- 著者
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吉田 克己
- 出版者
- 一般社団法人 日本原子力学会
- 雑誌
- 日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.5, pp.273-277, 2017 (Released:2020-02-19)
- 参考文献数
- 5
原発設置認可の取消しやその建設・運転の差止めを求める原発訴訟は,福島第一原発事故前には,若干の例外を除いてすべて住民敗訴の結果に終わっていた。福島後は,大飯原発に関する福井地裁の差止認容判決や高浜原発に関する大津地裁の差止認容仮処分決定など,注目すべき住民勝訴の裁判例が出るようになっている。判断を導く論理にも,従前とは異なる新たなものが見出される。これらを通じて,従来は基本的には行政の一元的チェックに委ねられていた原発の安全性確保について,司法も加えた多重かつ多元的なチェック態勢の構築が展望される。