著者
永井 大介 長谷川 賢一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.27-34, 1986-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14

中枢性聴覚障害は, その障害部位により種々の特異的異常現象を示す.しかし, 聴覚中枢経路が極めて複雑であるが故に, 未だその原因は明確にされていない.そこで聴覚刺激反応時間を測定し, 時間的要因より聴覚中枢経路の機能の解明を試みた.即ち, 正常者と脳血管障害による片麻痺患者の聴覚刺激反応時間を測定し, その対照として視覚刺激反応時間をも測定して聴覚中枢機能について考察した.検査対象は, 熱海綜合病院に入院している脳血管障害による左・右片麻痺患者 (各25名) , 及び生理的加齢変化以外の難聴のない正常者 (20名) とした.検査方法は, 全身反応装置 (八神理化器製, Y.B.1000) を改良し, 与えられた聴・視覚刺激を感受したら被験者は直ちにスイッチを押す (Tapping) 方法を用いた.刺激反応時間測定は7回行い, 最高値と最低値を除く5回の平均値を算出し, これを反応時間とした.Tappingは, 利き手, 非利き手による反応時間差がないことを確認した上で, 片麻痺群では健側手を用いて行った.正常群, 左・右片麻痺群における聴覚・視覚刺激反応時間を測定した結果は次の如くであった.正常者について1) 聴覚刺激反応時間は両耳聴にて293msecであり, 左・右片耳聴の323~326msecよりも短い.2) 視覚刺激反応時間は両眼視, 左・右単眼視で差はなく, 277~279mesecである.3) 視覚・聴覚刺激反応時間には有意差は認められない.片麻痺患者について1) 正常者群に比べ, 視覚・聴覚刺激反応時間は, 全ての項目で100~150msec有意に延長している.2) 聴覚・視覚刺激反応時間にて左右差は殆ど認められないが右片麻痺群の聴覚刺激反応時間では右耳聴が左耳聴に比べて有意に延長している.3) 聴覚・視覚薊激反応時間には有意差は殆ど認められないが, 右片麻痺群の右耳聴と右眼視の間には有意差を認める.以上のことから, 脳血管障害による片麻痺群においては, 正常者群に比べて聴覚・視覚ともほぼ同様の反応時間の延長を認める.このことは, 片麻痺群では刺激に対する認知時間, 感覚・運動両中枢での伝達時間, 運動領での指示・組立時間の延長に起因すると考えられる.しかし, 右片麻痺群の右耳聴の反応時間が左耳聴よりも明らかに延長し, また視覚刺激反応時間における同群の右眼視よりも延長していた.これより右片麻痺群の右耳聴の反応時間の延長は四丘体から左側頭葉聴覚領へ到る部位での伝達障害によることが最も考えられる.
著者
渡辺 尚彦 根岸 正之 永井 大介 調所 廣之 岡本 途也
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5Supplement3, pp.993-999, 1984-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14

Experiments were made of how normal persons express pure tone, band noise (B. N.), and white noise (W. N.), by vowel sounds and the results were compared with those obtained from patients with tinnitus. Low tone was often expressed by the vowels of u and o, and middle and high tones were by the vowel of i in healthy persons. No great difference was made by using selected words. B. N. was expressed in a quite different way from that in pure tone. Patients with sensori-neural hearing loss gave different expression from that given by normal persons. However, their vowel expression tended to be similar to that of the others. The results, the way of expression by normal persons were used for anamnesis of tinnitus patients. Conductive tinnitus occurred particularly around the sounds, u, go, and 136, and the pitch was all less than 500 Hz. In mixed tinnitus, there was considerable variation, probably depending upon how conductive and sensorineural elements participate in. Sensori-neural tinnitus was found in a whole pitch range, and mostly expressed as the sounds of i series. The patients rarely complained of tinnitus of B. N.-like sound. There was found no specificity to pitch nor to disease in tinnitus.
著者
永井 大介
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、複数のレアメタル捕集材料を段階的に組み合わせた効率的な都市鉱山リサイクルを目的に、様々な高選択的・高回収レアメタル捕集材料の開発を検討した。高選択的捕集材料については、メラミンシアヌレート超分子が金属混合水溶液中から選択的にPdを捕集できることを見出した。高回収捕集材料では、トリチオシアヌル酸とメラミンの水素結合を介した自己集合を利用することにより、使用する材料1 gに対してPdを1.25 g捕集できる事を明らかにした。さらに有機溶媒中でのレアメタル捕集を目的に、テトラアミンとジオールの水素結合を介した自己集合により、PdとCuを高収率(99%)で捕集できることを明らかにした。