著者
永野 昌博 畑田 彩 澤畠 拓夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.456-465, 2005
参考文献数
17
被引用文献数
9

里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロは、人口約3,000人の農村地域において地域住民と共に地域に根ざした研究-等身大の科学-の実践による地域の活性化を目指して、里山保全、社会教育、産業支援、農村と都市との交流活動など幅広い事業を展開している博物館である。本稿では、学芸員としての使命と地域住民からの期待との間で試行錯誤しながら進めている「教育・普及活動」、「里山保全活動」、「住民参加型GISデータベースの活用」の活動事例を紹介する。また、それらの活動を通じて考えられた都市、都市近郊とは異なる農村地域の現状とニーズに基づいた地域固有の里山保全活動の方向性ならびに農村地域の博物館が地域社会や生態学分野に果たす意義や役割、課題や可能性について提案する。
著者
永野 昌博 足利 由紀子
出版者
大分大学教育福祉科学部
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.257-269, 2015-10

干潟は高い生物多様性や生態系サービスを有す一方,様々な開発圧に曝されている。また,干潟は地元住民,漁師,行政,開発業者など様々な立場の人たちの利害関係とも深く関わっている。そのため,保全か開発かの二者択一の議論では干潟の諸問題を解決することは困難である。本研究は,このような複雑な問題を題材とした持続可能な社会(開発と保全)の在り方を考える授業プログラムの開発を行った。授業プログラムは,大学生12 名を対象に,事前調べ学習,干潟での自然観察(遊び)と生物多様性調査,ワークショップの3 つの構成で行った。構成それぞれで干潟への関心や知識に関するアンケート調査を実施し,それらの効果を検証した。生物多様性調査の結果,19 種の絶滅危惧種を含む47 種の生物を採集することができた。アンケート調査の結果,受講者は,授業の進行に連れて,干潟の知識の向上,干潟を必要と思う気持ちの向上などがみられた。また,ワークショップを通じ,干潟に対する自分の考えを見つめ直し,他者の考えを受け入れ,議論を重ねたことで,干潟の景観や生物のことだけなく,干潟を取り巻く社会情勢や干潟の価値や役割など様々なことを多角的,俯瞰的,総合的に思考し,理解する機会が得られたと考えられた。Although mudflats have many ecological functions and high biodiversity, they are exposed to the pressure of development. Such a situation provides suitable materials for education for sustainable development (ESD). As there has been no practical study of ESD on mudflats, we have therefore created the learning program of ESD on mudflats. The program is divided into three parts: investigative learning, nature observation meetings and field research on mudflats, and workshops in the classroom. Students were answered a questionnaire after each part. The results of field research, 47 species of animals, including 19 species of endangered species were collected. The results of the questionnaire showed that, as the program progressed, so the knowledge and interest of students in mudflats increased. Furthermore, through the workshop, students were able to share various ideas regarding mudflats.