著者
水野 時子 山田 幸二
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.153, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】近年、食品成分の機能性について関心が高まっており、生理活性物質とその作用についてよく知られている。また、機能性を持つ成分を富化する研究も多く行われている。大豆は、調理加工の前処理として水浸漬を行うことが多いが、演者らは先に大豆を水浸漬することにより、血圧上昇抑制作用などを有するγ-アミノ酪酸(GABA)が特異的に増加することを報告した。そこで、大豆加工製品の第三次機能を検討することを目的とし、市販大豆製品のGABA含量を測定した。【方法】郡山市内の大手スーパーで購入した枝豆、大豆もやし、豆腐、おから、きな粉(黄大豆・青大豆・黒大豆)、豆乳(豆乳飲料)、納豆、煮豆(袋詰・缶詰)、大豆の発酵食品(テンペ・乳腐・豆腐よう)および自家製味噌を、各数点ずつ分析した。GABAは日立L-8500形高速アミノ酸自動分析計を用い、生体液分析法で分析した。【結果】市販大豆製品のGABAを分析した結果、枝豆は204.2mg/100g dryであったが、茹でる事により44.6mg/100g dryと顕著に減少した。きな粉は6.5mg/100g dryであったが、黒大豆を用いたきな粉は黄大豆、青大豆を用いたきな粉より高い値を示した。煮豆は缶詰(ドライパック)30.4mg/100g dry、袋詰9.0mg/100g dryで、袋詰に対して缶詰で高い値を示した。大豆もやしは400.1mg/100g dry、豆腐は26.2mg/100g dry、おからは18.7mg/100g dry、豆乳(豆乳飲料)は0.8mg/100ml、納豆は11.8mg/100g、 自家製味噌は26.3mg/100gであった。大豆の発酵食品である乳腐はテンペ、豆腐ように比べて顕著に高い値を示した。以上の結果、大豆もやしはGABA高含有食品であることが示唆された。
著者
水野 時子 山田 幸二
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.329-335, 2007 (Released:2007-05-02)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

大豆もやし生育過程における, 呈味成分や機能性成分としてのγ-アミノ酪酸および遊離アミノ酸組成, 併せて一般成分, 脂質中の脂肪酸組成の変動を検討した。  1. 大豆もやし生育過程において, タンパク質含量, 脂質含量は減少したが, 出荷当日の大豆もやし乾物100g当たりのタンパク質含量は45.2~47.7%, 脂質は12.5~16.8%であった。  2. 大豆もやし生育過程において, 甘味系のアミノ酸 (スレオニン, セリン, グリシン, アラニン, プロリン, バリン), 苦味系のアミノ酸 (バリン, メチオニン, イソロイシン, ロイシン, チロシン, フェニルアラニン, ヒスチジン, アルギニン) は増加した。  3. 大豆もやし生育過程において, 機能性アミノ酸であるγ-アミノ酪酸, アルギニン, 分枝鎖アミノ酸 (バリン・ロイシン・イソロイシン) は増加し, 特に国産大豆子実を用いた大豆もやしで高値を示した。  以上の結果, 大豆もやしは栄養価の高い食品であることが示唆された。また, 機能性アミノ酸であるγ-アミノ酪酸, アルギニン, 分枝鎖アミノ酸 (バリン, ロイシン, イソロイシン) が増加したことから, 大豆もやし摂取でγ-アミノ酪酸, アルギニンによる血圧降下作用, 分枝鎖アミノ酸によるエネルギー活性化等の機能性が期待できる。
著者
山田 幸二 水野 時子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.451-457, 1993

市販のバターとマーガリンの栄養的特徴を明らかにするため, バターとマーガリンの混合比率の異なる油脂やリノール酸の含量の異なるマーガリンの血漿と肝臓の脂質におよぼす影響を, 25%カゼイン飼料でラットを飼育し検討した.<BR>その結果, Chol非添加飼料の場合, バター/マーガリン比の低下やバター摂取に比べマーガリン摂取で血漿コレステロール濃度は差がないが, 肝臓のトリグリセリドとロレステロール含量は有意に増加した.一方, コレステロール添加飼料の場合, バター/マーガリン比の低下やノミター摂取に比べマーガリン摂取で血漿コレステロール濃度は低下したが, 肝臓トリグリセリド含量は増加した.<BR>以上の結果, バター摂取に比ベマーガリン摂取による血漿コレステロール濃度の上昇抑制はコレステロールを添加した飼料でのみ生ずるのに対し, 肝臓脂質の蓄積は飼料へのコレステロール添加の有無に係わらず生ずる現象であることを示唆した.