており,むしろサツマイモ澱粉に似た点が多かった.しかし,アミログラムの粘度ははるかに低かった. 本報告の一部は,昭和46年度および55年度の日本澱粉学会大会,ならびに昭和55年度の日本農芸化学会西日本支部大会で発表した.なお,本研究には,鹿児島大学名誉教授蟹江松雄博士のご鞭撻と,本学学生の杉村和道,佐々木弘美,加野義彦,久保田力の諸君の協力をいただいた.付記して謝意を表する.
著者
斉藤 真一 浅尾 裕信 中島 修 武田 裕司
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

肥満に起因する慢性炎症は、インスリン抵抗性を惹起させ、2型糖尿病とその合併症(網膜症・神経障害・腎症・動脈硬化・認知症・易感染など)の基盤病態と考えられている。しかし合併症を発症する糖尿病後期は、必ずしも肥満を伴っていない。5-アミノレブリン酸合成酵素遺伝子破壊マウスは、肥満を伴わずに加齢依存的にインスリン抵抗性を発症し、5-アミノレブリン酸投与により糖代謝異常が改善される。このマウスで免疫学的解析により免疫異常(炎症惹起・免疫不全)の不可逆性の有無とその改善の可能性を検討でき、糖尿病合併症の発症制御の可能性を提案できることを期待している。
著者
藤本 滋生 杉村 和道 中島 修一 菅沼 俊彦 永浜 伴紀
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.166-173, 1981-06-30 (Released:2011-02-23)
参考文献数
29
被引用文献数
5 6

1.ウリ科のカラスウリ(塊根)とキカラスウリ(塊根),およびサトイモ科のムサシアブミ(塊茎)とクワズイモ(根茎)よりそれぞれ生組織に対し12%,1 .3%,5%,4%の澱粉を得た. 2.サツマイモ澱粉を対照とし,それぞれの澱粉につき,一般分析のほか,顕微鏡観察,粒径分布,X線回折ヨウ素呈色,生澱粉のグルコアミラーゼ消化,膨潤力,溶解度,アミログラフィー等の項目について測定し,その特性を考察した. 3.カラスウリ澱粉は小形で全リン酸含量がきわめて高く,膨潤力やアミログラム粘度も高いことなどから,強固な粒構造をもっていることが示唆された.キカラスウリ澱粉はきわめて精製が容易で,性質はジャガイモ澱粉に比較的似たものであった.ムサシアブミ澱粉は多くの点でサツマイモ澱粉に酷似していることがわかった.またクワズイモ澱粉は,粒径1~2μmの微小粒のため遠心分離が必要であり,さらに混在するシュウ酸カルシウムの針状結晶を溶解するために希塩酸を用いた.その性質は,アミロース含量がきわめて少なく,糊化しやすく,膨潤力が大きかった., 本報告の一部は,昭和46年度および55年度の日本澱粉学会大会ならびに昭和55年度の日本農芸化学会西日本支部大会で発表した.なお,本研究には,鹿児島大学名誉教授蟹江松雄博士のご鞭撻と,本学学生の佐々木弘美,久保豊,久保田力の諸君の協力をいただいた.付記し謝意を表する.
著者
小磯 邦子 中島 修 松村 大輔 藤本 康之 橋本 祐一
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.104-112, 2000-01-01

Human myeloid leukemia K562 cells can be induced to differentiate to mature cells bidirectionary, i.e., hemin induces erythroid differentiation, while 12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate (TPA) induces differentiation to monocytes. The differentiation-inducing activity of various hemin-related compounds suggested certain structural requirements for the activity : 1) the iron moiety of hemin is not essential, and 2) the propionic acid side chains of hemin play an important role in the differntiation and induction. In addition, we have examined the influence of some bioresponsemodifying factors on hemin/protoporphyrin IX-induced differentiation of K562 cell line. Retinoids and tubulindisruptors, themselves did not induce differentiation, enhanced hemin/protoporphyrin IX-induced differentiation of K562 cells. We also examined the possible involvement of peripheral-type benzodiazepine receptor (PBR) in hemin/protoporphyrin IX-induced differentiation on K562 cell lines. The PBR specific ligands modified hemin-induced differentiation. These results suggest a requirement for retinoids (or retinoids-like cofactors) for hemin/protoporphyrin IX-induced differentiation of K562 cells and the involvement of PBR in erythroid differentiation of K562 cell line. Further we showed that TPA suppresses hemin-induduced erythroid differentiation of K562 cells, while retinoids augment it. TPA is a potent inducer of heme oxygenase (HO), which catabolizes heme to biliverdin. An HO inhibitor, tin protoporphyrin (SnPP), suppresses TPA-induced K562 cell differentiation to monocytes. It was also found that cotreatment of K562 cells with SnPP and TPA induces erythroid differentiation of K562 cells, though SnPP alone or TPA alone does not induce erythroid differentiation, suggesting a role of HO in the directional switch of differentiation.