著者
荒島 康友 加藤 公敏 熊坂 一成 河野 均也 古屋 由美子 池田 忠生
出版者
日本大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

1.東京地区の大学病院におけるCoxiella bumetti(Cb)感染の状況の把握について:慢性疲労症候群(CFS)の患者138名について、Coxiella burnetti(Cb)DNAの検出をnested PCR法により行った。その結果、30例(21.7%)が陽性となった。健康人対照52例では5例(9.6%)が陽性となり、CFSで陽性率が有意に高かった(P=0.027)。また、CFSの基準に満たない、発熱、倦怠感等の不定愁訴を示した患者48名中20例(41.7%)がCb抗体価陽性となった。2.Q熱患者における抗生剤の投与方法や投与期間など治療法の検討:この20例に対し、MINOを中心とした抗生物質で治療を行ったところ効果の発現まで1〜3ヶ月と、個人差は有ったものの、20例の全ての患者に解熱、倦怠感の改善が認められた。3.登校拒否児についての検討:登校拒否児の症例は、研究協力者が転勤となったために、積極的な協力が得られず、4症例ではあった。しかし、1例が抗体価が陽性となりMINOの投与により症状が改善した。4.患者飼育ペットの検討:3症例の患者のペット(イヌ3頭)の検査を行ったところ、2頭がPCR陽性となった。また、1頭はMINOによりPCR陰性となった。5.学会発表:以上のCFSについては、第7回慢性疲労症候群研究会において発表を行った。また、3月の日本内科学会で発表予定である。さらに、招請講演において、今回のQ熱に付いて広く理解を得るべく説明を行っている。6.論文発表:現在、今回の内容でCIDに投稿中である。7.マスコミ報道:NHK2002年3月4日クローズアップ現代、8chアンビリーバボー以上、現在までの研究の概略を述べたが、予定の約80%には達していると考えている。
著者
大木 愛子 大氣 新平 小泉 和也 佐藤 幸治 河野 均 BOGER Peter 若林 攻
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.309-313, 1997-11-20
参考文献数
19
被引用文献数
3

Peroxidizing除草剤の植物毒性活性に対する2-substituted 4, 6-bis(ethylamino)-1, 3, 5-triazine系化合物の効果を単細胞緑藻Scenedesmus acutusを用いて検討した.Oxyfluorfenまたはchlorophthalimに起因する植物毒性活性の緩和, いわゆる"diuron効果"が2-substituted 4, 6-bis(ethylamino)-1, 3, 5-triazineの共存下で認められた.すなわち, 細胞中でのクロロフィル減少, エタン発生およびprotoporphyrin-IX (Proto-IX)の蓄積が緩和された.また, peroxidationの緩和の度合は1, 3, 5-triazine系化合物の光合成電子伝達系(PET)阻害活性に比例した.
著者
荒島 康友 熊坂 一成 土屋 俊夫 矢内 充 河野 均也
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.623-625, 1999-06-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

We encountered two cases of Pasteurella multocida subsp. septica isolation from exudates with seminal fluid-like odor from dog scratch and cat bite.Case 1: A 78-year-old male who had been diagnosed as having diabetes mellitus five years ago was scratched by the claw of a pet dog (Pekinese) on the back of the right hand. Since inflammation ascended to the arm, the patient visited Nihon University Itabashi hospital for a medical examination. Case 2: A 51-year-old female without a specific past history other than hyperlipidemia was bitten by a pet cat at the medical and lateral sides of the left carpus. The patient immediately opened the wound and washed it with tap water, followed by disinfection using a non-iodine disinfectant at home. Two hours later, the patient felt an unpleasant sensation and smelled a seminal fluid-like odor at the wound. The next morning, the entire left arm swelled and pain worsened, then the patient sought medical attention. The patients were treated with antibiotics and the wound completely healed on the 16days from on set in Case1and on the 10days from oncet in Case 2.From these two cases, Pasteurella multocida subsp. septica was isolated from the exudate, suggesting that when wounds caused by animals smell like seminal fluid, the wound is infected with Pasteurellae. This finding may be an important clue for differentiation in clinical diagnosis.
著者
若林 攻 河野 均 佐藤 幸治 BRASS Sussan NICOLAUS Bea BOGER Peter SUSSANE Bras BEATE Nicola PETER Boger BEATE Nicoau 小川 人士 BOGER Pecter
出版者
玉川大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

当該研究グループの既往研究によって得られている,“Peroxidizing除草剤の作用機構:クロロフィル生合成過程のProtoporphyrinogen-IX oxidase(Protox)阻害,Protoporphyrin-IXの蓄積,エタン発生を伴うチラコイド膜の破壊,光合成色素の減少"と言う,所謂Peroxidizing植物毒性作用を説明するために,当該研究グループ提案中であった“活性酸素が関与するラジカル反応によりチラコイド膜が破壊される"とする機構の構築と確認する検討を行いこれに成功した。次に,前記の帰結の発展応用研究に当たる「ポルフィリン代謝の制御」に関する検討を行い,植物の生長調節,藻類を利用した水素生産,活性酸素の制御による疾病治療等に応用が期待される基礎的データを得た。研究成果は以下((1)〜(5))に纏められる。(1) HPLC-lsoluminol化学発光を原理とする全自動脂質分析システムを用い,protox阻害剤処理後に生ずる過酸化脂質を測定し,活性酸素が関与するチラコイド膜破壊の機構を明らかにした。(2) 緑色植物細胞系を用いて,Protox阻害剤によるチラコイド膜破壊作用を緩和させる薬剤を見出す検討を行い,光合成電子伝達系阻害剤がチラコイド膜破壊作用を緩和させることを見出した。(3) クロロフィル生合成能を有する植物培養細胞(馴化Nicotiana glutinosa,Marchantia polymorphaその他)を用いた生理活性試験を行い,上記の[1],[2]を含むPeroxidizing植物毒性作用が緑色植物の葉緑体中で普遍的に起こることを確認し,Peroxidizing除草剤の作用機構を明らかにした。(4) 得られた生理活性データに関して定量的構造-活性相関解析を行い,光存在下で活性酸素を発生させチラコイド膜破壊を誘導する新しい強力なprotox阻害剤の分子設計と合成に成功した。(5) Peroxidizerと光合成電子伝達阻害剤が藻類の光合成明反応に及ぼす効果を確認し,その結果を藻類の水素生産制御に応用する可能性を見いだした。