著者
永井 純子 植沢 芳広 加賀谷 肇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.113-119, 2015 (Released:2015-02-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1 4

強オピオイドは,がん疼痛などの高度な痛みに適用される鎮痛薬である.強オピオイドを用いた疼痛緩和療法には多様な副作用が付随することから,適切な副作用管理を達成するための客観的根拠に基づくデータの解析が望まれる.そこで,本邦の副作用データベース(JADER)から,モルヒネ,フェンタニル,およびオキシコドンにおける副作用発現傾向を解析した.JADERから疼痛治療に用いた強オピオイドにより生じた副作用症例を抽出し,副作用の種類とその発現頻度を解析した.強オピオイドに共通する副作用の発現頻度は,薬物間で大きな相違が認められた.さらに,これらのオピオイドの副作用発現傾向を俯瞰する目的で主成分分析を行った結果,モルヒネはフェンタニルとオキシコドンの中間的な副作用の発現傾向を示すことが示された.以上の知見は,患者の副作用に応じた適切な薬剤選択による安全な薬物治療の確立に有用であると考えられる.
著者
勝野 眞吾 鬼頭 英明 西岡 伸紀 三好 美浩 和田 清 吉本 佐雅子 尾崎 米厚 永井 純子
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

若者の喫煙,飲酒を含む薬物乱用は変化するので繰り返し調査をしてモニタリングを行うことが必要である.本研究では,日本とアジアの青少年の薬物乱用の実態を調査し,データ・アーカイブを構築した.得られた結果は以下のようである.(1) 日本の青少年の喫煙,飲酒経験は連続して低下しており,2009年の時点でのこれまで1度でも喫煙経験した者の割合は13.1%,飲酒生涯経験率は56.7%であった. (2) 何らかの違法薬物を一度でも経験した者は2009年,男子1.1%,女子で0.6%であった. (3) 日本を含むアジア諸国の青少年の違法薬物乱用経験は欧米に比べて著しく低い. (4) 日本の高校生のほとんどは,薬物乱用の危険性をよく理解し,乱用に拒否的な態度を もつ. (5) 以上をまとめデータ・アーカイブを構築するとともに,その重要性を指摘した.
著者
永井 純子 植沢 芳広 加賀谷 肇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.161-168, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
43
被引用文献数
2 6

オキシコドンの薬効および体内動態は性差等の患者背景に依存することから,副作用と患者背景因子の関係の把握は臨床上重要な知見を与える可能性がある.そこで,独立行政法人医薬品医療機器総合機構・医薬品副作用データベース (JADER)を用いた解析を試みた.オキシコドン投与患者において,主要な副作用症例の年齢・性別による発現傾向の変化を観察した.オキシコドンに関連する重要な有害事象は,モルヒネおよびフェンタニルと共通して臨床的に認知されている譫妄,悪心・嘔吐等の症状であった.女性において悪心,下痢などの消化器症状が,男性においては間質性肺疾患が報告の多い有害事象であった.一方,非高齢者と比較して高齢者における有害事象は傾眠,譫妄等の報告が多かった.以上の結果は,オキシコドン投与時の副作用マネジメントの個別化において有用な知見となるものと期待される.