著者
松尾 睦
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-20, 1994-07-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

Past research indicates that choice of a performance-depressing drug as a self-handicapping behavior occurs only when the behavior is known to others. This study examined two other types of self-handicapping, effort reduction and choice of a difficult task. It was hypothesized that previous experience of failure and exposure of choices and consequences to others affect those two types of self-handicapping. More specifically, effort reduction was predicted to occur only among those who have experienced failure in the private situation, and choice of a difficult task was to occur in all conditions. Contrary to the prediction, publicness (public vs. private) of the situation did not affect effort reduction. Further analysis showed an interesting and intricate relationship between choices of the two types of self-handicapping; those who had reduced effort in the public condition also chose a difficult task, whereas those who had reduced effort in the private condition did not. This intricate relationship was interpreted to occur to “mend” the negative evaluation by others (that mattered only in the public condition) due to the low achievements of those who have reduced effort.
著者
松尾 睦
出版者
北海道大学大学院経済学研究院
雑誌
Discussion Paper, Series B
巻号頁・発行日
vol.156, pp.1-17, 2017-12

本研究は、中堅社員(課長級管理職に昇進する前の20 代後半から30 代の社員)のマネジメント能力(業務スキル、対人スキル、意思決定スキル等)を高めるために、管理職がどのように仕事をアサインすべきか(任せるべきか)を明らかにすることを目的としている。日 本企業に勤務する部課長級管理職および中堅社員を対象とした質問紙調査データを分析し、次の点を検討した。すなわち、①与えやすく、かつ中堅社員の能力を高めるのに有効な業務、②業務と中堅社員の能力との関係、③業務を創り出す方法、④管理職が中堅社員の業務遂行を支援する方法である。 分析の結果、以下の点が明らかになった。与えやすく有効性の高い業務としては、「他部門との調整が必要な業務」「他部門を巻き込みながら進める業務」「自部門内の戦略・構想を策定する業務」「部門内の業務を改善・変革する業務」「高い目標を達成する業務」「新しい業務の提案や遂行を伴う業務」「顧客や取引先と打ち合わせ・交渉する業務」「協力企業や取引企業との協働」「新人・経験不足のメンバーの指導」「本人が経験したことがない業務」などが挙げられた。特に、権限が及ばない状況での業務、変革に関わる業務、高い責任の業務、幅広い仕事に携わる業務が中堅社員の能力向上に好影響を与えていた。 業務の創り方に関して、管理職は「役割を見直す」「新たな役割を創出する」「部門内の問題に対応する」「他部門と連携する」「外部組織からの要望やクレームに対応する」ことによって業務を創出し、部下に与えていた。また、高い業績を上げている管理職ほど、上位者や自身が担っていた業務を中堅社員に任せ、他部門との連携の機会を自ら創りだしていた。 中堅社員が業務を遂行する際、管理職は「業務の意義・重要性の明確化」→「事前に必要な手配・段取り」→「業務の要所・急所に関する指導」→「実行段階での側面支援・後方支援」→「進捗確認とフィードバック」という順序で部下を支援していた。このうち、本人の 成長やキャリアにおける意味や期待、部門内のフォロー体制、実施段階での側面・後方支援、事後の振り返りが不足している点が明らかになった。 最後に、予備調査(自由記述調査)から、優れたジョブアサインメントを実施していると思われる8つの事例を紹介した。
著者
山寺 仁 伊東 昌子 松尾 睦 河崎 宜史 初田 賢司
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.80-84, 2008-03-14

本研究では,高業績プロジェクトマネジャーの初回ミーティング以前,初回ミーティング,プロジェクト中盤における行為とその頻度について調査した.因子分析の結果,初回ミーティング前では7要因,初回ミーティング時7要因,プロジェクト中盤では14要因が特定された.多くの利益を達成し,困難なプロジェクトを担当する高業績プロジェクトマネジャーの特徴と平均業績のプロジェクトマネジャーの特徴を比較分析したところ,前者の特徴は初回ミーティング以前とプロジェクト中盤で顕著な特徴が見られた.高業績のプロジェクトマネジャーは,初期では,関連部署の協力と参加の要請と自社類似事例の活用を有意に多く行っていた.また,中期では,民主的な環境を作り,変更管理を丁寧に行うなど柔軟で見通しの良い環境づくりを促進し支える行為を重点的に行っていた.これらの結果は,高業績なプロジェクトマネジャーは,変化する状況に対して適応的に,プロジェクトメンバーと関係者の目標に向けたチームビルディングに関する継続的な努力をしており,この努力がチームを高業績に導くことを示唆している.
著者
松尾 睦 細井 謙一 吉野 有助 楠見 孝
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.43-57, 1999 (Released:2011-08-16)
参考文献数
48
被引用文献数
1 1

本研究の目的は、自動車販売会社における営業担当者の知識獲得プロセスを検討することにある。販売方略に関する手続的知識は、定性的および定量的な質問紙調査によって測定した。分析対象となる108名の営業担当者を、経験年数に応じて新人群 (営業経験3年未満) 、中堅群 (3年~9年) 、ベテラン群 (10年以上) に分類した上で、手続的知識と販売業績について相関分析を行ったところ、営業経験を積むほど手続的知識と販売業績の正の相関が強まることが明らかになった。この結果は、営業担当者の知識が経験によって宣言的レベルから手続的レベルに変換されるというAnderson (1982、1983) の認知的スキル獲得モデルによって解釈できるとともに、エキスパート研究における10年ルールと対応するものである。
著者
南 知惠子 高嶋 克義 平野 光俊 松尾 睦 坂川 裕司 近藤 公彦 猪口 純治 金 雲鎬 西岡 健一 森村 文一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、小売企業の成長を支える組織基盤の構築プロセスを解明することを目的とする。集権的な意思決定による成長戦略と分権的組織による組織能力の向上による成長戦略との併存を想定した。国内外の複数事例分析及び、全国の小売企業を対象とする質問紙調査を実施した。事例研究では、小売及び製造小売企業において、トップマネジメント主導の大規模投資による成長戦略を確認し、ビジネスモデルの類型化を行った。実証研究では、企業の革新性の正の影響に加え、組織基盤として情報システムの統合の影響が収益性に影響を与えることが明らかになった一方で、地域レベルでの標準化戦略は業績に負の影響を与えることが明らかになった。
著者
高嶋 克義 平野 光俊 南 知恵子 西村 順二 近藤 公彦 松尾 睦 金 雲鎬 猪口 純路
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本の小売企業を対象とする質問票調査のデータに基づいて、小売企業の仕入革新・マーチャンダイジング革新に関する実証分析を進める一方で、アパレル小売企業やドラッグストア・チェーンの仕入革新についての事例研究を行い、その研究成果を論文で公表した。また、これらの研究を通じて、企業間関係、部門間連携、継続的な改善の3つの条件の相互作用を捉え、小売企業の仕入活動革新における企業間関係と部門間連携との関連性についての研究を展開した。
著者
松尾 睦
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.75-87, 1996-07

The purpose of this study was to investigate the determinants of organizational climate, which was defined as shared behavior patterns. A total of 153 managers responded to the mailed questionnaire designed to evaluate the actual state of each company. The results indicate that organizational climate was influenced by planned organizational reform, external environment, overall organizational performance, and success of a particular department or product. Interestingly, change in management, recruitment of new members and planned change with downsizing had no effect on organizational climate. Implications for future research were discussed concerning the causal relationship between organizational performance and organizational climate.
著者
松尾 睦
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌
巻号頁・発行日
no.2, pp.56-69, 1998-03-10

Although a great deal of effort has been made on the analysis of the cognitive side of organizational life, little is known about how the members interpret organizational change. This paper applies the attribution theory to the organizational change study. The purpose of this research is to investigate how the causal attribution of an organizational change affects an attitude toward change, and to examine the moderating effect of the organizational schema on the relationship. Using a questionnaire survey, 180 employees (113 firms) who experienced a planned organizational change in their firm were asked about their interpretation of the change. The findings were as follows: First, two types of causal attribution influenced the attitude toward change. That is, the more a person interpreted that an organizational change took place because of a member's power and not of conflicts in the firm, the more his/her attitude toward change became positive. Second, an organizational schema moderated the relationship between the causal attribution and the attitude toward change. That is, the positive relationship between the attribution to member's power and the attitude toward change was identified only among persons who had the innovation-schema for their firm. Third, the contents of an organizational change did not show strong effect on the causal attribution. Theoretical and practical implications and suggestions for future research are discussed.