著者
山寺 仁 伊東 昌子 松尾 睦 河崎 宜史 初田 賢司
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.80-84, 2008-03-14

本研究では,高業績プロジェクトマネジャーの初回ミーティング以前,初回ミーティング,プロジェクト中盤における行為とその頻度について調査した.因子分析の結果,初回ミーティング前では7要因,初回ミーティング時7要因,プロジェクト中盤では14要因が特定された.多くの利益を達成し,困難なプロジェクトを担当する高業績プロジェクトマネジャーの特徴と平均業績のプロジェクトマネジャーの特徴を比較分析したところ,前者の特徴は初回ミーティング以前とプロジェクト中盤で顕著な特徴が見られた.高業績のプロジェクトマネジャーは,初期では,関連部署の協力と参加の要請と自社類似事例の活用を有意に多く行っていた.また,中期では,民主的な環境を作り,変更管理を丁寧に行うなど柔軟で見通しの良い環境づくりを促進し支える行為を重点的に行っていた.これらの結果は,高業績なプロジェクトマネジャーは,変化する状況に対して適応的に,プロジェクトメンバーと関係者の目標に向けたチームビルディングに関する継続的な努力をしており,この努力がチームを高業績に導くことを示唆している.
著者
岡田 久子 高田 将年 河崎 宜史 山形 和明
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.8-13, 2013-02-15

発電プラント建設プロジェクトは,大規模かつ多くのステークホルダーが関わる複雑なものであり,この巨大なプロジェクトの「品質,工程,コスト」を確保するため,建設分野へのIT・システム化適用を進めてきた.主眼点は,建設におけるリスク・コスト最小化のための,(1)大規模プロジェクト一貫/調和コントロール,(2)現地の作業効率向上・品質確保の実現である.1990年代よりこの実機適用と機能拡張を継続し効果を上げてきたが,管理側・システム面中心のアプローチでは,さらなる改善・効率化は限界に達している.そこでモノ作りの原点に立ち返り,ユーザ/人間の側に焦点を当てた,人間中心型のモノ作りのあり方を模索しプロジェクトマネジメントに反映させる取り組みを進め,管理視点と現場視点を繋ぐ建設マネジメントシステムとして高度化を図った.
著者
河崎 宜史 伊東 昌子 平田 謙次 星 幸雄 初田 賢司
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.373-377, 2007-03-15

従来高い成果を上げるプロジェクトマネージャに関しては個人のスキルや能力に焦点があてられてきた.しかし,複雑で大規模のプロジェクトを成功に導くには既有知識やスキルの適用ではなく,状況から学び状況に埋め込まれた知を活用した新たな適応行為の創出が不可欠である.この行為は所有知の適用と区別されノウイング実践として知られる.本研究では,複雑なプロジェクトを任せることのできる手腕の高いPMと複雑さがそれほど高くないプロジェクトを任せることのできるPMの差の解明と理解をめざして,ノウイング実践の観点から,両群の実践行為の差を明らかにするための調査を行った.