- 著者
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永井 純子
植沢 芳広
加賀谷 肇
- 出版者
- 日本緩和医療学会
- 雑誌
- Palliative Care Research (ISSN:18805302)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.1, pp.113-119, 2015 (Released:2015-02-03)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
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強オピオイドは,がん疼痛などの高度な痛みに適用される鎮痛薬である.強オピオイドを用いた疼痛緩和療法には多様な副作用が付随することから,適切な副作用管理を達成するための客観的根拠に基づくデータの解析が望まれる.そこで,本邦の副作用データベース(JADER)から,モルヒネ,フェンタニル,およびオキシコドンにおける副作用発現傾向を解析した.JADERから疼痛治療に用いた強オピオイドにより生じた副作用症例を抽出し,副作用の種類とその発現頻度を解析した.強オピオイドに共通する副作用の発現頻度は,薬物間で大きな相違が認められた.さらに,これらのオピオイドの副作用発現傾向を俯瞰する目的で主成分分析を行った結果,モルヒネはフェンタニルとオキシコドンの中間的な副作用の発現傾向を示すことが示された.以上の知見は,患者の副作用に応じた適切な薬剤選択による安全な薬物治療の確立に有用であると考えられる.