著者
髙根 雄也 日下 博幸 髙木 美彩 岡田 牧 阿部 紫織 永井 徹 冨士 友紀乃 飯塚 悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.14-37, 2013-01-01 (Released:2017-12-02)
参考文献数
52
被引用文献数
1

これまで調査されてこなかった岐阜県多治見市と愛知県春日井市の暑熱環境の実態を明らかにするため,2010年8月の晴天日に,両市の15地点に気温計を,2地点にアスマン通風乾湿計と黒球温度計をそれぞれ設置し,両市の気温と湿球黒球温度WBGTの実態を調査した.次に,領域気象モデルWRFを用いて気温とWBGTの予測実験を行い,これらの予測に対するWRFモデルの有用性を確認した.最後に,WRFモデルの物理モデルと水平解像度の選択に伴うWBGT予測結果の不確実性の大きさを相互比較するために,物理モデルと水平解像度の感度実験を行った.その結果,選択した物理モデルによって予測値が日中平均で最大8.4°C異なること,特に地表面モデルSLABは観測値の過大評価(6.8°C)をもたらすことが確認された.一方,水平解像度が3 km以下の場合,WBGTの予測値の解像度依存性は日中平均で最大0.5°Cと非常に小さいことが確認された.
著者
酒井 友哉 永井 徹 鈴木 恵梨子 土屋 麻衣子 鈴木 美帆 清野 由美子 中嶌 美佳 政金 生人
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.211-217, 2018 (Released:2018-03-28)
参考文献数
23

血液透析患者において, BMIが高いほど死亡リスクが低くなるreverse epidemiologyが広く知られているが, これには栄養障害, 炎症が交絡因子として作用している可能性がある. そこで, 日本人血液透析患者のBMIと死亡率の関連性は栄養障害および炎症の影響を受けるか検討した. 血液透析患者259人と, 栄養障害, 炎症ありと判断した92人を除外した167人を対象に, BMI別の死亡リスクを検討した. BMI 22.0~25.0kg/m2を対照とすると, 全対象者では, BMI 25.0kg/m2以上で有意な死亡リスクの低下は認められず, 栄養障害, 炎症のない対象者では, BMI 25.0kg/m2以上で有意に死亡リスクが上昇した (HR 7.85 [1.77-56.27]). われわれの検討では, 日本人血液透析患者の肥満は死亡リスクの低下を認めることはなく, 栄養障害および炎症のない場合に限り死亡の危険因子であった. 人種差だけでなく, 栄養障害および炎症がBMIと死亡率との関連の重要な交絡因子であることが示唆された.
著者
岡田 牧 日下 博幸 髙木 美彩 阿部 紫織 高根 雄也 冨士 友紀乃 永井 徹
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.23-29, 2014-01

2010年当時の国内最高気温40.9℃が記録された岐阜県多治見市における夏季の気温分布を調べるために,2010年8月に多治見市並びに愛知県春日井市の学校及び公園に計15台の気温計を設置した.月平均気温の空間分布から,盆地底に位置する多治見市中心部ほど気温の高い様子が示された,また,日最高気温35℃以上の日数(猛暑日数)と日最低気温が25℃以上の日数(熱帯夜数)についても,多治見市中心部で最も多かった.更に,日最低気温が現れやすい早朝の気温分布においても,多治見市中心部ほど気温が高かった.夜間の盆地底は冷気層の形成によりその周囲よりも低温になりやすい.しかしながら気温が下がりにくかったという結果から,多治見市の日最低気温の形成に多治見市の都市化が影響していることが推察された.