著者
入山 茂 池間 愛梨 桐生 正幸
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.95-101, 2017 (Released:2019-01-01)

縊死偽装事例では、自殺と関連しやすい情報が含まれることにより、確証バイアスが生じ、死因 の鑑別を誤る可能性がある。特に、検視官と比較して、法医学の専門的な訓練を受けていない司法 警察員における確証バイアスの影響は大きい可能性がある。本研究では、過去の縊死偽装事例の分 析を行うことにより、心理学の領域でほとんど検討されていない、縊死偽装事例に関わった司法警 察員における確証バイアスの影響について、研究の手掛りとなる知見を提供することを目的とした。 テキストマイニング手法を援用し、縊死偽装事例 1 例の検視に関わった元検視官、元法医学者、元 司法警察員の出版された記録から、遺体の部位や状況、遺体に付随する物品に関する単語および熟 語(以下、遺体情報)を抽出し、χ 2 検定および残差分析を行った。分析の結果、他殺と鑑別した元検 視官、元法医学者と比較して、自殺と鑑別した元司法警察員は、着眼する遺体情報の種類が少なく、 索状物、頸部圧迫、体重といった縊死と関連する遺体情報に着眼していた。
著者
池間 愛梨
出版者
東洋大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.105-119, 2017

本研究は,児童ポルノ対策に関する国内外の動向を概観し,さらに国内における児童ポルノ事犯の発生状況および防犯対策の現状を把握することを目的として,新聞記事および警察や政府が公表している資料を用いて犯罪心理学的研究を行った。児童ポルノ事犯の発生状況について分析を行った結果,児童ポルノ事犯の多くがコミュニティサイトを利用し,児童買春を介したものであることが示された。また,加害者は男性で,年齢層では20~39歳の者が多く,職業は学校関係者が多くを占めることが明らかとなった。児童ポルノ事犯の対策については,現在,政府や警察等で強化,推進されてはいるが,児童ポルノ禁止法が改正されたばかりということもあり,現在も児童ポルノ事犯の件数は増加傾向にある。児童ポルノ根絶に向けたより効果的な対策や取締りを行うためにも,縦断的に対策や取締りの効果を検討する必要がある。This study aimed to examine the trends in domestic and foreign regulations on child pornography and to know about the situation thereof. We collected the data to be analyzed from newspaper articles and materials published by the police and government. The results of the analysis revealed that a great deal of child pornography crimes utilize community sites and/or dating sites through the intermediaries of child prostitution. In addition, we reported that many of the offenders were school officials and aged between 20 and 39 years. Regulations on child pornography crimes are being strengthened and promoted by the government, police, etc. Although the law on child pornography has recently been revised, the number of child pornography crimes is increasing. To implement more effective regulations on child pornography crimes, a longitudinal study on the effects of regulation is needed.