- 著者
-
池田 清治
- 巻号頁・発行日
- 2006-04-20
民法はすべての法律学の基本であるため、法学部では通常20単位程度の授業時間が割り当てられています。しかし、専門的な授業では詳細な講義がなされるため、返ってその全体像が分かりにくく、親しみづらいものとなってしまいます。そこで、「社会の認識」という全学向けのこの講義では、「民法の全体像」を把握するよう努めます。法学部のみなさんにとっては、今後の学習の道しるべになるでしょう。法学部以外のみなさんにとっては、法律学がいかなる思考枠組みを用いて「世界」を認識するものであるのか、その構造上の特徴が明らかになりますので、自身の専門分野における認識枠組みとの違いが分かり、法律学に対する興味をそそられるでしょう。
ですので、この授業では、民法を「体系的に」講義します。1回に1件、面白い事件を取り上げ、それを15回つなぎ合わせるなどといったものではなく、「学問的に」民法を教授します。しかし、親しみやすくなるよう、いろいろな事例を使って分かりやすく説明しますので、その点は安心してください。
高校までは、本当の意味で法律学を学ぶ機会はありませんでした。みなさんにとって、これがはじめての機会です。法律学とはどのような学問体系なのか、そこにはいかなる特徴があるのか、この問題にアプローチするには「民法の全体像」を把握することが有用かつ不可欠であり、そのような講義にしたいと思っています。