著者
前田 青広 福永 雅喜 中越 明日香 山本 洋紀 山本 謙一郎 田中 忠蔵 恵飛須 俊彦 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.13-18, 2003-05-02

Kanizsa型輪郭錯視では、パックマン型誘導刺激のエッジ間を補完するように主観的輪郭線が形成される.本研究では、Kanizsa型輪郭錯視図形を観察している被験者の脳活動をfMRIを用いて測定した。実験は、パックマン開口部の同期を制御し、局所的な輝度変調のないブロックデザインで行った。主観的輪郭線に対する脳活動は、実輪郭線に対する脳活動と高い類似性を示した。また、脳活動は従来示されてきた線条外皮質だけでなく、線条皮質においてもロバストに観察された。さらに、錯視輪郭を形成しない誘導図形を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。上記の結果を、レチノトピー、輪郭形成過程、形態形成過程の観点から考察した。
著者
山本洋紀
雑誌
第42回日本磁気共鳴医学会大会
巻号頁・発行日
2014-09-11

私たちは、刺激と知覚が乖離する時(ないはずの物が見える等)のfMRIによって、視覚意識の脳過程を調べています。本講演では、視覚皮質を対象にした最近の下記研究を紹介し、視覚意識に果たす初期視覚野の役割を考察します。1) ない物が見える:アモーダル補完に関するfMRI1視覚物体の多くは他物体で遮蔽されていますが、人は遮蔽部分を容易に補完し、物体の全体像を即座に把握できます(アモーダル補完)。本研究では、遮蔽物体を見ている際の脳活動をfMRIで計測しました。その結果、V1/2野において、遮蔽されて欠損した視覚像がまるで絵を描くように補完されて、物体の全体像が再構成されていることを明らかにました。さらに、V1の補完に関わる活動は、事前に見ていた物体の形を反映して、補完が必要でないと判断される場合には生じないこともわかりました。人間の視覚系は、外界に対する「解釈」を加えた、より高次の処理を行っていることを示しています。また、視覚皮質の活動は、見えている物体だけでなく、見えなくてもその存在を感じるだけで生じることが確認されました。2) ある物が見えない: 視覚意識の個人差に関するfMRI2左右の目に全く異なる画像が入力されると、知覚は揺らぎ安定しなくなります。この現象は両眼視野闘争(BR)と呼ばれ、視覚入力は一定のまま、主観的な知覚だけが不随意的に切り替わることから、視覚処理に関わる神経活動と視覚意識に関わる神経活動を分離できる現象として、数多くの神経科学的研究の対象となってきました。ところが、BRの脳過程については、まだ十分にはわかっていません。本研究では、BRによって見えなくなった目標刺激によって引き起こされた低次視覚野の脳活動に着目したfMRI実験を行いました。この結果、目標刺激が見えなくなる時間が長い人ほどV3野とV4v野の反応が弱いことがわかりました。この結果は低次視覚野の活動が両眼視野闘争の知覚交替のダイナミクスの決定に関与していること示しています。1. Ban H., et al. (2013) The Journal of Neuroscience, 33(43), 16992-17007.2. Yamashiro H, et al. (2014) Journal of Neurophysiology, 111(6), 1190-202.
著者
近藤 あき 中越 明日香 山本 洋紀 田中 忠蔵 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.100, pp.13-18, 2004-05-21
参考文献数
6

色対比効果とは、同じ色でも周囲に存在する色に依存して異なる色に知覚される現象を指す。この効果は色を空間的に比較する脳過程の存在を示している。本研究では色の空間比較過程に関与する脳部位を、fMRIを用いて検討した。視覚刺激は等輝度のテスト刺激と周辺刺激であった。テスト刺激と周辺刺激の境界が隣接する条件と間隙がある条件(0.5°または1°)を設けた。テスト刺激と周辺刺激は実験を通して常に赤緑変調されたが、同じ位相で変化する条件と逆相で変化する条件が交互に提示された。この時、色対比が生じて、テスト刺激の物理的な色変調は一定であるにもかかわらず、見かけの色変調は逆相条件で強まった。この間の脳活動をfMRIで測定すると、間隙がない場合には、見かけの色変調に相関した脳活動が低次から高次に至る多くの視覚野で観察された。間隙が大きくなると、低次の領野では脳活動が激減したが、後頭の背側と腹側の特定の高次領野では有意な活動が残った。これらの結果から、色比較の空間範囲は視覚経路の階層が上がるにつれて広くなると考えられる。
著者
渡部 幹 山本 洋紀 清水 和巳 番 浩志 山本 洋紀 清水 和巳
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

制度の維持と変容を司る心理変数について、それらがどのような役割を果たしているか、そしてそれが制度とどのように関係しているかについて、3つの実験シリーズを行った。それぞれ、公共財における懲罰行動の分類とその行動に対する評価、他者の信頼性を判断する際の脳の賦活動、公正分配の規定要因、についての研究を行った。その結果、交換ネットワークの流動性や懲罰についての共有理解がそれらに影響を及ぼし、制度の生成基盤になる可能性が示された。