著者
柏崎 守 波岡 茂郎 湯本 健吾 柴田 重孝 赤池 洋二
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
実験動物 (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.85-92, 1967-07-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

ブタの無菌飼育実験に際し, 飼育装置および子豚の摘出方法などについて検討した。本実験における無菌豚の飼育装置は, 無菌手術箱, 無菌運搬箱ならびに無菌飼育箱からなっている。手術箱はSPF豚生産用のもので, これらの側面に径30cmの穴をあけ, ここにスリーブが装着できるように一部改良した。運搬箱および飼育箱は, 米国Partsco社製のもので, 飼育箱はとくに改良を加えて使用した。すなわち, 床面は金あみのものとし, 糞尿などは金あみを通して下方の空間に落ちるようにした。滅菌ロックの内キヤップはステンレス鋼製のものとし, これらの開閉は片手で容易に操作することができるようにした。飼育箱には, 新しく考案した空気調和機を連結させ, 温度および送風量を調節できるようにした。飼育装置の滅菌は, 2%過酢酸の噴霧によって行ない, また飼育箱の消毒槽用および姙娠豚の腹面消毒用には, ハイクレー10を使用した。姙娠豚から胎子を無菌的に得る方法は, 子宮切断術によった。姙娠豚の麻酔は, 炭酸ガスの吸入麻酔で行ない, 摘出胎子の生存率はきわめて良好であった。
著者
波岡 茂郎
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.1357-1358, 1967-10
著者
籠田 勝基 岩瀬 俊男 小島 敏之 新山 雅美 波岡 茂郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.131-138, 1979-04-25

非タンパク態窒素化合物の豚発育に及ぼす効果を知るために, クエン酸2アンモニウム(DAC)を用いて豚の飼養試験を実施した. 給与飼料は厳しい低タンパクの条件のもとで, 必須アミノ酸はNRC標準の要求量を満たすように添加し, 非必須アミノ酸が窒素の制限因子となるように設計された. すなわち, 1) 粗タンパク(Cp)含量6.4%, 非必須アミノ酸制限(基礎飼料区). 2) 基礎飼料+DAC 3.6%添加(DAC区). 3) DAC区とCPを等しくしたDAC無添加区(Positive Control, PC区)である. 消化エネルギーは各区とも3.3kcal/gとした. 平均体重22.5kgのsecondary SPF豚12頭を4群に分け, それぞれ単飼ケージに収容し, 1日2回の制限給餌で28日間飼養した. 日増体重および飼料要求率の測定とともに窒素代謝試験とHt, TP, BUNおよび血中アンモニアを測定した. DAC区の平均日増体重は508gで基礎飼料区の426gおよびPC区の455gより有意に高い値を示した(P<0.05とp<0.10). 飼料要求率は基礎飼料区3.14, DAC区2.86およびPC区2.94で基礎飼料区が他の区より高い傾向を示した. Ht, TPおよび血中アンモニアは何れの区でも正常範囲内にあり, 臨床所見からもアンモニア中毒は認められなかった. 以上の成績から, 非必須アミノ酸を制限因子とした飼養条件下ではDACが豚の発育に利用されることが明らかとなった.