著者
宮﨑 達郎 松下 秀介 氏家 清和
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.42-49, 2012 (Released:2012-06-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

東海地震は発生が予想される国内有数の震災であるが,その家庭対策の1つとして食料品備蓄が挙げられている.本研究は家庭による食料品備蓄の普及のために,食料品備蓄の便益と費用に対する家庭の評価の形成要因を明らかにすることを目的とした.分析に用いたデータは2011年5月に静岡県静岡市において実施した調査より収集した.分析結果より,食料品備蓄が実施されない理由として,食料品備蓄の必要性が十分に家庭に認識されていないこと,備蓄の計画を立てる能力が不足していることが考えられた.また,食料品備蓄を実施しても継続を断念してしまう家庭が存在するが,その理由として,食料品の買い出しの手間や備蓄食料品の消費の問題,備蓄スペース等の負担が,食料品備蓄を実施した経験により増幅され,顕在化した可能性が考えられた.他方,食料品備蓄の知識が豊富な家庭ほど,食料品備蓄の必要性を認識し,食料品備蓄実施に伴う様々な負担も感じにくい傾向があることが指摘された.さらに,各家庭が持つ備蓄食料品の食味や消費期限に関するイメージが,食料品備蓄の費用に対する評価に大きく影響することが分かった.以上より,地方公共団体や農林水産省等関係機関による情報提供や,備蓄食料品の食味の改良等,高品質化による食料品備蓄の普及の可能性が指摘された.
著者
宮﨑 達郎 松下 秀介 氏家 清和
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.42-49, 2012
被引用文献数
1

東海地震は発生が予想される国内有数の震災であるが,その家庭対策の1つとして食料品備蓄が挙げられている.本研究は家庭による食料品備蓄の普及のために,食料品備蓄の便益と費用に対する家庭の評価の形成要因を明らかにすることを目的とした.分析に用いたデータは2011年5月に静岡県静岡市において実施した調査より収集した.分析結果より,食料品備蓄が実施されない理由として,食料品備蓄の必要性が十分に家庭に認識されていないこと,備蓄の計画を立てる能力が不足していることが考えられた.また,食料品備蓄を実施しても継続を断念してしまう家庭が存在するが,その理由として,食料品の買い出しの手間や備蓄食料品の消費の問題,備蓄スペース等の負担が,食料品備蓄を実施した経験により増幅され,顕在化した可能性が考えられた.他方,食料品備蓄の知識が豊富な家庭ほど,食料品備蓄の必要性を認識し,食料品備蓄実施に伴う様々な負担も感じにくい傾向があることが指摘された.さらに,各家庭が持つ備蓄食料品の食味や消費期限に関するイメージが,食料品備蓄の費用に対する評価に大きく影響することが分かった.以上より,地方公共団体や農林水産省等関係機関による情報提供や,備蓄食料品の食味の改良等,高品質化による食料品備蓄の普及の可能性が指摘された.<br>
著者
岩本 博幸 垣内 恵美子 氏家 清和
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.2, pp.18-24, 2006-10-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

本研究の目的は,高山市の重要伝統的建造物保存地区における文化的景観の公益的価値を定量的に評価することにある。高山市は,1979年より古い町並みを「重要伝統的建造物群保存地区」として保存しているが,この地区から非市場的便益としてもたらされる公益的価値は,地域住民のみならず,高山市以外の岐阜県内外の住民および観光客などにも裨益していると考える。本研究では,二段階二肢選択方式のCVM(Contingent Valuation Method:仮想評価法)を高山市,岐阜県,東京都の住民および観光客に実施した結果,観光客には約318億円,全国の住民には約698億円の非市場的便益がもたらされていることが,推計結果から示された。
著者
清水 愛友実 氏家 清和
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.291-296, 2015

<p>This study analyzed market positioning of craft beer in the alcohol beverage market in Japan and characteristics of consumer preference for craft beer. The main outcomes of this study are as follows. First, the study made it clear quantitatively that craft beer was independent as a differentiated category in the alcohol market and did not compete very much with regular beer or premium beer produced by large producers. Second, the study proved that craft beer purchasers care about the producer's information, food safety and eco-friendliness.</p>
著者
氏家 清和
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近年、食品安全問題が頻発する中で,食品安全を担保する消費者行政の拡充が求められている.そこで本研究では,(1)食品の品質情報についての非対称性への対応策として,食品ラベル制度の消費者評価(2)食品安全事故による外部経済性,について分析をおこなった.本研究の分析は次のとおりであった.まず『無知の費用』の概念に基づいた食品表示制度による消費者便益の分布を推定し,社会的合意形成のあり方によっては,表示内容のオーバースペックを誘引してしまう可能性を指摘した.また,冷凍食品を題材とし,実際に起こった食品安全事故前後の消費動向を分析し,責任企業以外にも事故の影響が広がっていることを指摘し,安全事故の外部経済性の存在を示した.
著者
合崎 英男 中嶋 康博 氏家 清和 竹下 広宣 田原 健吾
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.32-40, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

携帯電話を通じてアクセスする食品リスク・コミュニケーション・システムを開発し,質問紙調査によってその有効性と改善方向を検討した.回答者は当該システムを通じて農薬に関する情報を得て,その評価結果を質問紙に回答するよう求められた.提供情報に対する閲覧者の理解度はおおむね高く,本システムの有効性を支持する結果が得られた.しかし,調査結果からはWeb情報の閲覧には金銭的なコスト意識も含めた心理的障壁の存在が明らかにされた.心理的障壁を乗り越えるためのインセンティブの程度についてはさらなる検討が必要である.