著者
水島 久光 椋本 輔 上松 大輝
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s27-s30, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
3

東海大学水島研究室は10年以上に亘り、コミュニティアーカイブの構築と連携をテーマに草の根の活動情報を収集し、時には実践者と共同で上映や研究会、ワークショップ、フィールドワークなどを行ってきた(原田・水島,2018)。こうした研究を通じて入手・蓄積または寄託された資料群の保全・管理という課題には、権利、物性、その他活動に即した困難さがある。しかしそれらにはオリジナル資料の喪失あるいは損傷をうけたときのバックアップ機能(ダークアーカイブ)や、アクセスの道を開くための目録的側面もあり、コミュニティアーカイブ構築と連携のボトムアップ的性格を定義づける積極的意味が見出せる。今回、研究室の環境整備の機会を捉え、その課題を基礎づけるメタデータスキーマの策定を行った。それはダブリン・コア15項目中のContributor(寄与者)の概念の振舞いに注目した体系化の試みであり、メタデータスキーマを巡る議論を再考し、データマネジメントの実践課題に対しても新たな提案となるものと考える。
著者
水島 久光
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.318-323, 2018

<p>それは「誰の」「何の」ための取組みなのか――デジタルアーカイブに関する議論において、忘れてはならない問いである。放送史との関わりで見れば、デジタル化はその公共的機能を支えてきた時空間秩序を揺るがすものと言える。デジタルアーカイブには、その新しい社会の集合性の再構築を助ける役割が期待されていると言うことができよう。本稿では、それを裏付けるために「地域」と「映像」という、テレビの要素概念を検討する。テレビにおける『紀行番組』の成立、北海道夕張市・東北の津波被災地の現状などをケーススタディとしながら、人々が生きられる環境を「地域の肖像権」の行使を通じて取り戻す、運動としてのアーカイブ論を提示する。</p>
著者
水島 久光
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.318-323, 2018-10-01 (Released:2018-11-20)
参考文献数
21

それは「誰の」「何の」ための取組みなのか――デジタルアーカイブに関する議論において、忘れてはならない問いである。放送史との関わりで見れば、デジタル化はその公共的機能を支えてきた時空間秩序を揺るがすものと言える。デジタルアーカイブには、その新しい社会の集合性の再構築を助ける役割が期待されていると言うことができよう。本稿では、それを裏付けるために「地域」と「映像」という、テレビの要素概念を検討する。テレビにおける『紀行番組』の成立、北海道夕張市・東北の津波被災地の現状などをケーススタディとしながら、人々が生きられる環境を「地域の肖像権」の行使を通じて取り戻す、運動としてのアーカイブ論を提示する。
著者
水島 久光
出版者
日本記号学会
雑誌
記号学研究 (ISSN:27588580)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-19, 2023 (Released:2023-11-24)

20世紀に大きな議論となった「哲学と言語」の関係は、Linguistic Turnのラベルが貼られたまま、半ば消費しつくされオワコンと化した感がある。しかし後の「認知科学」や昨今のロボティクスへの注目の中に、その積み残しは深い傷として残されている。本論は認知言語学の雄、G.レイコフと協働者M.ジョンソンとの二冊の「共著」に注目し、「学際性」の問題を再考する試みである。レイコフとジョンソンはこれらの著作を通じて、言語から認知へと「転回」の時代の主題の変化をともにしたが、それは必ずしも論理展開や解釈を共有していたわけではなかった。そのことは、二人の思考の型の違いを表している。レイコフの演繹とジョンソンの帰納のすれ違い――その分析は、我々研究者誰しもが囚われてしまうリスク=学問の党派性、権威性への無意識を白日のもとに晒す契機となる。R.ローティやI.ハッキングの「言語」と「哲学」の関係性への問いを出発点に、認識のインターフェースの変遷とその連続性を提起し、そこに横串を通す可能性を有するものとして、記号の知(アブダクション)を改めて位置づける。
著者
水島 久光
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.121-123, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
4

第7巻3号特集「デジタルアーカイブの未来と沖縄」の企画主旨(昨年の大会との連続性)と問題提起、および各論の紹介。