著者
永田 麻詠
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.39-47, 2020-09-30 (Released:2020-10-23)
参考文献数
42

性的にマイノリティとされる子どもが「言葉の暴力」にさらされているという問題から、国語科教育としてどのように「言語環境の整備」に取り組むことが多様な性への対応となりうるのか、「言語感覚」と社会言語学の知見を手がかりに検討を行った。その結果、(1)多様な性に対する意識変容を目標として、言語感覚の育成をめざす(2)多様な性への対応として言語感覚を育てることにより、すべての子どものエンパワメントをめざす(3)アウティングやカミングアウトの強制を避けるために、文学的教材を用いて実践を構想する(4)性をめぐることばに対する具体的な違和感を検出することで、多様な性に対する社会的な価値観を批判的に検討できるような学習展開を具体化するの4点を、多様な性への対応としての言語感覚を育成する手がかりとした。
著者
永田 麻詠
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.51-60, 2012-06-25

本稿では,キー・コンピテンシーや読解リテラシーと深いかかわりをもつ「エンパワメントとしての読解力」という新たな国語学力の育成に向けて,小学校国語科教科書をジェンダーの観点から考察した。その結果,物語教材における主要な登場人物などが男性に偏っていることや,固定化した男性/女性らしさや性的役割分業などのジェンダー的な傾向が見られたが,だからこそ小学校国語科教科書は,「エンパワメントとしての読解力」を育成する契機となると考えられる。以上をふまえ本稿では,「エンパワメントとしての読解力」育成に向けた国語科授業を提案した。