著者
八藤後 忠夫 水谷 徹
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.79-86, 2005-12-20

近年急速に進歩しつつある先端科学・技術は,私たちの生活を一層利便性の高い豊かなものとしている.しかし一方では,特に医学・医療において診断・治療・予防のいずれの段階においても「社会における人間像」や「死生観」に抵触すると思われる側面も増大している.本稿は,これらの問題に関して,古代社会以来連綿と続いている優生思想の歴史的変容を概観し,検討した.その結果,出生前診断や着床前診断と選択的妊娠中絶においては,「障害者の生存権の否定」傾向に強く影響を及ぼしていることが確認された.このことは教育のあり方全般にも大きく影響を及ぼしていると推測され,その実践の一つとして今後の学校教育・社会教育全体に大きな課題を与えていると判断する.特に,障害児教育においてはその教育内容に更なる「内容の質の高さ」が求められていると考えられる.
著者
八藤後 忠夫 水谷 徹
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.79-86, 2005-12-01

近年急速に進歩しつつある先端科学・技術は,私たちの生活を一層利便性の高い豊かなものとしている.しかし一方では,特に医学・医療において診断・治療・予防のいずれの段階においても「社会における人間像」や「死生観」に抵触すると思われる側面も増大している.本稿は,これらの問題に関して,古代社会以来連綿と続いている優生思想の歴史的変容を概観し,検討した.その結果,出生前診断や着床前診断と選択的妊娠中絶においては,「障害者の生存権の否定」傾向に強く影響を及ぼしていることが確認された.このことは教育のあり方全般にも大きく影響を及ぼしていると推測され,その実践の一つとして今後の学校教育・社会教育全体に大きな課題を与えていると判断する.特に,障害児教育においてはその教育内容に更なる「内容の質の高さ」が求められていると考えられる.
著者
谷岡 大輔 清水 克悦 水谷 徹
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.104-109, 2019 (Released:2019-08-10)
参考文献数
30

原発性アルドステロン症は,良性な高血圧症と認識されていたが,最近の研究から生命に危機を及ぼす危険な高血圧症であることがわかってきた.今回,われわれは血圧コントロールが良好であったにも関わらず,原発性アルドステロン症が一つの要因と考えられた脳被殻出血の一例を経験した.症例報告により原発性アルドステロン症を加療することの重要性について報告する.63歳女性が失語症,ミギ片麻痺を呈して来院した.既往歴として高血圧症を指摘され,良好にコントロールされていたが脳出血を発症した.脳出血の加療後にヒダリ副腎病変による原発性アルドステロン症と診断された.副腎鏡視下切除術により降圧剤が不要となった.単に血圧を正常化させることが,原発性アルドステロン症を有する患者を治療する唯一の目標ではなく,高血圧,低カリウム血症および心血管イベント・脳血管イベントによる罹患率および死亡率を減少させることに主眼をおくべきである.原発性アルドステロン症に対する診断的アプローチは単純であり,治療により脳血管疾患,心血管疾患を予防することは重要と考えられた.
著者
水谷 徹 小島 英明
出版者
日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.331-337, 2004-09-30
被引用文献数
1 1

脳動脈全体が部分的に血栓化を伴って巨大化する本幹動脈瘤の存在は, 以前から知られていたが, 長期予後, 臨床経過はながらく不明であった. 診断時にはかなりの大きさに成長している場合が多く, giant fusiform aneurysm, megadolichoartery, giant serpentine aneurysmなどと呼称されてきた. これは, われわれの行った脳血管の本幹動脈瘤の分類でtype3に相当する. こうした部分血栓化巨大本幹動脈瘤の発生, 増大に関して, 今まで著者らが得た知見を報告する. 対象, 方法 1987年から2000年までの間に, 12例の部分血栓化した症候性の本幹動脈瘤を経験し, 最長10年のfollow upを行った. 正確な頻度は不明であるが, われわれの脳神経外科施設において, だいたい入院患者700-800人に1人の割合であった. 患者はすべて男性で, 初診時の年齢は42-71歳であった. 動脈瘤の存在部位は脳底動脈が10例で, 椎骨動脈が2例であった. 軽度の高血圧, 高脂血症を有するものが一部存在した.