著者
椎名 達雄 池田 紘一
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.76-83, 1998-02-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
7

In a past study, we developed a laser radar system for estimating slant visibility, which is the visibility along the glide path of an airplane and proposed the new laser radar equation, considering the divergence of the transmitting laser beam in bad weather conditions, like rain, fog and snow, in order to obtain the exact slant visibility in various weather conditions. This equation corresponds well to practical data and estimated visibilities coincide well with actual ones in various weather conditions.In the present study, to confirm the appropriateness of the new laser radar equation, the scattering angle characteristics of a laser beam propagating through fog is measured by using an optical Fourier transform system and an artificial fog generator. As a result of this experiment, the spatial spread functions of broadening of the forward beam caused by the fog scattering are derived from the obtained data as angle distribution.Using these spread functions, the analysis of broadening of a laser beam propagating through fog in laser radar operation using a computer. This computer analysis reveals the alternation of the pattern of the transmitting laser beam through fog. As a result, broadening and scattering characteristics of the transmitting beam in foggy condition were found and the spreads of transmitting beam derived from the calculated results well explain the concept of the new equation.The analyzed results compared well with practical data for laser radar. And the slant visibilities derived from the analyses well coincided the actual ones.
著者
池田 紘一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

トーマス・マンは自ら『魔の山』を錬金術的と称し、主人公ハンス・カストルプの人間的成長を錬金術的「昇華」と呼んでいる。従来単なる比楡としてさほど真剣には受けとめられなかったこの発言の意義と射程をユングの錬金術心理学との関連において明らかにする。その要点は以下のごとくである。1)ハンス・カストルプは「原質料」としてマダム・ショーシャをはじめとする諸元素ないしは物質との「分離」と「融合」を繰り返しながら「賢者の石」への道を辿る。この「精神」と「肉体」の錬金術的・エロス的結合の試みは失敗に帰する。それは錬金術の場合と同様、ヨーロッパ近代合理主義の批判を意味し、同時にその克服による新たな人間愛の模索を意味する。2)物語のこのプロセスは、マンの「錬金術的物語術」と表裏一体をなしている。マンの語りは、諸元素を密封して火にかけ、昼夜を分かたず繰り返される錬金術の分離・融合の試みに等しい。諸々の偶然的出会いや偶然的出来事から必然の糸(真の結合の可能性)を紡ぎ出すその錬金術的物語技法の特質を明らかにした。3)以上の『魔の山』の特質は、その現代的装いにも拘らず、『ファウスト』と見事に照応している。『ファウスト』もいわば、現世では失敗に帰する錬金術的実験の試みである。マンの『ファウスト』の現代的パロディーの試みは、錬金術心理学的観点を導入してはじめて、より根源的な意味での「まねび」であることが判明する。
著者
椎名 達雄 石崎 正志 福原 清司 池田 紘一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.94, no.27, pp.21-28, 1994-04-28

レーザレーダの観測データを解析する際、レーザレーダ方程式を用いるが、従来の方程式では送信光を平行光と仮定し、往路における散乱を考慮していない。しかしながら、雨や霧など天候が悪くなるに従い、大気中に浮遊する水粒子の数が多くなる。その結果、往路においても送信光の散乱が生じ、観測データに影響を及ぼすことが予想される。そこで、本研究において、送信光の散乱を考慮した新しいレーザレーダ方程式を提案し、解析を行った。その結果、雨から霧、雪へと気象状況が悪くなるに従い、送信光の散乱が大きくなることが分かった。また、送信光の散乱の様子を調べるために、霧箱による実験を行った。その結果、平行光にしたレーザ光が霧中で散乱され、広がりをもつことが確認された。以上のことから、提案したレーザレーダ方程式の適用性を確認することができた。