著者
水口 純 相沢 益男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.388-394, 1969-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
34
著者
佐藤 利夫 水口 純 鈴木 周一 戸倉 正利
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.216-220, 1967

ヤマノイモ科イチョウィモ(Dioseorea Batas Decne forma Icho)の根茎粘質物をその特性である高粘性を失なわないように抽出精製する方法を案出し,精製粘質物の化学的および物理化学的性質を明らかにした。<BR>イチョウイモ根茎の水抽出液にドデシル硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムとを加えておだやかに除タソパクをくり返すことにより,高粘性でしかも超遠心的に均一な粘質物を収得した。ここに得られた精製粘質物をさらにドデシル硫酸ナトリウム処理しても多糖とタソパク質との比(10:4)は変わらず,また相対粘度の上昇も認められなかった。<BR>精製粘質物の絶対粘度は2.7X10<SUP>3</SUP>ml/g,分子量14.6X10<SUP>4</SUP>,比旋光度は-60°の値が得られた。この粘質物はマンナンとして48%,水酸基をもつアミノ酸残基に富むタソパク質10%,リソ3,8%を含む一種のリン糖タソパク質であることがわかった。
著者
菅披 和彦 藤井 綾子 加藤 俊作 水口 純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.1238-1242, 1969-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

この研究では黄色亜酸化銅と赤色亜酸化銅の相互転換の可否を確かめ, その結果に基づいて, 黄色亜酸化銅から赤色亜酸化銅の製造条件を明らかにすることを目的とした。赤色亜酸化銅を摩砕すると, 粒子が細かくなるにつれて, その色は黄色に変化した。黄色亜酸化銅を窒素ふん囲気中で900℃に,または蒸留水中で290℃に加熱すると,その色は赤色に変化した。この赤色亜酸化銅は成長した大きな粒子であることが電子顕微鏡観察によって確かめられた。X 線回折の結果, 両者に差異が認められず, 粒子の大きさにのみ差異が認められることから, つぎのように結論された。亜酸化銅の色の相違は粒子の大きさの差異によるものであり,微細粒子は黄色を,粗大粒子は赤色を呈し,相互に転換できることがわかった。各種の水溶液中での加熱の場合,黄色亜酸化銅は蒸留水を用いた場合にのみ赤色亜酸化銅へ転換した。塩化ナトリウムの中性またはアルカリ性水溶液を用いた場合には,亜酸化銅の溶解度が大きいにもかかわらず,赤色亜酸化銅への転換は困難であった。このことは亜酸化銅を溶解した水溶液の紫外吸収スペクトルの測定結果から推察される可溶性錯体の生成と関係があるように思われる。上述の結果に基づいて, 黄色亜酸化銅の水熱処理による赤色亜酸化銅の製造条件について検討し, 加熱温度が高いほど短時間に粒子成長が起こり,赤色亜酸化銅が得られることを明らかにした。
著者
水口 純 相沢 益男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.231-235, 1970-03-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

ソビエトのDeryaginらは低圧水蒸気を毛細管中に凝結させて得た水は,通常の水とは著しく物性が異なる,いわゆる“anomalous water” であることを報告していた.その後二三の追試が行なわれていたが,最近アメリカ・メリーランド大学のLippincottらは“anomalous water” は水のポリマーであることをIRおよびラマンスペクトル測定によって見出し,この水を“polywater”と名づけた.“polywater” はF-H-F水素結合と同程度のきわめて強い水素結合によって水分子どうしが結合していて,密度は約1.4g/cm3であるという.“polywater” の存在が事実であるとすれば,水に対する概念の根本的変革が必要であり,その影響は生物化学,地球化学のみならず高分子合成など数多くの分野に及ぶものと考えられる.著者らは生体における水と生体機能との関連性を究明しているが, “polywater” の存在はこの研究に対してもきわめて多くの示唆を与えるものである.
著者
水口 純 副島 見事 岩永 貞昭
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.94-106, 2004-04-01
被引用文献数
2 1

凝固カスケードを構成する一群のビタミンK依存性セリンプロテアーゼのVII因子やIX因子,X因子,プロテインCは,互いに似た3次元立体構造を示すが,その基質特異性や触媒活性はそれぞれ特有である.近年,これらの因子について,従来の分子異常の報告に加え,3次構造の解析,遺伝子欠損マウスや,ヒト以外の各種動物でのアミノ酸配列の報告,活性を増減させた改変体の作出などの研究が急速に進んだ.<br>その結果,これらの因子の構造と機能に関する新たな知見が質・量ともに増し,巨視的には似た構造である各因子の,どの領域がそれぞれの特徴を担っているかが解明されつつある.中でもVII因子は,組織因子とともに外因系凝固カスケードの開始点に位置し,その特性として,単に特異的切断を受けただけでは触媒活性はほとんど無く,組織因子と結合して初めて生理学的な活性を発現するというユニークさを持つ.これは生体にとって有害である無秩序な血液凝固を防ぐために,自然が紡ぎ出した巧妙なメカニズムと言えよう.では,この精妙な機構を司るのはVII因子のどの領域であり,他の因子と比較してどの様な差があるのであろうか? 本稿(前編+後編)では,特にVII因子の3次構造を中心としたここ数年の知見に,我われのデータもまじえつつ解説したい(VIIの最近の代表的な総説を文献リストの最初に示す<SUP>1)-6)</SUP>.また,文献は後編にまとめて記載する.).