著者
水野 忠文
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-9, 1987-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
杉本 政繁 水野 忠文
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.177-184, 1975-12-10

ルキアーノス(120〜190A.D.)の『アナカルシス』を検討した結果, 次の3点が明らかになった. I. 彼は競技の目標を, (1)市民および国家の自由, (2)安寧, (3)栄誉, (4)先祖伝来の祝祭の喜び, (5)一族の繁栄といった伝統的な精神的遺産に求め, また競技者像を, (1)男らしい勇気, (2)身体美, (3)最高の身体的状態, (4)栄誉, (5)勝利への不屈の意志, (6)敢闘の精神をもったものと捉えている. したがって, これらは倫理的教育的競技観といえる. II. 国家防衛者の教育方法に関しては, 魂の教育と体育を重視し, 具体的な資質としては, (1)軽快で強靭な身体を持つこと, (2)勇気があること, (3)優秀な人間であること, の3点を挙げているので, これらはプラトーンの国家篇における防衛者の把握の仕方と類似したものといえる. III. 競技見学に関しては, 青年の魂をふるいたたせることによって, 競技への動機づけになると把えているとみられる. 以上の3点は, 体育思想史的に有意義なものと考える.
著者
水野 忠文
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.171-177, 1973-01-25

この小論は最近の体育学研究における1つの重要な問題である分化(differentiation)と統合(integration)の問題を具体的事例をあげて考察したものである. 第1に体育学の対象である人間を哲学上の学問分類論から論じ, 学問的操作によって自然存在となる場合と行為の主体としての人間存在となる場合の区別を明らかにした. 第2に具体的事例として脛骨中央部横断面の尖鋭角が新石器時代から現代にかけて男子の場合その鋭角が鈍化する傾向を人類学的知見から考察し, 現代人のそれを超音波法によって計測すると運動能力の高いものの方が普通のものよりその尖鋭角がせまく, 脛骨が扁平性を示すという新事実をとらえた. 最後にこのような事実から, 自然科学的研究を体育に生かすために人文社会科学と結合することの必要を論じ, 統合問題の解決の方向を明らかにした.