著者
前田 青広 福永 雅喜 中越 明日香 山本 洋紀 山本 謙一郎 田中 忠蔵 恵飛須 俊彦 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.13-18, 2003-05-02

Kanizsa型輪郭錯視では、パックマン型誘導刺激のエッジ間を補完するように主観的輪郭線が形成される.本研究では、Kanizsa型輪郭錯視図形を観察している被験者の脳活動をfMRIを用いて測定した。実験は、パックマン開口部の同期を制御し、局所的な輝度変調のないブロックデザインで行った。主観的輪郭線に対する脳活動は、実輪郭線に対する脳活動と高い類似性を示した。また、脳活動は従来示されてきた線条外皮質だけでなく、線条皮質においてもロバストに観察された。さらに、錯視輪郭を形成しない誘導図形を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。上記の結果を、レチノトピー、輪郭形成過程、形態形成過程の観点から考察した。
著者
近藤 あき 中越 明日香 山本 洋紀 田中 忠蔵 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.100, pp.13-18, 2004-05-21
参考文献数
6

色対比効果とは、同じ色でも周囲に存在する色に依存して異なる色に知覚される現象を指す。この効果は色を空間的に比較する脳過程の存在を示している。本研究では色の空間比較過程に関与する脳部位を、fMRIを用いて検討した。視覚刺激は等輝度のテスト刺激と周辺刺激であった。テスト刺激と周辺刺激の境界が隣接する条件と間隙がある条件(0.5°または1°)を設けた。テスト刺激と周辺刺激は実験を通して常に赤緑変調されたが、同じ位相で変化する条件と逆相で変化する条件が交互に提示された。この時、色対比が生じて、テスト刺激の物理的な色変調は一定であるにもかかわらず、見かけの色変調は逆相条件で強まった。この間の脳活動をfMRIで測定すると、間隙がない場合には、見かけの色変調に相関した脳活動が低次から高次に至る多くの視覚野で観察された。間隙が大きくなると、低次の領野では脳活動が激減したが、後頭の背側と腹側の特定の高次領野では有意な活動が残った。これらの結果から、色比較の空間範囲は視覚経路の階層が上がるにつれて広くなると考えられる。
著者
山本 哲也 高橋 成子 花川 隆 浦山 慎一 福山 秀直 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.143, pp.23-28, 2006-06-29

立体運動効果とは、前額平行面内において視軸について回転する2次元の視覚刺激によって、あたかも3次元の物体が運動しているかのように知覚される現象である。これを刺激に用いることによって、奥行き、運動、形態の3つの情報処理を分離することが可能である。本研究では、運動と形態が奥行き知覚に対してどのように寄与するかを明らかにするために、fMRI実験を行った。その結果、MT+、LO、V3Bを含む後頭側頭領域は、奥行きの抽出に重要な役割を果たしていることが示唆された。DIPSM、DIPSAを含む背側頭頂間領域は知覚された3次元物体の運動軌道の計算、V3A、V7、VIPSを含む腹側頭頂間領域は高次領域で高度な処理を行うための情報抽出に関わっていると考えられた。