著者
吉田 邦彦 遠藤 乾 辻 康夫 丸山 博 ゲーマン・ジェフリー ジョセフ 井上 勝生 上村 英明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-07-19

第1に補償問題に関する研究はかなり進捗した。そのうちの1つめとして主力を注いだのは、先住民族研究の中のアイヌ民族に関するもので、2016年4月発足の市民会議(代表者は、分担者丸山)を本年度も鋭意続行し(2017年3月、6月、10月)、その報告書も公表した。関連して、海外の研究者との関連も密にし、コロラド大学でのアメリカ原住民研究者との意見交換(2017年5月)、アラスカ大学でのアラスカ原住民研究会議報告及び意見交換(2017年4月)(ニューメキシコ大学には前年度訪問(2017円1月))、北欧での北極圏会議の参加,ウメオ大学での北大交流会では、特にサーミ民族との比較研究に留意して意見交換をし、講演も行った(2017年6月、2018年2月)(オーストラリアのアボリジニー問題の比較研究は、前年度末(2017年3月)にオーストラリア国立大学で講義)。近時のホットな問題である遺骨返還について、ベルリン自由大学のシーア教授とも意見交換した(2017年7月)。補償問題の2つめは、済州島の悲劇に即して,ノースキャロライナ大学でのシンポを主催し、アメリカの補償責任との関係で、連邦議員とも意見交換した(2017年5月)。済州大学との提携での学生も交えたシンポも例年通り行っている(2017年8月)。さらにこの関連では、奴隷制に関わる補償論調査のためにアラバマ大学を初訪問し(2017年10月)、さらにチュレーン大学での補償問題のシンポで報告した(2018年3月)。第2に、移民問題との関係では、北大のサマーインスティチュートの一環で、UCLAのモトムラ教授、マイアミ大学のエイブラハム教授、トルコの中近東大学のカレ教授を北大に招聘してのシンポ及び講義・討論を実施した。さらにこの問題群を深めるのは、今後の課題である。関連して、メキシコ国境の環境問題についても調査する機会も得た(2018年1月)。
著者
吉田 邦彦 辻内 琢也 今野 正規 津田 敏秀 成 元哲 窪田 亜矢 淡路 剛久 今中 哲二
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、《福島放射能被害・水俣病・アスベスト被害などの潜伏的健康被害と地球温暖化の大規模災害の救済システムの国際的学際研究――21世紀型不法行為に関する医学・法学・工学の対話》がテーマである。敷衍すると、福島原発事故の放射能被害をはじめとする蓄積的健康被害および地球温暖化に関わる大災害の救済システムについて、医学・原子力工学などの自然科学の経験分析研究と、環境法・医事法・居住福祉法学やリスク論の方法論的展開を踏まえた法学研究を糾合しつつ、被災者の社会学的知見や医療人類学的な分析も取り込みながら、従来の損害賠償法のスキームに囚われぬ総合的枠組みを現状批判的に再構築することを目指す。

3 0 0 0 OA 民事判例研究

著者
吉田 邦彦 桑 月佳
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.159-178, 2020-05-29
著者
吉田 邦彦 牛尾 洋也 今野 正規 橋本 伸 RodriguezSamudio RubenEnrique 西原 智昭 広瀬 健一郎 ゲーマン・ジェフリー ジョセフ 上村 英明 木村 真希子
出版者
北海道大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

世界中の先住民族への過去の不正義の理論的・比較法的研究は、国連の先住民族の権利宣言に基づく漸進的進展がある。法的問題としては、土地・環境問題、遺骨返還、知的所有権、先住権(漁撈権など)などがあり、日本の状況は諸外国からは学ぶところが多い。他方で、国際政治の大きな変化で、民族紛争は分散的継続で、強制移民や先住民族の周縁化・深刻化も見逃せない。本研究では、国連との関係も密にし《世界標準》との関連で、先進諸国・発展途上国・日本近隣諸国の先住民族をグローバルに検討し、先住民族の諸課題の現場的考察との照合から、日本の先住民族(アイヌ民族、琉球民族)が抱える諸問題を学際的・経験的(実証的)に解明する。
著者
吉田 邦彦 早坂 啓造 岡田 秀二
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

入会問題(理論、実態)について、小繋、戸呂、山中湖の事例、沖縄の事例から、多面的に問題状況を考察し、同時に、森林管理のために、林業の課題、中山間地の再生の道を探った。他方で個人主義的所有論の抜本的再検討のためにも、オストロム・コモンズ理論の分析を用いて、森林保護以外にも、海洋資源の保護、灌漑制度、水資源の共同利用等も検討した。それに関連して、先住民族の土地(生活空間)利用哲学の理解を深め(とくにアイヌ民族の場合)、その侵害補償の在り方を考えた。土地問題のみならず、薬草などの伝統的知識・遺伝資源の保護も扱った。
著者
吉田 邦彦
出版者
日本私法学会
雑誌
私法 (ISSN:03873315)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.48, pp.193-201, 1986-08-30 (Released:2012-02-07)
著者
吉田 邦彦
出版者
有斐閣
雑誌
民商法雑誌 (ISSN:13425056)
巻号頁・発行日
vol.119, no.2, pp.185-232, 1998-11
著者
吉田 邦彦 早川 和男 亘理 格 人見 剛 遠藤 乾 藤谷 武史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

第1は、平成大合併の動きとの関連での中山間地の動向調査で、とくに合併を拒否した基礎自治体に留意して、(1)平成大合併の経緯ないし(2)その理由の検討(日米で合併が説かれる際の相違)、(3)居住福祉に及ぼす影響、(4)合併が拒否される場合の根拠、ないしその際の苦境などを含めて、成果報告をした。空洞化する農林業、地方都市の再生のあり方も併せて検討した。また第2に、それと関連して、自治体の財政破綻・貧困地区の再生と「新たな公共」の担い手としての非営利団体の研究を行い、破綻自治体問題の居住福祉に及ぼす影響、今後の対策(その際の各種非営利団体の役割)などにつき、シンポを企画し、労働者協同組合とも連携して、草の根の居住福祉のための非営利団体の活動の調査を通じて、成果も発表し、さらに、「新たな公共」を担う小規模非営利団体の活動を基礎付ける立法化(「協同労働の協同組合法」)に着目して、それを学問理論的・実践的な検討を行った。さらに第3に、財政難の中山間地がこの時期も被災したことに鑑みて(能登震災、中越沖地震)、そこからの再生のあり方を検討した。すなわち、阪神大震災と比較した中山間地の震災の特性、近時の平成大合併の影響、住宅補償の進捗度、コミュニティ維持の確保の検証、商店街の復興の展望など調査しており、今後の課題として残したい。最後に第4として、グローバリズムと地方自治との交錯(補完性原理との関係)を扱い、本研究が注目する補完性原理は、EUの統治システムであり、それに倣う広域行政のシステムの構築をも、本研究は目的とした。そして、グローバリズムの進行とともに、地方自治と国際法ないし国際的取り決めとの交錯現象が、注目されるに至っており、そうした「国際地方自治論」と言われる問題に関する学会に参加して示唆を得ており、その成果をまとめたい。
著者
吉田 邦彦 早川 和男 人見 剛 池田 恒男 今野 正規
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

震災、水害、火山活動などの各災害における被災者の災害復興政策において、住宅補償・生業補償の否定という従来からの負の遺産による居住福祉法学的配慮の手薄さは、比較法的考察からも先進諸国でも群を抜いて目立ち、災害救助法及び被災者生活再建支援法の現状では問題は山積し、さらに原発リスクにおける安全性チェックの制度的陥穽は事態を深刻化させることを、3.11以前に指摘したが、そうした中で東日本大震災が生じ、危惧が的中し、かつその後の災害復興における居住福祉法学的配慮のなさを指摘している。