著者
栗田 禎子 長澤 榮治 水島 多喜男 阿久津 正幸 小林 春夫 鈴木 規夫 阿久津 正幸 清水 学 千代崎 未央 平野 淳一 湯川 武
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

従来、現代中東の社会運動をめぐる研究では、専らいわゆる「イスラーム主義」運動のみが脚光を浴びる傾向があったが、本研究では中東におけるマルクス主義の問題に着目し、その展開過程の特質を、運動、思想、歴史的・社会的背景という角度から分析した。研究の結果、中東のマルクス主義はこの地域の置かれた社会的・経済的現実と対峙し、地域に根ざした「知」の伝統(アラブ・イスラーム哲学の蓄積等)とも対話・格闘しながら発展してきたものであり、欧米からの単なる「移植」の産物ではないことが明らかになった。また、中東の社会・政治のあり方に関する従来の固定的・静態的イメージの見直しを行なうことができた。
著者
臼杵 陽 加藤 博 長澤 榮治 福田 安志 水島 多喜男
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

最終年度の今年度は3年間の研究のとりまとめと次の段階へのステップとして位置づけられる。今年度の研究成果として次の二点があげられる。まず、尾崎三雄氏所蔵アフガニスタン関係資料の整理である。本資料の整理は3グループに分かれて行われた。すなわち、第一は尾崎氏がアフガニスタン滞在中に記した日誌・日記等の活字記録の整理・入力作業である。本作業は一橋大学の加藤博(分担者)が中心に行った。第二は、アジア経済研究所の鈴木均(研究協力者)を中心に尾崎氏がアフガニスタンで収集した書籍のデーターベース化と収集民具などの整理である。第三は国立民族学博物館の臼杵陽(分担者)尾崎氏がアフガニスタン滞在中に撮影した写真のCD-ROM化の作業である。この3グループの作業としては第二、第三のグループがその一部のデータをCD-ROMを焼き付けた。また、第一のグループは日誌類の入力作業が終わったところである。このアフガニスタン関係資料の整理は本研究プロジェクトが終了した後も続けられる予定である。第二の成果として、日本・中東イスラーム関係をより比較の視点を導入して、議論を幅広く発展させていくことであった。この成果は国際ワークショップ「植民地主義を比較する-エジプト、イスラエル、日本、朝鮮半島を比較する」を2005年25日に開催したことである。このワークショップを通じて、日本・中東イスラーム関係は植民地主義の性格とその形態の地域間比較を通して、より広くイギリス・中東関係、日本・朝鮮半島、さらにはイスラエル・パレスチナ関係にも敷衍できることを確認した。すなわち、この知見は日本・イスラーム関係を基礎研究から製作提言まで幅広い可能性をもった中東イスラーム研究の今後のあり方を考えていく上での前提作業と位置づけられるのである。