著者
波平 知之 高橋 憲司 仲村 一郎 赤嶺 光 HOSSAIN Md. Amzad 玉城 政信
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.189-194, 2011 (Released:2012-03-20)
参考文献数
15

沖縄県内の黒毛和種子牛生産における妊娠期間の2001~2010年の推移と,それに関する産次,子牛性別,子牛の父牛の系統について検討した.平均妊娠期間は287.7±5.5日で,産次ごとでは初産次の286.2±5.8日が最も短く,2産次以上より有意(p<0.01)に短かった.産次を経過するにつれ妊娠期間は長くなり8産次で288.8±5.6日と平均より1.1日長く,最大値となった.雄子牛の在胎期間は雌子牛に比べて有意(p<0.01)に1.2日長かった.子牛の在胎期間を父牛の系統別に比較すると田尻系は藤良系よりも0.7日,気高系よりも1.1日いずれも有意(p<0.01)に長かった.分娩年次では2001年の妊娠期間が286.5日と最も短く,年次を経過するにつれほぼ長くなったが,年次を経るごとに産次数も増加傾向にあり,重回帰分析によると妊娠期間に対して有意な関係があるのは産次であった.したがって年次の経過に伴う妊娠期間の増加は産次がその要因の一つと示唆された.
著者
波平 知之 屋良 朝宣 伊村 嘉美 モハメド アムサド ホサイン
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.83-89, 2019

<p>沖縄地域における低温期の牧草生産を補完する目的で,ジャイアントスターグラス(GS)草地にイタリアンライグラス(IR)を追播し,2 水準の刈取処理(刈取高さ 5 cm と 15 cm)が GS 単播草地,IR 単播草地および IR 追播草地の乾物収量および栄養価に及ぼす影響について検討した.低温期における乾物収量への刈取高さの影響は GS 単播草地にのみ認められ,草地間で比較すると刈取高さ 5 cm の GS 単播草地が最も低い乾物収量となった.IR 単播草地と IR 追播草地では乾物収量に及ぼす刈取高さの影響は認められず,GS 単播草地に比べて高い乾物収量が得られた.各処理区における粗タンパク質含量に有意差は認められなかたが,<i>in vitro </i>乾物消化率はいずれの刈取高さでも IR 単播草地と IR 追播草地が GS 単播草地より 20 ポイント有意に高い値となった.粗タンパク質収量はいずれの草地ともに刈取高さ 15 cm で高く,可消化乾物収量は IR 単播草地と IR 追播草地では刈取高さ 5 cm において,GS 単播草地では刈取高さ 15 cm において可消化乾物収量が高くなる傾向を示した.以上のことより,IR 追播草地における刈取高さ 5 cm の刈取処理は,沖縄地域の低温期における草地管理として乾物収量および栄養価の面から効果的な管理技術であることが示唆された.</p>
著者
村田 正将 辻本 卓郎 玉城 政信 波平 知之 屋良 朝宣 仲村 一郎 石田 千華 鈴木 直人 二宮 恵介 風岡 雅輝
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.31-35, 2019

<p>沖縄地域で生垣として植栽されているケラマツツジ,ブッソウゲおよびクロトンにおける大気中のアンモニア除去能を評価するため,密閉型アクリルボックス(457 mm × 457 mm × 915 mm)を作成し,1%アンモニア水注入後のアクリルボックス内のアンモニア濃度の経時変化について検討した.アクリルボックス内のアンモニア濃度は時間の経過に伴い減少し,土壌のみの対照区より樹木を植えた処理区で有意(P < 0.01)に減少した.樹木によるアンモニア除去率はケラマツツジとブッソウゲがクロトンより有意(P < 0.01)に高く,その要因を各樹木の葉の特徴から検討した結果,最もアンモニア除去率が高かったケラマツツジは,ブッソウゲやクロトンに比べて鉢あたりの葉数および葉面積の値が高く,比葉面積の値が小さかった.このことから,肉厚で葉量の多い葉を有する樹木ほど大気中のアンモニア除去能が高くなることが示唆された.</p>
著者
波平 知之
出版者
琉球大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

合計141個体のウミヘビを採集し、胃内容物の有無を調査した結果、胃内容物をもつ個体はわずか5個体のみだった。胃内容物の大きさとウミヘビの餌生物の摂取量との関係について明らかにできなかったが、胃内容物の種類については、エラブウミヘビは主にベラ類やスズメダイ類を捕食し、アオマダラウミヘビとヒロオウミヘビはウツボ類を捕食する傾向にあった。これらの胃内容物に残存していた餌生物のCP含量はウツボ類が70-80%と高かったのに対し、ベラ類が52%と低かった。ウミヘビの種によって捕食する餌生物の違いならびに餌生物由来の栄養摂取量の違いが認められた。魚粉粉末の人工餌(CP60%)ならびに生餌(ヤマトミズンとヤエヤマギンポ)をin vivo消化試験に供した結果、人工餌と生餌のin vivo乾物消化率はそれぞれ64%と54%となった。エラブウミヘビの消化時間は餌の種類や乾物消化率の違いによる影響は認められず、強制給餌後2=3日以内に初回排泄が認められる傾向にあった。排泄糞尿中の尿酸含量は約5%となり、餌由来の見かけ上のカロリー利用率(見かけ上のカロリー内部保有率)は65%であった。絶食区(140日間絶食)と生餌給与区(45日間絶食、50日間生餌給与、45日間再絶食)におけるエラブウミヘビの体重の推移をモニタリングした結果、いずれの処理区ともに140日間で捕獲時体重から約20%単位まで体重が減少し続けた。しかし、生餌給餌区は2回の絶食時ともに体重が減少したものの、生餌給与によってその減少が止まり50日間体重を維持することができた。このことから、エラブウミヘビの維持に必要な一日当たりの乾物摂取量は0.6gDM(2.2gFW)であり、体重約400gのエラブウミヘビ(♂個体)における見かけ上の基礎代謝量は1.0(kcal/day)となった。エラブウミヘビの排泄糞中のバクテリア相について次世代シーケンサーを用いて16SrRNA領域における細菌相解析を実施した結果、Firmicutes, Proteobacteria,Actinobacteria, Fusobacteriaなどが検出され、中でもFimicutesが優占化する傾向にあった。